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ねとらぼ
2026/11/06 07:15(公開)

約150年前に絶滅と認定された「謎の巨大鳥」→DNA解析で“現代のクロヅル”と判明―― ほかの絶滅鳥類の分類を覆す可能性を示唆【海外】

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 古い骨に残されたDNAが、長年信じられてきた鳥の分類を覆すことになる出来事が起こりました。英国の研究チームがヨーロッパ各地で発見された鳥の骨を分析したところ、意外な事実が明らかになりました。研究者たちはいったい何を見つけたのでしょうか。

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かつてヨーロッパに生息していた謎の鳥

 19世紀、フランス南部の洞窟で、ツルのものとみられる大きな骨が発見されました。現在のヨーロッパに生息するツルと比べても大型で、当時の研究者は、すでに姿を消した別の種類の鳥のものだと考えました。

 フランスの生物学者アルフォンス・ミルン=エドワーズは、この骨片を手がかりに「Grus primigenia」と命名。化石は最終氷期の終わりごろのものとされ、2万年以上前のヨーロッパに生息していた大型のツルとして知られるようになります。

 当時は骨の大きさや形状が、動物の種類を見分ける重要な手がかりでした。現代のツルとは明らかに大きさが異なることから、すでに地球上から姿を消した別の種だと判断されたのです。

 こうして長く絶滅種として扱われてきた巨大なツル。ですが、その正体について、現代の研究者たちは別の見方を示しています。

ウェールズのカーリーオンにあるローマ時代の遺跡に由来するツルの頭骨
ウェールズのカーリーオンにあるローマ時代の遺跡に由来するツルの頭骨(画像提供:Bournemouth University)
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18点の骨をDNA解析した結果、明らかになった正体

 この鳥の正体を調べ直したのは、英国ボーンマス大学のジョン・スチュワート教授らの研究チームです。チームはスウェーデン・ストックホルムの古遺伝学センターと協力し、骨に残された古代DNAを分析。研究成果は2026年10月28日、学術誌『Royal Society Open Science』に掲載されました。

 研究対象となったのは、イングランド、ウェールズ、フランス、ドイツ、スペインのバレアレス諸島で発見された計18点の骨です。研究者たちは骨から遺伝物質を取り出し、それぞれがどの種類の鳥に由来するのかを調べました。

 すると、驚くべき結果が判明します。

 調査した骨は、いずれも現在のヨーロッパに生息する「クロヅル(Grus grus)」と同じ種に属していたのです。

 つまり、絶滅した巨大なツルだと考えられていた鳥は、現代も生きているクロヅルの大型個体だった可能性が高いことになります。

 研究チームは以前から、これらの骨が別の絶滅種ではなく、体の大きなクロヅルのものではないかと疑っていました。

 スチュワート氏によると、ツルは一般的にオスのほうがメスより大きく、こうした体格差も、異なる2種が存在したという従来の解釈につながった可能性があるそうです。骨の形や大きさだけでは判断できなかった鳥の正体が、古代DNAによって浮かび上がったのです。

ウェールズのカーリーオンに由来するツルの上腕骨。3個体分の骨が並べられている
ウェールズのカーリーオンに由来するツルの上腕骨。3個体分の骨が並べられている(画像提供:Bournemouth University)

巨大なツルはなぜ小さくなったのか?

 今回の発見には、まだ解明されていない謎も残されています。それは、かつて大型だったクロヅルが、なぜ現在のような体格になったのかという問題です。

 スチュワート氏は、その原因として、湿地の干拓や人間による土地利用の変化を挙げています。ツルにとって重要な生息環境が変わったことで、体の大きさにも影響が及んだ可能性があるというのです。

 ただし、これは現段階では仮説にすぎません。研究チームは今後、クロヅルの体格が変化した理由について、さらに調査を進める方針です。

 今回の結果を受けて、研究者たちが注目しているのは、ほかの絶滅鳥類の分類です。これまで骨の大きさから別の種と判断されてきた鳥も、DNAを調べることで、その分類が覆るかもしれません。

 スチュワート氏は、現在も人間の活動によって多くの鳥類が絶滅の危機にさらされている一方、過去に絶滅したとされる鳥の数については、見直す余地があると指摘しています。絶滅したと思われていた鳥が、実は今も生きている種の大きな個体や小さな個体だったという可能性もあるのです。

 もちろん、すべての絶滅種に同じことが当てはまるわけではありません。それでも、150年もの間、別の種だと信じられてきた鳥が、今も身近な自然の中で生きている種だったとは驚きです。

 今回の研究をきっかけに、ほかにも「絶滅した」と思われている鳥の正体が明らかになるのか。今後の調査結果にも注目したいところです。

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