MMO化に後れを取るなくねくねハニィの「最近どうよ?」(その24)(3/3 ページ)

» 2008年06月06日 15時00分 公開
[くねくねハニィ,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

お行儀が悪いユーザーたち

 日本人がMMOに入って海外の人と遊ぶとびっくりすることと言えば、MMOのユーザーたちは意外にお行儀が悪くて(もちろん良き人もたくさんいるんだけどね)、要求されているインフラ水準に達してないのに参加したり(転送速度128Kbps以上って言っているのに、電話回線64Kbpsで入ってきたりとか)、負けそうになると回線を切ったり、チャットでありえな〜い暴言を奮ったりと、なかなかマナーの悪い人も多いのですな。これは匿名性が高いからってのもあるんだろうけど、何とかしてほしいものです。ま、2人対戦の場合は相当な被害を受けますが、たくさんの人と遊んでいれば、たまにそんな人もいるのよね、って割り切れなくもない。

 そんな前提条件も踏まえて設計されてるMMOもあれば、それによってユーザーにやりたい放題にされてしまって大騒ぎになっちゃうMMOタイトルもあるのだよ。自由度が高いからこそ人気を博しているのだけど、だからこそ規制しなくちゃいけないこともあるわけ。スタンドアロンのパッケージゲームとは違って「起こりうる問題を予期して作る」と言う意味では、とてもハードルが高いよね。

止められないMMO化への移行

 がたがたといろいろな側面から語ってきましたけど、MMOという言葉はもうとっくにPCだけに語られていることではない、というのは認識していただきたいなと。PS3やXbox 360では、もはやオンラインプレイはもうゲーム機には欠かせないものになってるし、欧米ではアイテムのダウンロードやランキングのアップロードなんかでは「Online」とはみなされない時代になってきているのだ。

 作り手としてどうか? と言えば、スタンドアロンが業界で当たり前だったコンソールの開発に目を向けると、考え方を大きく変えないと対応できないよね。「最近どうよ?」(その11):くねくねハニィが語る日本と欧米のゲーム作りの違い、で述べた通り、欧米ではPCで作ったものをコンソールに落とし込むから、特に新しい努力はいらないのだ。強いて言えば、PCに追いつかないスペックにどうやってダウンサイジングするか、ということだけで、日本の業界のように大きなパラダイムシフトは求められないのだね。

 別の言い方をすれば、欧米にとってはマルチプラットフォームの一環なので、もともとPC向けで考えていたオンランプレイが、やっとコンソールでも実現できるようになった、ってだけなのだ。手ごわいですね〜。年季が違うので、日本のメーカーは心しなければいけません。オンラインゲームを作るときは、「スタンドアローン+オンライン機能」ではないのだ。「オンライン」は「オンライン専用」くらいの気持ちで作らなきゃ太刀打ちできない!

 では日本の開発はどうしたらいいんじゃろか? いえいえ、悩むことではないのさ。良質なPC向けのオンラインゲームは日本でも古くからあるし、モバイルコンテンツだってオンラインがバリバリに入っている! そこで!ハニィからの提案! 「コンソール向け」の開発に「PC向け」や「モバイル向け」を融合させていきましょう。過去に優良な日本発のMMOタイトルがたくさん出ているじゃあないですか! 日本発のモバイルコンテンツがいっぱい評価されてるじゃぁあ〜りませんか!

 MMOといえばPCの世界のこと、ってのは古い。PCとコンソールが開発の意味でも流通の意味でも特に交わらずに来た日本の事情が、色濃く出た結果なのかもしれませんけど。Xbox 360の「Gears of War」だって「Halo」だって、PS2の「SOCOM」だってMMOへ足を半分以上突っ込んだようなもんなんだから(ちなみにこれらのオンラインゲームはMMOではなくMO=Multiplayer Onlineと言われています)。と言う意味では、閉じられたコンソール開発にPCの風を吹き込んでみるもよしかなぁと。そういえば話題の「GTA」シリーズも最初はPCでしたね〜。

 そろそろプラットフォームの垣根を取っ払って、「ワンソースマルチユース(1つのものをいろんなところに供給ってこと)」を実現しませんかね? と本当に思うハニィでした。PC向けにゲームを開発されている方々! ぜひコンソールにも息吹を送り込んでくださいませ!

ハニィのあとがき 

 Wii版の特典付「シレン」を4月に予約して、指折り数えてましたじょ。そろそろお届けかしらん。こういうRPGはなかなか海外で爆発的に売れてくれないのはどうしてだろ。コツコツと積み上げてモノを作っていくとか「地道」な喜びを、海外ではゲームに求めていないのよね。残念。このおもしろさを伝えたいと思って海外で力説してみるんだけど、やっぱりエンターテインメントとは「派手」でなければいけないのかしら。またやり込んで懲りずに伝えに行くぞと。

 ところで、「GTA IV」の影に隠れてるんだけど、「Mario Kart Wii」といい、「Wii Fit」といい、ものすごく売れていますね。もはや任天堂はゲーム業界ではなく、任天堂業界と思われるほど違う方向に突っ走ってるとも言える。そういえばニュースで言い忘れてました(ダメじゃん!)が、「WiiWare」は北米で5月12日に無事ローンチされ、さらに欧州と豪州では5月20日にローンチされましたよ。欧州のローンチタイトルは下記8タイトル。やっぱり「もじぴったん」はローカライズが無理みたいです(当たり前か?)。

  • Dr. Mario & Germ Buster (Nintendo)
  • Final Fantasy Crystal Chronicles: My Life as a King (Square Enix)
  • Lost Winds (Frontier)
  • Pirates: The Key of Dreams (Oxygen Interactive Ltd)
  • Pop (Nnooo)
  • Star Soldier R (Hudson Soft)
  • Toki Tori (Two Tribes B.V.)
  • TV Show King (Gameloft)

 残念ながら任天堂が発表しない限りダウンロード数は分からないのだけど、バーチャルコンソールの結果を噂レベルで聞いていると、海外では日本の数倍の数は期待できると思われるのだ。海外のユーザーは日本人に比べてダウンロードってこと自体に抵抗がないってのはよく言われることだけど、モバイルコンテンツの例があるからそうとも言い切れないと思うのね。インフラに加えて供給側がいかに簡単に抵抗なくダウンロードまで誘導するか、ってことだからね。

 ゲーム性の意味でも、流通の意味でも、インターネットはもう無視できない時代なのだね。スペックの一部ではなく、インフラ自体が変わっているということに気がつけば、自ずと変革を迫られていることが見えてくる。しつこいけど、「オンライン」は追加ではなく改革なのだね。

くねくねハニィのプロフィール

1967年アメリカサウスダコタ生まれの日本人。

小学生からはゲームセンターに通いまくってやたら大きく育つ。

1990年に都内K大学を卒業後、大手ゲーム会社にて海外ソフト担当となり、2001年に退職。それ以降は自称フリーのゲームアナリストとして暗躍。暗躍しすぎたので名前を変えて表舞台に。くねくねと唐突に現れて「親父ギャグ」をかまして周りの人々のレベルを下げまくる困ったやつ。独特の語り口調ですが、もう慣れてくださいとしか言えません。言ってる中身は至極マジメなので。ちなみに「風来のシレン」が好物で、名前もそこから借用。なんだか公認してもらったそうです。

そういえば、ハニィさん、海外取材に連れて行ってくれるスポンサー募集をシレっとしておりますな。僕も連れて行ってもらいたいものです。もちろん、ハニィさんの見張りで。連絡は編集部まで。


前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2405/27/news019.jpg 「これを見つけたら緊急事態」 農家が恐れる“生えると危険な雑草”の繁殖力に「悪いやつだったんですね」「よく食べてました」
  2. /nl/articles/2401/26/news015.jpg スーパーで買ったレモンの種が1年後…… まさかの結果が635万再生「さっそくやってみます」「すごーい!」「手品みたい」
  3. /nl/articles/2405/27/news133.jpg 「虎に翼」、ヒロインの弟役が初登場 演じた人物のギャップに驚き「同一人物なのか?」「朝ドラにも出るの凄いな」
  4. /nl/articles/2405/27/news066.jpg パンイベント中止で被害200万円以上も 出店者「本当に悔しい」「破棄せざるをえない」と強い憤り
  5. /nl/articles/2403/21/news104.jpg 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  6. /nl/articles/2403/13/news017.jpg 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」
  7. /nl/articles/2405/26/news010.jpg 熟睡する2カ月赤ちゃん、お布団をめくるとそこには…… もん絶級の寝姿に反響「可愛いが大渋滞してる」「天使寝てはる」
  8. /nl/articles/2405/26/news006.jpg 【今日の計算】「81÷9+31」を計算せよ
  9. /nl/articles/2405/27/news030.jpg 大型ワンコが必死で隠す「最愛の小さな友」 190万再生の友情に「なんて優しい組み合わせ」「心から信頼して甘えてる」
  10. /nl/articles/2405/23/news120.jpg 坊主頭を1年伸ばしたら……  “別人レベルの変化”に530万再生 「たった1年でこんなにも変わるんだ」【伊】
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「現場を知らなすぎ」 政府広報が投稿「令和の給食」写真に批判続出…… 識者が指摘した“学校給食の問題点”
  2. 「二度と酒飲まん」 酔った勢いで通販で購入 → 後日届いた“予想外”の商品に「これ売ってるんだwww」
  3. 「思わず笑った」 ハードオフに4万4000円で売られていた“まさかのフィギュア”に仰天 「玄関に置いときたい」
  4. 「なぜ今になって……」 TikTokで“15年前”の曲が大流行 すでに解散の人気バンド…… ファン驚き 「戸惑いが隠せない」
  5. どういう意味……? 高橋一生&飯豊まりえの結婚発表文、“まさかのタイトル”に「ジワる」「笑ってしまう」
  6. サーティワンが“よくばりフェス”の「カップの品切れ」謝罪…… 連日大人気で「予想を大幅に上回る販売」
  7. “世界一美しいザリガニ”を入手→開封して見ると…… 絶句を避けられない姿と異変に「びっくり」「草間彌生作のザリガニみたい」
  8. 「誰かと思った」 楽天・田中将大の“激変した風貌”にファン驚き…… 「一瞬わからなかった」
  9. 複数逮捕&服役の小向美奈子、“クスリ”に手を出した理由が壮絶すぎ……交際相手の暴力で逃亡も命の危機 「バレてバルコニー伝って入られて」
  10. 耐火金庫に“溶岩”を垂らしてみたら…… “衝撃の結果”に実験者も思わず「なんだって!!!」と驚愕【海外】
先月の総合アクセスTOP10
  1. 庭に植えて大後悔した“悪魔の木”を自称ポンコツ主婦が伐採したら…… 恐怖のラストに「ゾッとした」「驚愕すぎて笑っちゃいましたw」
  2. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  3. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  4. 「歩行も困難…言動もままならず」黒沢年雄、妻・街田リーヌの病状明かす 介護施設入所も「急激に壊れていく…」
  5. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  8. 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  9. 築152年の古民家にある、ジャングル化した水路を掃除したら…… 現れた驚きの光景に「腰が抜けました」「ビックリ!」「先代の方々が」
  10. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評