既存のRPGへ投げかけた一石はどうなった?――「イリスのアトリエ エターナルマナ2」(1/4 ページ)

8年の歴史を持つアトリエシリーズの最新作、「イリスのアトリエ エターナルマナ2」がいよいよ発売になる。前作より、従来路線から大幅にシフトしたシステムを採用しているが、その中身はどうなっているのだろうか?

» 2005年05月30日 16時59分 公開
[J.O.宍戸,ITmedia]

日本のRPGに一石を投じた“アトリエシリーズ”とは?

 日本にRPGというジャンルが確立したのは遅く、今から20年ちょっと前の1983年頃。それまではアドベンチャーゲームが大流行していたが、国産初のRPG「ザ・ブラックオニキス」の発売と共に、大ブームが発生する。キャラを作成し、パーティを組んでダンジョンへ潜り、経験値を稼いで目的を果たす。プレイヤーは自らの姿を重ね、想像し、熱くなりながらプレイしたものだ。

 そしてこの頃から、最終目的というのはいつも仰々しいものだった。ほとんどのタイトルが、何らかの世界を支配している悪の親玉を倒すのが目的で、現在発売されているRPGを見れば、これに当てはまるものばかりなのが分かるだろう。

 そんな時代に一石を投じたのが、1997年に発売されたアトリエシリーズ1作目「マリーのアトリエ」だ。

この当時、世界を救う勇者がやたらと多かったのも事実だが、それにしても調合しかしないRPGというのには驚いた。ちなみに、ジャンルは「新感覚RPG」

 “世界を救うのは もう飽きた”との衝撃的なキャッチコピーをひっさげ、錬金術をメインに据えた新感覚RPGとして登場。アイテムを選んで調合しながらイベントをこなし、4年でアカデミーを卒業するという物語に、数多くのプレイヤーが夢中になった。

 それもそのはずで、従来のRPGにはなかった“アイテムとアイテムを選んで調合コマンドを実行すると、新しいアイテムが誕生する”ということが、プレイヤーを引きつけて放さなかったのだ。もちろん、これまでのRPGにも似たようなことができる作品はあったが、それらはあくまでもおまけレベル。「マリーのアトリエ」は、これをゲーム本編で耐えうるレベルにまで昇華させ、さらに巧みなストーリーをつけたのだ。

 調合といっても難しいことはまったくなく、森や湖などで拾ってきたアイテムを2つや3つ選んで、調合コマンドを選ぶだけ。すると新しいアイテムが生まれるのだが、今度はそのアイテムと違う材料を調合すると、さらに新たなアイテムが誕生する……。この繰り返しがやみつきになり、大勢のプレイヤーを中毒にしていったのだ。

実際の調合シーンは、極めてシンプル。材料と数を選んで調合を開始するだけ。ただし、マリーが疲れていると失敗することもあった

 大ヒットしたアトリエシリーズはその後、移動できる範囲を広くした「エリーのアトリエ」、錬金術を教えるアカデミーが出来るまでを描いた「リリーのアトリエ」、未来に飛ばされてしまった少女が、錬金術を駆使して元の時代に帰る「ユーディーのアトリエ」、自分の住む村を、錬金術で有名にする「ヴィオラートのアトリエ」と、5作目まで同じ路線で続くことになる。

 どれも基本システムは同じだが、調合できるアイテムが増えたり、各アイテムごとに品質や属性が設定されるなど、シリーズを追うごとに玄人向けへと進化していった。

各アイテムごとに従属属性と呼ばれる属性が設定され、これにより同じアイテムでも「効果範囲が広い・狭い」や「くさい」などの個性が生まれた

 やり込むのを得意とするプレイヤーには朗報だったものの、残念ながら初期のアトリエシリーズが好きだった人たちには難しくなってしまい、離れていく人も見られた。そこで従来の路線を大幅に変更し、調合システムを残しつつもRPG要素をより濃くしたのが「イリスのアトリエ エターナルマナ」だ。アトリエシリーズ初の男主人公クレインと、旅の途中で知り合った仲間リイタを中心に、天空都市レガルザインを目指す物語が語られるのだが、随所に新しい試みが取り入れられている。

これまでの主人公は女性だっただけに、男になったと聞いたときには驚いたものだ

 そして、この路線を継承しつつ、さらに新要素を取り入れ遊びやすくなったのが、今回のタイトル「イリスのアトリエ エターナルマナ2」となる。

エターナルマナになり、生まれ変わったアトリエシリーズ

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