ものしずかな“もののふ”という感じの娘でした
重巡洋艦「衣笠」は、青葉型の2番艦にして1927年9月30日神戸川崎造船所の生まれ。起工は1番艦「青葉」より10日早く、仮称艦番号も青葉より先だったのに、竣工がなぜが10日遅くなったがゆえに、「衣笠型の1番艦」となれなかった。

もっとも、本来青葉型は、平賀譲造船大佐が設計した古鷹型の3番艦と4番艦として計画していた。夕張、古鷹、そして、妙高を設計して世界的権威となっていた平賀造船大佐だったが、発注する側の軍令部としては、堅実なれど旧い技術しか採用しない性能(と、他人の意見を一切受け入れない性格)に不満を持っており、平賀造船大佐が海外出張している隙を狙って、設計を変更して青葉型として建造してしまう。な、なんて強引な。
設計変更を行ったのは、新しい技術の導入に積極的に挑む藤本喜久雄海軍造船大佐で、青葉型でも、基準排水量7000トンと軽巡洋艦相当の船体に20センチ連装“砲塔”を搭載した。帰国した平賀造船大佐が指摘したように、後部砲塔付近で船体に強度不足の兆候が出ていた一方で、古鷹型で人力だった給弾方法が砲塔形式の青葉型では機械方式となったおかげで、発砲速度は大幅に改善した。
衣笠は、古鷹、加古、青葉とともに、艦これでもおなじみの第六戦隊を編制する。旧式の小型重巡で構成する第六戦隊は、グアム島攻略やウェーキ島攻略といった小規模な支作戦に従事するが、ウェーキ島攻略では沿岸砲台との砲撃戦という太平洋戦争では珍しい戦闘で苦戦した。その後、珊瑚海海戦にも参加して、軽空母「祥鳳」を護衛するなど、何気に有名どころで戦歴を重ねている。
そんな歴戦の「衣笠」が最も活躍したのが、1942年10月11日のサボ島沖海戦だ。優勢な敵巡洋艦艦隊にきれいな丁字戦法で一方的に先制攻撃を受けて、青葉が大破し、古鷹は青葉の盾となって沈没、吹雪も沈んで瞬く間に戦力が半減したあと、衣笠と初雪は、青葉、古鷹、吹雪とは反対の左側に反転しつつ、敵駆逐艦を撃沈し、その後も追撃してくる敵巡洋艦に正確な砲撃を加えて、圧倒的に優勢だった敵艦隊を撃退して、青葉を救っている。



こうして第六戦隊でただひとり健在だった衣笠は、重巡「鳥海」とともに第八艦隊直属となって、なんとサボ島沖海戦の翌日には再度ガダルカナル島に突入してヘンダーソン基地の砲撃にも成功している。こんな、古くて小さな重巡ながらけなげに戦う衣笠も、ガダルカナル島を砲撃して戻ってくる重巡「鈴谷」と「摩耶」を迎えに「鳥海」とともに行く途中、敵航空攻撃を受けて沈没する。第三次ソロモン海戦の第1次戦闘と第2次戦闘の中日、11月14日のことだった。
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