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SNS上で注目を集めた投稿について、その背景をあらためて取材する「バズ投稿のウラ話」。今回は2025年7月にX(Twitter)で話題になった「タコの陶芸作品」について、作者の森聖華(@diderot24da)さんに話を聞きました。
完成前からリアルな“タコの陶芸”
森さんは東京藝術大学卒の陶芸作家。特にフグやタコなど、水生生物をモチーフにした作品を多数手がけています。
話題の作品もその1つで、モチーフはタコツボに貼り付いたタコ。投稿では、下地作りの「素焼き」と、釉薬(ゆうやく)をかけて焼いた「本焼き」の、2つの状態が比較されています。
まず素焼きのほうを見ると、タコの吸盤やツボに巻かれた縄など、細部まで精巧に作られていて、既にこの段階でとてもリアル。ただ、質感は全体的にざらついていて、まだ焼き物らしい土っぽさが残っています。
最終工程を経て生命感が格段にアップ
それが本焼き後では、今にも動き出しそうなほどに生命感がアップ。釉薬の効果で光沢が増し、タコ特有の“ぬめり”まで醸し出されています。森さんは投稿時に「左(素焼き)が右(本焼き後)になるのが楽しくてやめられないのです」とコメントしていましたが、そう思うのも納得の変わりようですね。
作品は公開当時から、「すすすごい」「命宿ってる?」「腕のウネリと、吸盤の色合いすてき」と大好評。「まるで魔法……実際には計算し尽くした成果なのでしょうけど!」「こんな風に仕上がるんですね」「焼く前もあともどっちも好き」「焼いたら生に戻るってどういうこと すごい」と、驚きの声が多数寄せられました。
それから1年近くがたった今も、森さんはすてきな陶芸作品を多数手がけている様子。ねとらぼ編集部では、注目を集めたタコについて、あらためて話を聞きました。
「丹精込めた作品を窯に委ねるのが陶芸の醍醐味」
――大きな反響がありましたが、特に印象に残っているコメントは何かありますか?
森さん:「焼かれたはずなのに生蛸(なまだこ)になってる……!」というコメントが面白いなと思いました。
――あのタコを制作するうえで特にこだわったポイントや、難しかった部分があれば教えてください。
森さん:それまでタコツボの中に入っているタコしか作ったことがなく、ツボから見える範囲の足3〜4本だけを作ればそれっぽく見えていたのですが、今回の作品はタコがツボの側面に貼り付いているため、タコの足8本全部をどう表現するかをとても悩みました。
また、タコの足がただの粘土の塊に見えないよう、筋肉を意識して制作しました。ツボと縄とタコの質感の違いも、道具や釉薬を使い分けたりしてとてもこだわりました。
――投稿では「本焼き後の変化が楽しくてやめられない」とコメントしていましたが、森さんが感じている陶芸の魅力についてお聞かせください。
森さん:陶芸の魅力は、丹精込めて作った作品を、最終的に窯に委ねるところだと感じています。窯を開けてみないと作品がどういう出来なのか分からないところにスリルを感じつつも、それを超えてくる作品が出来上がったときに、非常に快感を覚えます。
題材選びには故郷が起因
――森さんは海の生き物をモチーフにした作品を多数手がけていますが、題材選びへの思いやインスピレーションの源など、よければ教えてください。
森さん:水生生物をよくモチーフにしているのは、海や川に囲まれた長崎県で生まれたことが起因しているかと思っています。よく釣った魚を食べたり飼育したりしていたので、私にとってはとてもなじみ深いです。
最近は水生生物の中でも「縁起が良い」とされるものをよくモチーフに制作しています。それは購入してくださる方に「幸運が訪れると良いなぁ」という願いからですね。
また、自分が好きな、マイナーな魚も制作していこうと思っています。「作ってる人がいなければ自分で作ってしまおう」という、自給自足の精神で制作しています。
画像提供:森聖華(@diderot24da)さん
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