映画「イヴの時間 劇場版」公開初日舞台挨拶 in 池袋テアトルダイヤリポート
去る3月6日。映画「イヴの時間 劇場版」の公開初日初回の舞台挨拶が、池袋テアトルダイヤで行われた。
会場に駆けつけたのは、主人公・向坂リクオを演じる福山潤さんと監督の吉浦康裕氏。二人は監督と役者というよりも、仲の良い友人、もしくは戦友とでも言えるような雰囲気で、本作を応援してくれるファンの声援に応えた。また公開初日はあいにくの雨天ではあったが、そんな天候の悪さなどものともせず多くのファンが会場を埋め尽くした。
ファンとともに歩んできた「イヴの時間」に感無量
Web配信、少人数体制での制作と限りなくインディーズに近い体制ながら、クチコミによる評判から総再生回数300万を突破し、その後発売された全6巻のDVDも好調な売れ行きを記録。そして、ついには劇場用作品として生まれ変わった本作。
長い道のりをともに歩んできた福山潤さんと吉浦監督は、ちょうど午前の初回上映を見終えたばかりの観客の満足気な表情を確認し、思わずひと安心した様子だった。
「本当に、早く(皆さんに)見ていただきたかったです。この作品は自分が出ていると言うのをさしおいても楽しめました」(福山)
「感無量です。本当に嬉しいという言葉しか思いつきません」(吉浦)
――と、心からの感謝と喜びの気持ちをコメントした。
まるで友達(?)な二人
それにしても近い年齢という事もあってか、二人はずいぶんと打ち解けた様子である。その様子を見て司会を務めるニッポン放送の吉田尚記アナウンサーも「友達みたいな感じですね」とコメントしていた。
「吉浦監督は『何もそこまで気を配らなくてもいいのに』ってくらいに、今までで一番僕たち(出演者)に気を使ってくれた演出家でした。『すみません、もしかしたらこう言うのも失礼かもしれないんですけど……』みたいな思考が見え隠れして(笑)。最後の方には、さすがにもう少し打ち解けて話せるようになったんですけど」と、意外と謙虚な監督のエピソードが福山さんによって明かされた。
この発言の他にも、お互いの発言に親しげにツッコミを入れ合う場面もあり、今回の劇場版の収録を通じてさらに二人の仲が深まった模様だ。そんな監督から、今回の劇場公開を記念して作られたオリジナルタンブラーがプレゼントされる一幕も。喫茶店が舞台となる本作ならではのオリジナルグッズに、思わず喜ぶ福山であった。
また本作で一番好きなセリフは何か、という吉田アナの質問に対して福山さんは、「この店。僕、嫌いじゃないよ」という本編のラストを飾るリクオのセリフをチョイス。顔の位置にリクオのイラストを持ってきて、「口が動いていると想像しながら聞いてください。(本編を見られた後だと、本編という)比較対象があるので、(緊張のために)ヒットポイントの表示が黄色くなるんですよね(笑)」と、恥ずかしそうにしながらも生演技を披露した。
まだまだ終わらない「イヴ」の世界
初回の舞台挨拶は、本作を見てくれたファンに対してのコメントで終了となった。
「皆さんの顔から、本当に楽しんでいただけたと分かります。皆さんが広報ですので、『面白かったよ』とクチコミで広げていただいて、より多くの人に見ていただけるようにしていただけると嬉しいです。そして今後も『イヴの時間』の面白さを語っていきたいと思っているので、これからもよろしくお願いします」(福山さん)
「数多くのスタッフに支えられてここまで来たわけで、皆さんの代表としてここに出させていただいています。ここに(スタッフを)ズラッと並べて、皆さんの力で作られましたって紹介したいくらいです。作品というのは完成して終わりではなくて、皆さんに見ていただいて、色々言っていただいた時に次の作品に繋がる。そういう側面があります。もし楽しんで頂けたなら、皆さんからまた発信していただけると幸せでございます」(吉浦監督)
比較的小さな劇場ということで、出演者と客席の位置が非常に近かった今回の舞台挨拶。その距離感は、ファンのクチコミと熱い支持が後押しとなり劇場版までこぎつけた「イヴの時間」という作品の、スタッフとファンとの距離感を体現しているかのようである。
トークの合間にも、しきりに「皆さんの力で第2の『時をかける少女』にしましょう!」と吉田尚記アナウンサーは訴えていたが、それも決して夢ではないと思わせる熱気を持ったイベントであった(ちなみに筆者も本作の大ファンである事を僭越ながらアピールさせていただく)。
なお、本作は元々全12〜13話程度のエピソードが考えられているという。今回映像化されたのが6話分、という事は全体の半分しか物語が描かれていないという事だ。反響次第で新たな展開もありうるらしいので、「イヴの時間」ファンは今後も本作の動向に注目である。
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