第4回 Android Wear搭載スマートウォッチ、最大の武器とは“ウェアラブル”の今(2/2 ページ)

» 2014年11月19日 07時30分 公開
[松村太郎,ITmedia]
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コンテクストを読み取る力とアプリの力 iOS対応が焦点になるか

 iPhoneを使っていたこともあり、あまりGoogle Nowを深く利用していなかったが、腕に付けたデバイスで受動的に自分が必要な情報(必要になりそうな情報)をカードの形で挙げてくれる仕組みは、目からうろことも言うべき瞬間がたくさんあった。あまり入力を前提としないスマートウォッチにふさわしい仕組みとも言える。

 その点、非常に短い時間、限られた機能のデモではあったが、Apple Watchの方が、腕時計の小さな画面の中で、より多くのことをさせようとしている印象だ。もちろん、SiriはGoogle Nowより精度や機能が高いものになると予測されるし、メッセージやメールなどへの返信も時計上でなんとかしようとしている様子も見受けられる。

 自分の好みのアプリを入れて、それらのアプリがきちんとプッシュ通知で時計に情報を届けてくれる仕組みを持っていなければ、G Watchで体験したAndroid Wearならではのカード配信の仕組みを利用することはできないだろう。この点は、Apple Watchリリース後も、Android Wearのメリットとして残り続けるポイントになるのではないだろうか。

 Android Wearのアプリは多くの操作を行うことができないため、メールなどに返事を書こうとするなど、閲覧以上の作業に入ろうとすると、スマートフォンで開くように促す矢印が表示される。入力などの作業をやらせないようにしていて、体験とデバイスをきちんと分けている点も、現段階では好感が持てる。将来的には、もっと時計でできる範囲が増えてほしい、と思うだろう。

 Apple Watchは、iPhoneと同じように、アプリ開発者の知恵に頼ろうとしている。この点は、GoogleのAndroid Wearと対照的な印象を受ける。

 Androidはオープン、Appleはクローズドという印象を多くの人は持っていると思うが、ユーザー体験を作る部分においては逆で、Androidを有するGoogleの方がクラウドサービスが充実しユーザーの情報をよりたくさん持っていることから、情報面では垂直的な統合のメリットを受けやすい。

 その裏返しで、もちろんサードパーティのアプリがアクセスできる部分もあるが、Googleが用意したサービスが充実しすぎており、また昨今のデザインやユーザー体験の飛躍的な向上から、開発者の出る幕が少なくなってきたような印象すら受けるのだ。

 スマートウォッチの場合、まだ使い方や生活面でのポジションが固まっていないこともあり、垂直的にユーザーの情報を扱うことができるGoogleの方が、より早くユーザーに便利さや持つことの必然性を与えることができている。それくらい、Android Wear搭載のスマートウォッチとGoogleのサービスの相性は良かったのだ。

 しかし、将来的に、ウェアラブルデバイス、スマートウォッチというカテゴリが成長していく過程で、さまざまな使い方が競争力になっていく際に、はじめから開発者の創造性に頼ろうとしているApple Watchが伸びる余地が大きいのではないか、と考えられる。

 さて、このAndroid Wear搭載のスマートウォッチだが、組み合わせるスマートフォンにiPhoneを加えるという選択肢はないのだろうか。AppleのiOSとGoogleのAndroidは、スマートフォン、ウェアラブルデバイスの双方で競合している。しかしiPhoneユーザーも、Googleのサービス群、GmailやGoogleカレンダー、企業内ではGoogle Appsなどを便利に使っている人も多い。

 こうした人々がAndroid Wearのスマートウォッチを選び、活用して行く中で、将来的にiPhoneからAndroidスマートフォンに乗り換えることにも期待できる。ちなみに、Google Glassは、iPhone向けにも「My Glass」アプリが用意されており、一部機能が利用できないモノもあるが、iPhoneと組み合わせての利用は可能だ。

 Androidは現在、世界的に、多様性があることをアピールするキャンペーンを行っている。スマートウォッチのように個性を発揮するアクセサリにもなるアイテムの場合、Androidのアプローチが勝る事も考えられ、iPhoneユーザーもApple WatchとAndroid Wearデバイスを比較して選ぶ場面が出てきても面白いだろう。

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