センター試験のICプレーヤーは“利用者に配慮していてダサ美しい”? デザインの意図を実施団体に聞いてみた
人生を左右してしまう試験だけあって、誤操作を防ぐ工夫がたくさん。
「センター試験」と聞いて、頭に浮かぶものは何でしょう。テストの緊張感、会場内の様子、点数が分かったときの安堵感/落胆……など、人それぞれなのではないでしょうか。
しかし、2019年のセンター試験が行われた1月、ネット上ではちょっとニッチな話題が注目を集めていました。それは「ICプレーヤーが“ダサ美しい”」というもの。ああ、英語のリスニングで使うアレのことか!
センター試験の英語では、リスニングのために専用のICプレーヤーが配布されますが、ボタン上にスライドカバーが搭載されていたり、「一時停止」「電源オフ」のボタンなどがなかったりと、一般的なプレーヤーとはデザインが大きく異なります。
あまりカッコいい見た目ではありませんが、誤操作が起こりにくいつくりになっており、ネット上では、それを「工業製品的美しさ」「機能美」などと評価する声が。人生を大きく左右する試験だけあって、試験者への配慮が徹底されていると話題になっていました。
センター試験を実施している団体「大学入試センター」に話を伺ったところ、あのICプレーヤーは、同団体が基本的なサイズ、形状などの条件を設けたうえで、メーカーから提案を受ける形でデザインを決定。耐久性、試験者の操作性などを考慮して、これまでに2回のデザイン変更が行われているといいます。
誤操作などを防ぐために、正しい順番で操作しないと再生できない仕組みになっているのですが、平成27年(2015年)度から導入された機種を見ると、あるボタンを押すためにスライドカバーを動かすと、また別のボタンが隠れるようになっています。
ボタン付近には「1電源」「2確認」「3再生」とプリントすることで、それぞれの機能だけでなく、押す順番も把握できるデザイン。それから、ボタン表面にある小さな突起の数でも、操作手順が分かるようになっているといいます。なお、これらには「色覚障害などでボタンの色が区別しにくい受験者にも扱いやすくする」というねらいもあるのだとか。
また、環境面での配慮として、平成22(2010)年度の試験からICプレーヤーは複数回利用する方式に変わっており、現在は全て回収されるようになっているのだとか。「何に使えばいいかはよく分からないけど、試験後に持ち帰った」という話は若い人には通じないかもしれません。
ところで、センター試験が終わるときまって報じられるのが、「ICプレーヤーの不具合が○件あった」というニュース。スピーカーを使った一斉放送にすればいいのではないか、と思ったことがある人も少なくないのでは?
実はそのような方法が検討されたこともあるそうなのですが、「座席位置や会場などによって聞こえ方が変わってしまう」という問題がクリアできなかったのだとか。そのため、リスニングが初めて導入された平成18年(2006)度試験から、「試験の公平性が確保できる最善の方法」として現在のような「個別音源・個別聴取方式」を採用しているのだといいます。
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ニュースなどでよく見る表現も、意外と分からん……。
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