恋人ではない。でも、ただの友達とも少し違う――。そんな男女の関係を描いた、直木賞受賞作家・千早茜さんの同名小説『男ともだち』が実写映画化。11月6日より全国公開されます。

 松岡茉優さん演じる、京都で暮らす29歳のイラストレーター・神名と、成田凌さん演じる神名の大学時代の先輩・ハセオを中心に物語が展開する本作。一見すると仕事もプライベートも順調に見えるが、惰性や不毛な恋愛に逃げる神名は、突然の電話をきっかけにある日、7年ぶりにハセオと再会。あの頃と変わらない2人だけの温度で接してくれる“男ともだち”のハセオと過ごす3つの夜が、神名の人生を大きく動かしていきます。

(C)2026『男ともだち』製作委員会
(C)2026『男ともだち』製作委員会
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 ねとらぼ編集部は今回、そんな神名の恋人で同棲相手ながら、神名と会話もなく、すれ違う毎日を送る彰人役を演じる、井上祐貴さんにインタビュー。本作で描かれた男女の複雑な関係性や、井上さん自身の“男女の友情観”などを聞きました。

(C)2026『男ともだち』製作委員会
『男ともだち』相関図 (C)2026『男ともだち』製作委員会
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井上祐貴さんにインタビュー

――映画『男ともだち』では、男女の友情や複雑な関係性が描かれています。台本を初めて読んだときにどう感じましたか

神名と同棲中の恋人・彰人を演じる井上祐貴さん (C)2026『男ともだち』製作委員会

井上祐貴さん(以下、井上さん):最初、神名にとっての「男ともだち」は、ぼくにとっての「女ともだち」への感覚と同じだと思っていました。たしかに人それぞれ「異性のともだちとはこういうものだ」という概念みたいなものがあるとは思うのですが、本当に「こういう形もあるのか!」と思いました。僕の知らない異性のともだちの形が存在している本だなと思いましたね。

 それと同時に、神名は“自分の理解者”が欲しかったんだろうなと台本を読んで思いました。そしてその理解者がたまたま男性(異性)だったのかなと……。神名に聞いてみないと分からないですが。

――井上さんの演じた彰人は、どちらかというと男女の友情を受け入れることが難しい印象でしたが、井上さん自身はどうですか?

井上さん:僕は同性・異性関係なく仲良くなれるタイプだと思います。学生時代から今でも仲良い女友だちとかもいて、その友だちが結婚する前「(彼氏と)結婚していいと思う?」と相談されたり、子どもが生まれた後には「かわいいんだよね〜」みたいな話を聞いたり。

 でも、神名とハセオはそういうのとは違ってちょっと特殊だなと思いましたね(苦笑)。どちらかが恋愛感情を持ってしまうと終わりな関係というか、持たなかったからここまで来られたのかな、というか。

――そんな「特殊な関係」の異性が、恋人とは別にいる状態をどう思いますか

井上さん:そこが一番難しい問題だと思います。神名とハセオだけの話なら誰も傷つかないし、逆にいい関係なんじゃないか? と“井上祐貴個人”としては思うのですが、彰人の立場に立ってみると……難しいですね。

 彰人から見て、本当に2人が友だち止まりなのかが分からないんですよ。ハセオのことを「男ともだち」って単語でしか聞かされず、神名が朝帰りしてくるわけです。それはもう不安になる要素だらけ。彰人目線で言うと、肯定しがたい関係なのかな。

(C)2026『男ともだち』製作委員会
(C)2026『男ともだち』製作委員会

――井上さんから見た「彰人」はどんな存在ですか?

井上さん:彰人が、この作品の中で一番理解できるところが多いですね。自分が思ったことを相手に言ったほうがいいって分かっているけど、言えないもどかしさ。あれは誰しも経験している感情なのかなって思います。

 神名に対して「男ともだちって、ちょっとずるい響きやな」って言った後、本当は2人がどういう関係なのか聞きたいはずなんですけど、(神名と彰人は)本当に終わっている空気、聞けない関係性だから聞けない。そういう彰人の感情が共感できるというか、理解できる。自分が演じたからなのかもしれませんけど。

――神名役の松岡茉優さんと、役作りや空気作りについて事前に話されましたか?

井上さん:あんまり話していないです。普通に受け答えはしていたと思うのですが、(会話をする)雰囲気にならなくて。撮影現場ではあえて必要最低限しか話さなかった印象ですね。

 僕が先にクランクアップしたのですが、撮影が終わったとき、初めて“松岡茉優さんの本当の笑顔”を見たんです(笑)。「ありがとう~!」って。そんな表情なさるんだ! って思うくらい、常に彰人に対する神名として現場にいらっしゃったのかな、と思いますね。

神名役の松岡茉優さん (C)2026『男ともだち』製作委員会

――撮影中、特に大変だったシーンはありますか

井上さん:彰人が神名に怪我をさせてしまうシーンがあるのですが、そこがやっぱり大変でしたね。ワンカットでの撮影だったので、リハーサルを1時間以上念入りにやって……全員の息がぴったり合わないと成立しない。

 この作品はそういう撮影が結構多くて、初めて試写で作品を観て、「長回し多!」と思いました(笑)。ただ、だからこそ感じ取れる繊細な空気の変化とかもあって、見応えがすごかったです。

 長回し撮影は「間違えたら最初からやり直し」の緊張感がもちろんあります。でも、失敗を恐れ過ぎて芝居が小さくなったり、後悔したりがないようにしたいと思っていたので、間違えたら頭下げてもう1回やらせてもらおうって。

 三島監督(三島有紀子監督)が呪文のように言ってくださっていたのが、「感じてくれ」。「セリフや言い回しが違ってもいい、感じたことをそのまま反応してくれたら絶対大丈夫」と、何回言われたか分からないくらいおっしゃってくださって。なのでそれはすごく意識しましたね。

――今作での経験も踏まえ、今後チャレンジしてみたい役は?

井上さん:ボクサー、格闘家を演じてみたいですね。

 格闘技を観るのが昔から大好きなのですが、自分がやりたいと思ったことは一度もないんです。命がけで戦うってすごくかっこよくて、リスペクトがあって好きなんです。だからこそ自分は生半可にやりたいとは思えなくて。

 番組で以前共演させていただいたのがきっかけで、ボクシングのレジェンドである長谷川穂積さんにプライベートでもお世話になっていて。現役は引退されているのですが、今でも現役当時と同じくらいトレーニングされていて……“人生そのものがアスリート”みたいな方。

 人として好きで、かっこいいなと思う部分が多くて。“この人の人生を演じられる”なら、俳優として命をかける覚悟は容易に持てるなと思っています。

(了)

 井上さんが出演した映画『男ともだち』は、2026年11月6日より全国公開予定です。

(C)2026『男ともだち』製作委員会
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映画『男ともだち』あらすじ

 30歳を目前に、人生に静かな行き詰まりを感じているイラストレーター・神名(かんな 演:松岡茉優)は、惰性や不毛な恋愛に逃げる日々を送っていた。そんななか、出会った頃からなぜか自分のことを深く理解してくれる“男ともだち”ハセオ(演:成田凌)からの電話をきっかけに、7年ぶりに再会。あの頃も今も変わらない温度で接してくれるハセオと過ごす“3つの夜”が、神名の人生を大きく変えていく――。

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公開情報

タイトル:『男ともだち』
11月6日(金)新宿ピカデリー他にて全国ロードショー
出演:松岡茉優 成田 凌 井上祐貴 中島 歩 咲妃みゆ 三浦貴大 余 貴美子 池畑慎之介
原作:千早茜『男ともだち』(文春文庫)
監督:三島有紀子
脚本:澤井香織 音楽:安川午朗
製作幹事・配給:ハピネットファントム・スタジオ 制作プロダクション:カズモ
コピーライト:(C)2026『男ともだち』製作委員会

(C)2026『男ともだち』製作委員会
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