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ねとらぼ
2026/10/21 07:15(公開)

衛星画像にも映るほど“巨大な葉っぱ”―― 南米の熱帯雨林で直径2メートルの“新種の植物”が発見 野生に推定30~50株で絶滅も危惧【海外】

Googleで優先するソースとして追加

 南米コロンビアの熱帯雨林で、直径が最大2メートルにもなる巨大な葉を持つ新種のオオオニバスが発見されました。きっかけは、約5年前に植物の専門家が偶然、Instagramで目にした写真。一つの投稿から始まった調査は、衛星画像による探索を経て、真夜中の密林での思いがけない発見へとつながりました。

スイレンの専門家、カルロス・マグダレナ氏が新種のオオオニバスの葉を持ち上げる様子。裏側には太い葉脈が網目状に広がっています
画像は「Royal Botanic Gardens KEW(Credit:Mauricio Bernal)」から
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見慣れたオオオニバスなのに、“いる場所”がおかしい

 英国王立植物園キューガーデンのスイレン専門家、カルロス・マグダレナ氏がその写真を見つけたのは約5年前。米国で食虫植物の苗を扱うジェレマイア・ハリス氏が、コロンビアのイニリダ地方で撮影し、Instagramに投稿したものでした。

 ハリス氏は、ごく一般的な「アマゾンオオオニバス(Victoria amazonica)」だと思っていたそうです。しかし、写真を見たマグダレナ氏は不思議に思いました。

 なぜなら、その場所は、当時知られていたオオオニバス属の自然分布域から外れていたからです。そこから「新種ではないか」という疑問を抱き、調査の出発点となりました。

 マグダレナ氏は、イニリダ川と周辺の湖を衛星画像で丹念に確認。すると、水面に浮かぶ数枚の大きな葉を発見しました。1株から伸びた葉と分かるほど鮮明だったのです。

 画像上の場所が、ハリス氏が現地の案内人から教わった場所と一致することも確かめられ、この地域にオオオニバス属が自生する裏づけが得られました。

オオオニバスが生育する湖を捉えた衛星画像。右下のFには、水面に浮かぶ丸い葉が小さな緑色の点のように写っています
画像は「Magdalena et al., Phytotaxa 778(2), Fig. 2 © 2026 Magnolia Press/Royal Botanic Gardens KEW」から
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帰りの飛行機まで10時間。午前1時、密林へ

 マグダレナ氏は、コロンビアのボゴタ植物園でオオオニバスを育てるマウリシオ・ベルナル氏と協力し、地域をよく知る先住民の人々と現地調査を計画。準備には約2年を費やしたそうです。

 ところが、5日間の調査は思うように進まなかったようです。見つかったのは2株だけで、どちらにも花がなかったのです。新種かどうか詳しく調べるには、花を含む標本が重要な手がかりとなります。また激しい雨季で水位が上昇しており、植物の状態も良くなかったそうです。

 帰りの飛行機は翌朝9時発。ほぼ諦めかけた前夜11時、マグダレナ氏が船頭のグスタボ・メロ氏に事情を打ち明けると、思いがけない返事が。メロ氏は、さらに多くのスイレンが見つかる場所を知っているというのです。

 一行は午前1時、空港とは逆方向へ船を出しました。辺りは真っ暗で、水に浸かった森の中を進まなければなりません。頼りは、先住民トゥカノ族のメロ氏が持つ土地と水路の知識でした。

 そして夜明け直前、ジャングルの奥の小さな湖に到着。そこでさらに5株を発見し、うち1株には待ち望んだ花が咲いていました。2つの湖で確認したのは合計7株。研究に必要な資料を手にした一行は、急いで引き返し、なんとか飛行機に間に合ったそうです。

巨大な葉のそばで咲くコロンビアオオオニバスの花。白と鮮やかなピンク色が目を引きます
画像は「Royal Botanic Gardens KEW(Credit:Nilo Rodriguez)」から

宇宙から見える巨人、野生にはわずか30~50株?

 この植物は「コロンビアオオオニバス(Victoria colombiana)」と命名され、2026年10月7日発行の学術誌『Phytotaxa』で新種として正式に発表されました。その葉は直径が最大約2メートルにも達し、自然界でもひときわ存在感を放つ巨大なスイレンです。 

熱帯雨林の湖に浮かぶコロンビアオオオニバス。水面を覆うように大きな丸い葉が広がっています
画像は「Royal Botanic Gardens KEW」から

 葉の裏側には太い葉脈が放射状に走り、葉の縁にはトゲのような突起も見られます。こうした特徴を調べ、近縁種と比較することも、新種の判別につながりました。

葉の縁を間近で見ると、赤紫色の部分に小さなとげが並んでいることが分かります
画像は「Royal Botanic Gardens KEW」から

 さらに研究チームは、地理情報システムを使った分析で3つ目の生息地となる湖も確認しました。水位の下がる乾季には、衛星画像にほかの株が写る可能性もあります。ただし、増水期は船で進める場所でも、乾季には陸路でたどり着くのが難しいという、現地ならではの事情があるそうです。

 野生に残る株数は、現在の推定でわずか30~50。研究チームは極めて絶滅の危険が高いと考え、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで「絶滅危惧IA類」として正式に評価されることを目指しています。また、種子を集めてボゴタで栽培したり、先住民の地域に保護できる個体群を増やしたりする計画も検討されているとのこと。

 マグダレナ氏は、先住民の知識と園芸の専門性、SNSや衛星技術が結びついた発見だったと振り返ります。Instagramの何気ない写真から始まった今回の発見。今後の調査で、まだ知られていない生息地が見つかるかもしれません。

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