INDEX
- ライター:たまごまご
- 梨畑からこんにちは!
- 他県の人にもおすすめしたい「ご当地VTuber」で見事1位に!
- 群馬のいいところだけ発信するわけではない
- 「ピキハイ見て、他県から来ました!」 行動的な“ピキッ子”たち。ファン同士で群馬旅行も
- 「登録5万は全然すごくない」 知ってもらうための地道な営業活動
- 初めて見る人にオススメのピキハイ群馬動画
- 6.3トンのお米を、わずか1週間で売った農業系VTuber
- 24時間じゃ足りない! 農業とVTuber活動の両立に向けた新たな挑戦
- 夫婦VTuberのメリットとデメリット
- コロナ禍の前後で状況が激変…… 「演劇」を続ける難しさ
- 「なんでこんな面白い奴らが、こんなチャンネル登録が少ないんだ」
- 全てを仕事にして、やりたいことをやって生きていきたい
先日ねとらぼで行った人気投票「他県の人にもおすすめしたい『ご当地VTuber』は?」で堂々1位を獲得したのは、群馬で活動するPeaky Hikers(ピーキーハイカーズ・以下「ピキハイ」)のおふたりでした。おめでとうございます!
ピキハイは「群馬」「農業」「演劇」の3本柱で活動している、アルピナさんとメイローさんの夫婦ふたり組のVTuberユニット。現在すでに70本以上の群馬にまつわる動画をアップしています(記事執筆時点)。6月20日(土)からは伊香保温泉とのコラボも行われる予定で、ご当地VTuberとしてノリにのっているふたり組と言えるでしょう。
また、2025年は自作のお米を6.3トン販売したところ、1週間で完売するという快挙も成し遂げ、ネットニュースやSNSでも話題になりました。
そんな快進撃を続けるふたりですが、最初から順風満帆だったわけではありません。数多くの悩みと挑戦を繰り返し、現在の活動を続けているそうです。今回はそんなふたりに独占インタビュー! なぜ群馬について発信しているのか? 農業とVTuberの両立はどうやっているのか? など、たっぷり伺いました。
ライター:たまごまご
オタク・サブカル・VTuber系ライター。MoguLive、コンプティーク、PASH!、ねとらぼ、QJwebなどで書いています。女の子が殴りあうゲームが好きです。
X:@tamagomago
梨畑からこんにちは!
――本日はよろしくお願いします!
アルピナさん(以下、アルピナ) よろしくお願いします! すいません。今、梨畑から連絡させていただいてますが、音声大丈夫ですか?
――はい、大丈夫です……えっ、梨畑から!?
アルピナ はい。群馬は梨の産地がいくつかあって、いま作っているのが「大島梨」っていう、前橋市大島地区の梨なんですよ。ジーシーシーアグリテックさんっていう企業さんと一緒に作らせていただいているんです。
――本当にお忙しい中、ありがとうございます……!
他県の人にもおすすめしたい「ご当地VTuber」で見事1位に!
――まず、「ねとらぼ」で行っていた「他県の人にもおすすめしたい『ご当地VTuber』は?」というアンケートで1位を獲得された感想を教えてください。
メイローさん(以下、メイロー) 嬉しいっていうのはもちろんなんですが。
アルピナ 信じられない。
メイロー そうだね。僕らがご当地VTuberを始めたのって、4年ぐらい前かな。当時は活動の道筋が演劇しかなかったんです。それが全く伸びない中で何をしようって言っていたときに、ご当地VTuberがかなり盛り上がってることに気づきました。群馬を題材に動画を投稿してるご当地VTuberはあまりいなかったので、もしかしたらいけるんじゃないかと始めてみたのが最初ですね。
アルピナ そのときにはすでに、根間ういちゃんとか津軽ねぷこちゃんとか、有名なご当地VTuberはたくさんいたんです。自分たちも独自の路線としてやり始めて、その中に入っていこうかなって。もちろん当時は再生数もぜんぜん伸びず、何回も「続けていってもいいのか?」って思ったりもしたんです。
メイロー やり続けてよかったねえ。
――4年前までは、特に群馬県に関して発信しようとはされていなかったんですね。
アルピナ VTuberの文化的な問題があったからですね。当時は異世界から転生してきたという設定があったので、地元の話をそもそもしないようにしてたんです。
メイロー 僕ら、キズナアイちゃんが大好きでVTuberになったので、自分たちで作った世界観は壊さないようにやろうっていうのが最初の試みだったんですよね。それを壊して、ご当地VTuberになろうっていうのは、転機だったかもしれないね。
アルピナ 自分が住んでるところを武器として発信していけば、新しいやり方が見つかるのかなっていう、施策のひとつとして始めましたね。
群馬のいいところだけ発信するわけではない
――現在、群馬の動画が70本以上あります(※)。群馬については、もともと詳しかったのですか?
※編注:インタビュー実施時点で再生リスト「群馬動画」に入っている動画本数を参照。
アルピナ 前職で群馬について発信する観光案内的な仕事をしてたんですよ。SNSとか運用しながら。なので、群馬についての知識はもともとあったんです。
メイロー アルピナは、とあるキャラクターになって群馬のことを発信する仕事をしていたので、群馬のことは詳しかったですね。逆に、僕は全く詳しくないからこそ、群馬の面白いところに気づける。だからふたりでやれば、かけ合いとして面白くなるんじゃないかなと思ったのが最初ですね。
――群馬を紹介する動画を撮影する中で、こだわってきた部分はどんなところですか?
アルピナ いいところだけを発信するんじゃない、って部分ですね。
メイロー 僕らは映像を撮るプロではないと自認しています。たとえば、観光地を綺麗に撮ったり、料理をおいしそうに撮ったりっていうのは、特に最初のほうは全然できなかったです。そこで「僕らが楽しんでる様子を伝えよう」っていうのを軸に置くことにしたんですね。だから、群馬には世界遺産的なものもたくさんあるんですけど、実は紹介してないんですよ。綺麗なものとか観光地向けのアピールは行政とかに任せようって。
アルピナ そう、行政とか映像のプロの方には勝てない。だから私たちは、行って楽しんでる姿で絵になるところを紹介しようとしてましたね。
メイロー ただ、群馬の県内向けに紹介するのか、県外向けに紹介するのか、最初の頃はずっと迷ってました。たとえば、群馬県でおいしいかき氷屋さんの動画を撮ったことがあるんですけど、びっくりするほど伸びなかったんですよ(苦笑)。それはどちらかというと、県内の人に向けて作ったんです。あとから思えば、僕らは群馬県に住んでて、他県のおいしいかき氷屋さんっていうサムネがポンって出てきても、クリックしないだろうなと思ったんで。
アルピナ だから、(県内の人に向けたかき氷の動画が伸びなかったので)県外の人に向けた動画を作るべきなんじゃないかっていうのを、そこで気づきました。群馬を紹介する動画は、県外の人が見てるんだって。でも(県外の人からすると)群馬は遠くて行けないし、かき氷っていう期間限定のものだと、食べに行けるかもわからないじゃないですか。そうすると、その情報っていらなくなってしまう。
メイロー だから、「日本一のモグラ駅」で有名な地下何百メートルにある土合駅(どあいえき)って駅を紹介するみたいなほうが惹かれるよね、って気づいたのは、始めて1年ぐらい経ってからです。
「ピキハイ見て、他県から来ました!」 行動的な“ピキッ子”たち。ファン同士で群馬旅行も
――ピキッ子(ピキハイのファン)の反応で印象的なものはありますか?
アルピナ 群馬に行ってみたいって、言っていただけることが多いですね。つい先日、温泉地を撮影しに行ったんです。そこで宿に来てたお客さんに「ピキハイ見て、今日他県から群馬に来ました」って声をかけられました。撮影中に声をかけられるっていう実績解除!
――いい話ですね……って、あれ? それって身バレでは?
メイロー 僕の姿を知ってるファンの人はそこそこいるんですけど、アルピナは1回も姿を出してないので、その人には「レアなもの見たね」って伝えておきました(笑)。いいのか悪いのか(苦笑)。
アルピナ そうやって他県から群馬に来る経験って、なかなか多いことではないと思うんです。やっぱり群馬に行きたいって言ってくれて、実際に足を運んでくださる方がいるのが、いちばん嬉しいですね。
メイロー 今度6月20日から、伊香保温泉でのぼりをたくさん立ててもらったりとかしながら、ピキハイのトレーディングカードを20施設で売るっていうコラボイベントを開催するんです。その人は、このイベントの対象の宿に先行で来てくれたみたいです。
――えっ、まだイベント自体は始まってないですよね?
メイロー そうなんですよ。まだ告知しただけです。だから、トレーディングカードも買えない。まだ来ないだろうと思って撮影してたんだけどなあ。
アルピナ まさか、もういるとはね。
――ピキッ子って、ピキハイ同様、行動力すごいですよね。
アルピナ びっくりしてます! みんなすごいね。
メイロー グループ作って、群馬旅行にしょっちゅう来ている子とかもいるんですよ。
アルピナ 車に乗り合わせて、みんなで合宿みたいに出かけてる人もいるらしくて。「なんだそれ楽しそう、混ぜてくれ!」って思います(笑)。
「登録5万は全然すごくない」 知ってもらうための地道な営業活動
――地元の群馬県からは、どんな反応がありましたか?
メイロー 「ピキハイ」っていう名前を知ってくれている観光地関係の方が出てきたのは、肌でも感じますね。実は僕、3年前ぐらいから行政に働きかけをしています。勉強会とかイベントとかにたくさん出て、名刺を配るとか営業的なことしてたんです。ただ、ずっと芳しくなかったんですね。「ぐんま特使」っていう、観光大使に近いものがあるんですけど、そこに「インフルエンサー枠として登録してほしい」っていうのも、県知事に3回ぐらい直談判しました。1分間のプレゼンとかまでしたんですけど、今も登録してもらえてないです(苦笑)。それで行政は諦めて、企業側に働きかけようということで、最近は県内企業の勉強会に出席したりしながら、知名度を少しずつ上げようと頑張ってます。
アルピナ そんな中で、温泉協会さんだったり、あとは地元の地域おこし隊の皆さんに声かけていただけることが、だんだん増えてきました。
――ご自身から営業をかけていらっしゃったんですね、
メイロー 僕がかけてますね。やっぱりチャンネル登録5万人って、すごいようで、世間一般的には全然すごくない。直接行って自分たちを知ってもらうって大事です。
――とはいえ、今だと「群馬 VTuber」と検索したら一発でおふたりが出るくらいには、有名なのではないでしょうか?
メイロー そうなんですけど、VTuber自体の知名度が、まだぜんぜん低いんですよ。県内でイベントに出て、「VTuberとしてこんなことやってます」みたいな話もしてるんですけど……。
アルピナ 私がVTuberとして皆さんの前に現れて、メイローがその横でマネージャーしながら営業する、みたいなことを何度もやってるんですけど、いまだに「これは中に人がいるの?」とか「アニメ?」っていわれちゃう。
メイロー 県の職員さんや企業さんも含めて、やっぱり知らない人のほうが圧倒的に多いです。なので、自分からどんどんアピールしていかないと、見つけてもらうことは難しいなと感じますね。
――その中で今回、伊香保温泉のコラボが決まったのはすごく大きなことだと思います。
メイロー 全国的に見ても、トレーディングカードを温泉地でコラボしながら販売するっていうのは、いまだかつてない取り組みだと思います。温泉地の人たちも、「どうなるんだろう?」って思いが少しあると思うんですよね。そんな中で、よく抜擢してくれたなと。だから、僕らも成功させなきゃっていう気持ちでいっぱいです。
アルピナ 伊香保温泉は、それこそ私が子供のころから何回も行っている有名な温泉地なので……絶対に成功させたいって思っています!
初めて見る人にオススメのピキハイ群馬動画
――これからおふたりの群馬関連の動画を観てみたいという方に、最初にオススメするとしたら、どの動画をあげますか?
アルピナ 私は水沢うどんを全店舗食べ比べてみた動画が好きですね。
メイロー ふんどしでお湯をかけ合うお祭りの動画も面白いんじゃない?
アルピナ 群馬の奇祭を見てもらえますね。
メイロー あと、いま見てほしいのは、伊香保温泉関係の動画。ピキハイとAoi ch.さんとおめがシスターズさんで伊香保温泉を回ったり、僕らふたりと、メイローの母と、娘のクーちゃん(クーアちゃん)4人で伊香保温泉を楽しんだ動画を出してます。そういうのを見て興味を持ってもらえたら、今回のイベントもぜひ来たくなると思いますね。
6.3トンのお米を、わずか1週間で売った農業系VTuber
――活動の3本柱のひとつ、「農業」についてお聞かせください。6.3トンのお米「ピキハイ米」が1週間で完売したニュースには、度肝を抜かれました。
メイロー 僕らも度肝を抜かれました! その前年は500キロを何回かに分けて、トータル2カ月くらいかけて売りました。いま農業をガッツリやってるVTuberが少ない中で、頭角を出さなきゃいけないって考えたときに、やっぱりニュースになるぐらいやんなきゃいけないよねっていうことで、余ってる分も全て自分たちで入荷するつもりで、思い切って6.3トン出しました。
アルピナ 「量出そう量!」って。通年かけて売るつもりだったので、80万くらいかけて保冷庫とか冷蔵庫も買ったんですよ。「よし来い!」って思ってたら、まさかの冷蔵庫いっさい使わないまま終わった!(笑)
――通常だと、その量のお米が、そんなスピードでは売れないですよね?
メイロー 売れないですね。群馬県の1農業世帯の収穫量が平均5トンくらいなんですよ。それより多い量を自分たちで直売で売るっていうのは、まずないかなと思ってます。
――そもそもお米を販売しようと考えられた理由はなんですか?
アルピナ 私の実家が代々、農業をやっているんです。私自身のやりたかったことが、群馬で演劇をすることと、農業を継ぐことだったんですよ。なので、農業を継ぐために、ずっと畑作業とか農作業は手伝っていました。だけど、VTuberもやりたいし農業もやりたい。時間が足りない。じゃあ、どうしたらいい? ってところで、VTuberとしてお米を売れば、農業もVTuberの仕事になるから両立させちゃおう、ってメイローが提案してくれたんです。
――お米を売ろうと考えたのは、いつ頃からですか?
メイロー 2023年12月のリアイベ(リアルイベント)に来てくれた人たち向けに、試験的に販売したのが最初ですね。その評判が良かったので、次は通販も視野に入れてやろうって販売したのが、翌年の500キロ。それも完売できたので、じゃあ、本格的に勝負に出てみようと6.3トン。貯金を全て使ったので、お米を納入して売れなきゃ困る。でも、1年かければなんとかなるんじゃないかって。
アルピナ そう。売れなかった場合は、農業の夢も、VTuberとしての夢も潰れるところでした!
メイロー 背水の陣でお米を入荷したら全て売れてくれたんで、良かったねーって。でも、なんかフタ開けてみたら、なぜか赤字だったねーって(笑)。
――ファンからも「安すぎる!」という声は出てましたね。
アルピナ 米屋としては失敗かもしれないんですけど、我々はVTuberでもあるので、その宣伝も兼ねていたんですよね。
メイロー 東京のスーパーの値段とかをリサーチして、設定したくらいの値段で落ち着けたかったんです。「ピキハイが作ったよ」っていうブランドみたいなものは、いっさいなくして、スーパーの価格に合わせました。ただそうすると、個人だと送料が利益を圧迫しちゃったり、去年は冷蔵庫とかも買っちゃって、それを踏まえて赤字になってしまったんで、今年はちょっと値上げして利益を出せるようにしようと思ってます。
――来年も期待ですね!
アルピナ 今日まさに、田植えの準備やってました!
24時間じゃ足りない! 農業とVTuber活動の両立に向けた新たな挑戦
――ただ、農業をやりながらVTuberの活動されるのは、あまりにも大変な気がしますが、いかがでしょう?
メイロー 今の時期から農業が大変になってくるので、ちょうど“あっぷあっぷ”のタイミングです。去年は僕ら、週2本の動画と配信1回っていうのを頑張ってやり続けてきたんですけど、今年に入ってから、ありがたいことに色んな案件とか入ってきたので、同じようにガッツリ動いてるはずなんですけど、動画は週1本が限界になってきてます。だから、今から農業が忙しくなってくるのを考えると、どうにか効率化しなきゃいけないので、いろいろ考えてます。水やりを自動化できないかなとか。自動化したら、きっと動画のネタにもなるので。効率化と動画のネタをいっぺんにできるようにならないかなって、いまちょうど考えてるところですね。
アルピナ タイムスケジュールでいうと、私は朝6時に起きて農作業しつつ、娘を保育園に送り出して、そのあとまた農作業を昼までやって、そのあとに撮影や編集をしています。夕方には一応作業を終えて、子供の送り迎えから寝かしつけまでやって、忙しい時はそのあとまたちょっと仕事して、10時くらいに寝ます。
――なかなかハードスケジュールですね……。
アルピナ ただ農作業って、冬の間とかは特に作業がないので。そういう時は、朝9時から夕方5時みたいな、皆さんが働いてる時間と同じくらい働く感じになります。
メイロー 僕は変則的ですね。朝10時に起きて、そのまま夜6時ぐらいまで仕事して、そしたらクーちゃん帰ってきてるんで、ごはん食べたりお風呂に入れたり。クーちゃんが寝てから、また深夜2時ぐらいまで仕事して、また10時に起きる感じです。
アルピナ 昼型と夜型なんで、生活リズムが合わない。
――VTuber活動だと撮影以外の作業も大変ですよね。
アルピナ そうですね。全部自分たちでやってるので。それはふたりが起きてる午後の12時から5時くらいまでの間でやってます。
――想像以上に農業をガッツリされてることに、驚きました。
メイロー 農業は数年以内にアルピナが完全に継ぐことになると思うので、もっともっと仕事が増えていくと思います。
アルピナ 時間が24時間じゃ足りないから増やしたいですね。
――ここまで農業をしっかりやられてると、それこそ群馬の取材とかに行く余裕がなさそうですけど、どうやっているんでしょうか?
アルピナ なんとか合間を縫って、この日は農業で、この日は撮影で、みたいに決めてます。そこは夫婦ふたりでやってるので、スケジュールは合わせやすいですね。「今から行くよ」って言って、一緒に行ける。ご当地VTuberって、撮影場所は県内なので、わりと近場なんですよね。車があれば、どこでも行けるし、高速道路もあるし。「じゃあ今日は山で撮影しよう」とか「今日は釣り堀に行こう」とか、突発的にすぐ行けるんですよね。そこは個人であり夫婦であり、ご当地の強みかなと思ってます。
夫婦VTuberのメリットとデメリット
――夫婦でやっているVTuberは珍しいと思います。夫婦でやっていたからこそ活動できている部分は、どんなところでしょうか?
メイロー いやもう子育てしながらVTuberやるのは、夫婦じゃなきゃできないと思っちゃったりします(笑)。
アルピナ お互いがいま何を考えていて、どんな仕事をしたいのか把握できるので、「じゃあこの時間は私が子どもの面倒みるよ」とか分担できますね。
メイロー 特に動画の編集に時間がすごくかかるんですけど、動画って完成すると10分とかじゃないですか。それに対して20時間も30時間もかかるって、動画編集をしたことある人じゃないと、やっぱ想像しにくいと思うんですよね。
アルピナ たった1分間の映像を作るために、10時間ぐらい部屋にこもってたとして「何してんの?」って思われないのは、夫婦VTuberならではの強みかなと思います。
――夫婦でやっててよかったなと感じる手応えのようなものはありましたか?
メイロー それは少ないかもしれない。
アルピナ 夫婦でやってるから、“ガチ恋勢”といわれる方や、初見で見てすぐ登録してくださる方はあまりいないのかなって、思うところはあります。
メイロー 本当に好きになってからじゃないと、登録しない人が多いんじゃないかな。VTuberが大好きでVTuberになった僕としても、夫婦VTuberの人をわざわざ見るかなっていうと、見ないかもなって。いろんな人に怒られるかもしれないですけど、それはしょうがないよなって思っちゃう。
アルピナ デメリットのほうが大きいんだと思います。本当は。
メイロー 夫婦って、もうゴールしちゃってるんですよね。仮に男女VTuberで、このふたりってもしかして付き合ってんのかなみたいな雰囲気だったら「仲いいよね、結婚しちゃえよ」ってワクワクするかもしれないけど、夫婦だとそれが発生しないんですよ。
アルピナ 次のイベント、子供が成人するか離婚するかのどっちかしかない!
メイロー だからひとつ言えるのは、離婚するのはめちゃくちゃ大変だから、ちょっとやそっとのことじゃ解散しないよって。
――おふたりはぶつかり合ったりすることってあるんでしょうか?
メイロー・アルピナ (声を揃えて)しょっちゅうですよ。
――そ、そうなんですか……。
アルピナ ちょっとこの間あった話、聞いてくださいよ! メイローさん、風邪ひくと、マジでオヤジの咳するんですよ。仕事もプライベートも全部一緒だから、寝ても覚めてもずっと聞こえてて、うるさすぎて、「ちょっと咳の音、下げらんねぇか!」って。
メイロー 下げらんねぇよ!(笑)。こういう小さな衝突もあります。他にも、アルピナが活動の中でポン(※)するわけですよ。ファンのみんなはね、かわいいって言ってくれるかもしれないですけど。
※編注:VTuber界隈でよく使われる、ポンコツ的な失敗を意味する用語。
アルピナ ありがたい!
メイロー けれども、しょっちゅうポンするわけですよ。もうイライラするよね。
アルピナ 1時間に1回くらいね。話は聞いてないし、聞いてても間違えるし。
メイロー 「うんって言ったじゃん、だから僕やったんだよ!?」みたいになる(笑)。
アルピナ 大変だなって思います(笑)。
――VTuberのネタ的には、おいしい話……ですかね?
アルピナ それがね、24時間寝ても覚めても一緒だから大変!
メイロー そう。武器でもあるんだけど、「いい加減にせい!」って思うときも結構ある(笑)。
コロナ禍の前後で状況が激変…… 「演劇」を続ける難しさ
――活動の3本柱の一つである「演劇」についてもお聞かせください。おふたりが演劇を始められたのは、いつからですか?
メイロー 僕は大学に入ってすぐサークルで始めて、卒業してからは社会人劇団にずっと入ってました。最初は小さな劇団だったんですが、最終的には2日間公演でトータル1000人ぐらい集められる群馬の大きな劇団に成長できたんですけど、やっぱりそこが社会人劇団の限界で。さらに大きくするってなると、もう仕事を辞めなきゃいけないレベルになってくるので、なかなか足並みがそろわなくなって。僕はプロになりたいなって思いが強くなって、それでVTuberと舞台俳優を両立しようっていうのが(VTuberとして演劇を始めた)最初だったんです。
アルピナ 私は高校を卒業して、声優さんになりたくて群馬を出て、東京で小劇場を中心にお芝居をしてたんです。全国のいろんなところに、お芝居の武者修行の旅に出たりもしました。そんな中で、地方の演劇ってめちゃめちゃ熱量高いし、ぜんぜん捨てたものじゃないなって感じたんです。群馬県も、大阪とか名古屋とかの都会と同じくらいアマチュア劇団がいっぱいあるんですよ。で、その劇団の熱量って、東京でプロ目指してる人とあんまり変わらないんです。それで、群馬で演劇やるのって面白いんじゃないかと思って、群馬に戻って演劇やってます。
メイロー 僕らふたりは、根底に演劇やりたいっていうのがずっとあって、その派生でVTuber活動だったんですよね。だから、初めのころの活動は演劇に傾倒していて、演劇かゲーム実況しかやってなかったんです。YouTubeでの活動以外にも、メイロー名義で商業演劇の演出・脚本をやったり、生身で出演させてもらったりもしてたんです。多分どちらもVTuberとして初なんじゃないかな。でもあまりにも伸びない。
メイロー そこで最初に見出したルートが「ご当地VTuber」で、その次に「農業」っていうルートも開拓できた。その2つが今、調子がいいです。でも、演劇だけはなかなか伸びない(苦笑)。
アルピナ 今は模索中ですね。
――正直ここまで忙しいと、演劇の企画はものすごい大変ではないでしょうか?
メイロー “農業VTuberといえば、ピキハイ”っていうのは、去年のお米である程度は認知してもらったと思いますし、ご当地VTuberであることも、今回1位を取らせてもらえたように、かなりいいところまで来たんじゃないかなって思ってます。だからこそ「今年は演劇に力を入れるぞ」って、結構がっつり企画を頑張ってたんですけど……。僕らがやってた演劇って「やりがいあっての演劇」だったっていうことに気づかされてしまったんです。というのも、収益面を考えて、役者もスタッフも全員「仕事としてできる演劇」を作ろうといろいろ計画を立ててみたら、破綻しかなくてですね。チケット代が8000円でも大赤字みたいな状況になってしまって。うん、これは誰も来ないぞって。
アルピナ 農業があんまり忙しくない時期にいろいろ調べたり、劇場へたくさん足を運んでみたり、一緒にやれる仲間を探しにいろんな小劇場を見に行ったりとかしました。でも難しかった。
メイロー 去年の年末からずっと考えてたんですけど、いったん白紙に戻さないといけなくなりました。やり方を考えないといけないって。僕らが昔やってた小劇場で、VTuberとして舞台をやるっていう案以外の形でやらないと、誰も幸せにならないなって気づいたんです。だからいまは、どうやったら演劇っていうコンテンツをVTuberとつなげて開催できるか、改めて考えているところです。
メイロー もう利益度外視で、みんなも全然お金もらわなくていいよっていう状態だったら、いくらでもやる方法はあって、頭の中に浮かんでるんですけど、(そのやり方では)みんなにやりがい搾取を強いることになってしまうものしか作れない。これって、ちょっと今の演劇の形の限界だなって感じてます。何かそこを突破できる案がないと、実現は不可能だなっていうところで止まってしまって。いくつか代案はあるんですけどね。
アルピナ 自分たちがVTuberを始めたきっかけのひとつが、コロナ禍だったんですよ。当時メイローは仕事を辞めて、本格的に役者として活動してたんですけど、オーディションに受かったとしても、コロナ禍で舞台が開催されないっていうことが何度も起きてしまって。
メイロー 東京の商業演劇オーディションに受かったときは、「お金も入るしやった!」なんて言ってたら、3個連続で潰れて、おいおいって……(苦笑)。
アルピナ それ以外の演劇を続ける方法として、VTuberを始めたんですよね。で、演劇という世界の最前線からは離れていたんですよ。で、その最前線をいま見てみたら、劇団と劇場がすごく減っていて!
メイロー あの頃よりも、ずっと少なくなっちゃったね。
アルピナ それもあって、コロナ禍の前と同じ考え方ではダメなんだって、ホントに思いました。
――苦い話ですね……。そんな中でも、やはり演劇はやっていきたいですか?
メイロー やっていきたい。必ず続けるし、必ず大きな公演を打ちます!
「なんでこんな面白い奴らが、こんなチャンネル登録が少ないんだ」
――視聴者からの反応で嬉しかったものがあったら、教えてください。
アルピナ 「群馬に行きたい」っていってもらえるのが、やっぱりいちばん嬉しいんですけど、もうひとつ、ファンの人同士で楽しんでくれてるのも嬉しいですね。誕生日だったり、「ご当地VTuber」投票で1位を取ったときとかに、一緒に喜んでくれる人がいるのが、すごく嬉しいです。知り合いではない人たちが、日本中いろんなところにいて、その人たちが一緒にわーいって応援してくれて喜んでくれるのって、なんて楽しいんだろうって。それにとても救われてます!
メイロー 僕は「なんでこんな面白い奴らが、こんなチャンネル登録が少ないんだ」っていわれるの、結構好きです(笑)。
アルピナ 「ねー」って思う(笑)
メイロー 「面白いでしょ?」って思う(笑)。僕は承認欲求の鬼なんですよね。だからこそ、有名になって「ピキハイすごいね」っていってもらえるのが、そのひとつひとつがもう嬉しくてしょうがない。
――今だとファンのみならず、いろんなところから「すごいね」という声が出てきてるんじゃないでしょうか?
メイロー コロナ禍の前に高校の同窓会に出席して、会社を辞めてVTuberになったって言った時、チャンネル登録60人とかだったんで「お前、何やってんだよ」「これ誰が見てんだ」っていわれたんですね。再生数1とか2とかじゃねえかみたいな(笑)。
アルピナ 「誰が見てるの」って、いわれたね。親にもいわれた。
メイロー うん。散々いわれたんですけどね。去年また同窓会がありまして、すごく久しぶりに出席したんです。そしたら、「いや、すげえ」っていわれました。「この歳になっても、まだ諦めずにやり続けて、仕事にしてて、こんだけのお金を動かしてるの、ほんとにすげえ」って、みんなが言ってくれて。もうこの歳になると、そう言ってくれたみんなのほうが、収入とかも圧倒的に多いんですよね。けれども、それでも「すごい」っていってもらえるのが、僕は嬉しくて。やった、来年も同窓会に出ようって思いましたね。褒めて!って(笑)
――周りの方で、おふたりがVTuberをやってるのを知ってる方は多いんでしょうか?
メイロー みんな知ってますね。僕の小学校の同級生のお母さんたちも知ってます!
アルピナ アルピナの近所のお姉さんも知ってます!(笑)
メイロー 僕の妹の旦那さんの会社の上司も知ってます!(笑)
全てを仕事にして、やりたいことをやって生きていきたい
――今後のVTuberとしての展望などがあったら、ぜひお聞きしたいです。
メイロー 僕はゲーム実況がやりたいですね。
――最近も裏チャンネルなどでやられてますが、デビューしたての頃にも実況されてましたね。
メイロー はい。初期にゲーム実況やってた頃は、同接ゼロが当たり前みたいな状態でした。いやでも、ゲーム実況好きなんだよなと思いながら。それがVTuberとしての大きな野望かも。
アルピナ アルピナは、生涯演劇をやりたいと思ってます。アルピナの中でVTuberは演劇なんですよ。なので、これもまた生涯続けていきたい。
メイロー 東京芸術劇場のホールを埋めるようなリアルイベントをやりたいなっていうのも、もちろん僕の中で強い夢です。あと100万登録いって、群馬県やいろんな企業さんから「ピキハイさん、お仕事いいっすか?」っていってもらうのも夢です。
アルピナ ずっと待ち続けて、やっと目が覚めたキズナアイちゃんとのコラボは、ずっと夢。農業を継ぐのも夢。
メイロー 他にも本当にやりたいことがいっぱいあります。
アルピナ クーちゃんを20歳まで無事育て上げるのも!
メイロー それはもう夢じゃない。目標でもない。絶対やんなきゃいけない。必達です!
アルピナ やりたいこと、やんなくちゃいけないこと、いっぱいあるんですよ。
メイロー その全てできるのがVTuberだと、僕は思ってます。
アルピナ アルピナがVTuberに誘われた時、メイローさん「アルピナがやりたかったこと、VTuberなら全部かなえられるぞ!」って言ってました。
メイロー VTuberは何やったっていいし、やり方次第では全てを仕事にすることが可能なんで。だから、全てを仕事につなげつつ、「やりたいことやって生きるぞ」っていうのが、もう僕らの夢かもしれないですね。
――応援しています! 本日はありがとうございました!
メイロー ありがとうございます!
アルピナ 梨、つんできまーす!
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