「私のテクニック全部教えますわ」 日本一筆が速い漫画家、東村アキコがタブーに踏み込んだポーズ集がめっちゃ使えそう
東村先生にポーズ集の使い方を聞いてみました。
漫画家・東村アキコ先生がヘアメークからポーズまで全てを監修した『東村アキコ完全プロデュース 超速!! 漫画ポーズ集』(146ページ1800円・税別)が11月9日に発売され、話題を呼んでいます。スマホ、壁ドン、ギャグなど今までになかったポーズ448種を収録した異色のポーズ集がどうやって生まれたのか、東村先生と講談社に聞いてみました。
『東京タラレバ娘』『海月姫』など数々の話題作を世に送り出す漫画家、東村アキコさん。最近ではまつやの「とり野菜みそ」のCMにも出演し、その顔を知っている人も多いのではないでしょうか。
そんな東村先生は同時に複数の連載を抱える人気漫画家であり、「日本一筆が速い漫画家」としても知られています。速さの秘訣は一般的に浸透している作画法を一切使わない独自メソッド。東村先生は「下手でも速く描けてのびやかな絵」の方が楽しいと話します。
東村アキコに聞く、「トレースは悪なのか」
――“東村アキコ完全プロデュース”と銘打たれていますが、どういったきっかけでポーズ集を発売することになったのでしょうか。
講談社:弊社が発行しているパートワーク『週刊 鉄腕アトムを作ろう!』の取材で東村先生が弊社を訪問された際に、「私、今日、企画を持ってきたから!」とポーズ集の企画のご説明をいただきました。
――先生からの発案だったのですか! ポーズは全部で448個も収録されています。撮影は大変だったのではないですか。
講談社:撮影は8月下旬に2日間にわたり行いました。弊社スタジオを使って、モデル選び、ヘアメーク、スタイリング、ポーズ付けまで、東村先生が監修されました。モデルの服も東村先生にご自宅から持ってきていただいたものなんです。
――本誌では冒頭の描きおろし漫画で、“ロボット設計図方式”を使わないことが紹介されています。四角い箱を組み合わせて頭身や骨格を決めるというもので、多くのイラストテクニック本で紹介されていますよね。
東村:私はロボット設計図方式を一回もやったことがないんです。初めて漫画の技法の本で見たときに、美大でやっていたデッサンのやり方や概念との違いにびっくりしました。私が知っている絵のうまい漫画家さんでロボット設計図方式をやっている人はいませんし、この方式で絵を描いている人がいるなんてことは、都市伝説じゃないかと思っています。
――ロボット設計図方式をなぜ使わない方が良いのでしょうか。
東村:描くのが遅くなるからです。もちろんロボット設計図方式でうまく描ける人はそのやり方でいいと思いますが、私のアシスタントでロボット設計図方式をやっている子はみんな絵が硬いし、下手です。
――本誌の使い方については、描きたいポーズ(ページ)をコピーしてトレース(※)するという方法も紹介されていますが、世間では「トレースは悪」という声もありますよね。
東村:もちろん「トレースは悪」だとは思います。なぜなら絵に個性がなくなって、絵がみんなと同じになっちゃうから。でも、ときに悪の道に足を踏み入れてしまう瞬間があるのが、漫画の面白いところですから、下絵を早く描くための練習方法の一つとしてこのポーズ集をトレースしてみるのはアリだと思います。ただ根本的には「トレースは悪」という意識を持っていてほしいです。
(※)トレース:元となる図に紙を重ねて、図柄を書き写すこと。他者が著作権を保有する図・写真をトレースすることは“トレパク”と呼ばれ、違法性があるとする意見もあるなど風当たりが強い。本ポーズ集はトレースOKとしているため、トレースすることにはなんら問題なし。
――ではトレースする際のコツを教えてください。
東村:とにかく輪郭を意識して描くこと。筋肉とか影とかは意識しなくても大丈夫です。よく、骨格とか筋肉とかを意識して描けと言われますが、輪郭だけ見ていれば、筋肉や骨格の感じも描けるはずです。余分なことを省いてひたすら輪郭をたどることが大切です。海岸線を描くみたいなイメージですね。例えば日本地図を描くときに、みんな海岸線描くでしょ? 九州山脈に影入れ始めたりしないじゃないですか。日本の背骨、「なんとかアルプス山脈」とか描かないじゃないですか! 「まず東京湾とかから書き始めて!」そんなイメージです(笑)。
――東村先生らしいたとえで分かりやすいです(笑)。どういう人に本ポーズ集を使ってほしいですか。
東村:ロボット設計図方式にとらわれていている人、描きたい作品があるのに(下絵に)時間を取られて、年に1本、2本しか描けずにもがいている漫画家志望者のみなさんに読んでほしいです。漫画家志望者の方が伸び伸びと描いたキャラクターを私は見たいんです。
――448ポーズのなかで東村先生が気に入っているポーズはどれですか。
東村:評判がいいのはスマホのページです。またギャグポーズのページはギャグ漫画家としての私のこだわりが詰まっています。
――最後に絵や漫画を描く人に向けての応援メッセージをお願いします。
東村:とにかく楽しく描かないとキャラが生き生きしないんですよ。漫画家って「苦しんで漫画を描いている」って思っている人が多いと思うんですけど、楽しんで描いている人の方が多いって、私は思ってます。漫画家が楽しく伸び伸び描いているから、キャラが生き生き動くわけで。それって絶対条件ですから! だからとにかく、かたっ苦しい技法から抜け出してください!
そもそも東村先生自身が「欲しい」と思うものを作ることから始まったというポーズ集の企画。時間がかかる下絵ではポーズ集を参考に身体の輪郭をトレースし、一番楽しいキャラクターの表情を付ける作業に時間を割いてみると良さそうです。
(Kikka)
関連記事
- 東村アキコ『海月姫』フジ月9でドラマ化! 芳根京子が“オタク女子”を演じる
8月の原作完結を機に決定。 - NHKで放送の「浦沢直樹の漫勉」 Web限定公開の未公開シーンで漫画家たちの神業が明らかに
漫画家の成功と苦悩が垣間見える神番組。 - 漫画家・佐藤夕子が教える「波の描き方」に目からうろこ! サランラップを使った驚きの描画テクニックも
漫画を描くのにサランラップが役に立つとは。 - 漫画アシが教える「バトル漫画のガレキの描き方」に衝撃! 板チョコを使ったまさかのアイデア
漫画家も使っているテクニックなのだそうです。 - Twitter版漫勉! ヤンジャン連載漫画家が画力20%アップの描画法を伝授
今すぐ私に紙とペンをください。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
“部屋が汚すぎて”彼氏に振られた女性→1人孤独に片付けを続け、600日後…… まさかの光景に「感動しました」
-
高校生のときに出会った“同級生カップル”→「親に頼らん!」と必死に貯金して…… 19年後、現在の姿に反響
-
「やられたな」 ベトナムで「FUJITSU」だと思って購入した家電→“衝撃の正体”に思わず戦慄
-
生え際後退で老けて見える25歳男性、プロが大胆カットしたら…… 「不可能を可能にした」「35歳から15歳に」大変身が740万再生【海外】
-
普通の折り紙1枚を、パタパタ折っていくと…… プレゼントにぴったりな美しいアイテム完成に「すげぇつくりたい」「かわいい」
-
「痩せた」 大谷翔平、“最新ショット”に驚きの声 “寝ぐせ”にツッコミも……「うわ凄い絞ってる」
-
水道検針員から直筆の手紙、確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生→大反響から1年たった“現在の様子”を聞いた
-
【ハギレ活用】「もう最高……」 着物のハギレをリメイク→わずか30分で“すてきなアイテム”が完成! 「私にもできそう」
-
「こういうの大好き」 ユニクロ“3990円パジャマ”が発売前から話題騒然 「最高」「シンプルで良い」
-
リゾートホテルで優雅に朝食をとっていたら…… 想像もしない“衝撃展開”が200万表示「滅多に見られないんじゃ!?」「もってますねえ!」
- 風呂に入ろうとしたら…… 子どもから“超高難易度ミッション”が課されていた父に笑いと同情 「父さんはどのようにしてこのお風呂に入るのか」
- DIYで室温が約10℃変わった「トイレの寒さ対策」が310万再生 コスパ最強のアイデアへ「天才!」「これすごくいい」
- 岡田紗佳、生配信での発言を謝罪 「とても不快」「暴言だと思う」「残念すぎ」と物議
- スーパーで買った半玉キャベツの芯を植え、5カ月育てたら…… 農家も驚く想像以上の結末が1300万再生「凄い」「感動した」
- 東京藝大卒業生が油性マジックでサンタを描いたら? 10分で完成したとんでもない力作に「脱帽です」「本当にすごい人」
- 定年退職の日、妻に感謝のライン → 返ってきた“言葉”が約200万表示 大反響から7カ月たった“現在の生活”を聞いた
- 【ヤフオク】“3万円”で購入した100枚の着物帯 →現役着付師が開封すると…… “まさかの中身”に驚き
- 「立体的に円柱を描きなさい」→中1の“斜め上の解答”に反響「この発想は天才」「先生の優しさも感じます」 投稿者に話を聞いた
- 「すんごい笑った」 “干支を覚えにくい原因”を視覚化したイラストが勢いありすぎで1700万表示の人気 「確かにリズム全然違う!」
- 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
- ドブで捕獲したザリガニを“清らかな天然水”で2週間育てたら…… 「こりゃすごい」興味深い結末が195万再生「初めて見た」
- 「配慮が足りない」 映画の入場特典で「おみくじ」配布→“大凶”も…… 指摘受け配給元謝罪「深くお詫び」
- 母「昔は何十人もの男性の誘いを断った」→娘は疑っていたが…… 当時の“モテ必至の姿”が1170万再生「なんてこった!」【海外】
- 風呂に入ろうとしたら…… 子どもから“超高難易度ミッション”が課されていた父に笑いと同情 「父さんはどのようにしてこのお風呂に入るのか」
- 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
- 市役所で手続き中、急に笑い出した職員→何かと思って横を見たら…… 衝撃の光景が340万表示 飼い主にその後を聞いた
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- DIYで室温が約10℃変わった「トイレの寒さ対策」が310万再生 コスパ最強のアイデアへ「天才!」「これすごくいい」
- 「こんなおばあちゃん憧れ」 80代女性が1週間分の晩ご飯を作り置き “まねしたくなるレシピ”に感嘆「同じものを繰り返していたので助かる」
- 岡田紗佳、生配信での発言を謝罪 「とても不快」「暴言だと思う」「残念すぎ」と物議