一足お先に次世代機気分――HDTV+5.1chで現行機を遊ぶススメ Part2:PS2編(2/3 ページ)

» 2005年08月05日 15時20分 公開
[小泉公仁,ITmedia]

何はともあれ「GT4」からプレイ

 これで、PS2をHDTVと5.1chサラウンドでプレイするための環境整備は完了。さて、何からプレイしてみようかと思いを巡らせるが、ここはやはり「グランツーリスモ4」(以下、GT4)から試したい。GT4は、PS2初にして唯一の1080i出力対応ソフトで、かつサラウンド対応。HDTV+5.1ch環境でプレイするには打って付けの1本だ。

画像 「オプション」の「画面」で、「ビデオ出力」を「ハイビジョン(1080i)」に変更すると、レース中とリプレイ時の映像が1080i出力になる。この項目を切り替えると、「ワイド設定」も自動的に「ワイド(16:9)」になる

 もともと映像の美しさに定評のあるGT4だが、表示を1080iに切り替えてみるとその差は一目瞭然だ。アスファルトの質感がいっそうリアルになり、コースの周囲に生い茂る木々も緻密に表現される。車体の光沢感や映り込み具合にも違いが出て、実に高品位な映像だ。1080iでしばらくプレイした後、再び480iに戻すと、ぼやけたような眠たい映像に感じられてしまうほど。

 反面、1080iでは斜め線にジャギが出やすい傾向があるほか、遠方のフェンスなどにフリッカーも見られ、波打ったように見えてしまう場面もある。映像信号は確かに1080iで出力されているが、水平方向の解像力があまり高くないようだ。それでも既存のゲームと一線を画した精細感のある映像なので、HDTVを導入した暁には真っ先にプレイしてみたい。

画像 480i
画像 1080i
上が480i(4:3)、下が1080i(16:9)。写真では分かりにくいかもしれないが、480iではややのっぺりとした感じに映るアスファルトや木々の葉が、1080iでは精緻でリアリティの高い表現に変わっている。また、後方を走る車のヘッドライトが、480iではつぶれているのに対し、1080iではしっかり視認できるあたりも違う

 サウンドについては、エンジン音などを実車から収録したというだけあって、迫力十分だ。レース中は音の移動感がやや曖昧に感じられる部分もあるが、リプレイ時にはサラウンド効果を存分に堪能でき、まるでTVのレース中継を見ているような気分になれる。

 このGT4では、「ドルビーデジタルプロロジックII」というちょっと特殊なサラウンド方式を用いている。プリレンダリングされたムービーシーンはドルビーデジタル、ゲーム部分はドルビープロロジックIIというように、異なるフォーマットを使い分けているのだ。同様のソフトには、カプコンの「デビル メイ クライ3」や、セガの「ソニック ヒーローズ」などがある。

画像 「オプション」の「サウンド設定」で、「サウンド出力」を「ドルビープロロジックII」に変更し、5.1chシステムのAVアンプ側もドルビープロロジックII(Gameモードがオススメ)に切り替えると、音声がサラウンドで出力される。ムービーシーンをドルビーデジタルで出力するには、「オープニングムービーデジタルサウンド」の項目を「ON」にすればよい

「SSX3」は希少なDTS対応ソフト

 総タイトル数では他機種を圧倒しているのに、高画質出力に対応したソフトは意外にも少ないPS2。実際にカウントしたわけではないが、480p対応ソフトの数ではXboxが最多、次いでニンテンドーゲームキューブ、最後にPS2という順になるはず。映像が480p出力の16:9ワイド対応で、音声もサラウンド対応のPS2ソフトとなると、ほんの一握りしかない現状だ。

 そんな数少ないソフトの中で、特にオススメしたいのがEAの「SSX3」だ。想像を絶するような急勾配のコースを滑走したり、傾斜やジャンプ台を利用して華麗なトリックを決めるといった、いわゆるエクストリーム系のスノーボードゲームだ。

 このSSX3、パッケージやマニュアルのどこにも記載がないのだが、実は480p出力に対応している。その切替え方法は、ゲームを起動する際にコントローラーの△ボタンと×ボタンを押し続けるというものだ。

 PS2には、これと同じ方法で480pに切り替えられるソフトがほかにもあるようで、筆者が実際に確認した中では、EAの「バーンアウト3」(マニュアル中に記載あり)やカプコンの「カプコン ファイティング ジャム」(記載なし)も480p対応だった。ほかにも同様の“隠れプログレッシブ対応ソフト”がないか、お手持ちのソフトでこのコマンドを試してみるといいだろう。

画像 SSX3の起動時にコントローラーの△ボタンと×ボタンを同時押しのまましばらく待つと、画面にこのようなメッセージが現れるので、「Yes」を選択するとプログレッシブ(480p)表示に切り替わる

 話をSSX3に戻して、このソフトを480pで表示してみると、ジャギーが若干気になるものの、全体的にシャキッと引き締まった感じの映像になり、コースの先も見通しやすくなる。ただ、どちらかというと480p表示による画質の向上よりも、ワイド表示で周囲を広く見渡せることの方がメリットは大きい。

画像 画質が飛躍的に向上するわけではないが、480pにするとちらつきが抑えられると同時に、メリハリのきいた映像になる。ライティングや花火などの演出もキレイ

 また、SSX3はサウンド面にも特徴があって、ドルビープロロジックIIとDTSに両対応している。DTS対応ソフトがリリースされているのは、現時点でPS2のみで、その数も極めて少ない。SSX3以外では、前作の「SSXトリッキー」(EA)や「グランド セフト オート:バイスシティ」(カプコン)などがDTSに対応している。

 PS2はハードウェアにサラウンドエンコード機能を搭載していないので、DTS音声もソフトウェア処理で生成している。その負荷を軽減するためか、SSX3のDTS音声はセンターチャンネルを使わない4.1ch出力なのだが、サラウンド効果は他のソフトと比べてもかなり優れている。

画像 「オプション」の「サウンド出力」で、「サラウンド」にするとドルビープロロジックII出力に、「DTS」にするとDTS出力になる。DTSは4.1chだが、サラウンド効果が高く、音も歯切れが良い

 たとえば、レース中にライバルのライダー(COM)が近くを滑走していると、自分に声を掛けてくることがあり、その声が相手のいる方向からちゃんと聞こえてくるのがおもしろい。また、派手なトリックを決めるとギャラリーから歓声が沸くが、それもプレイヤーを包み込むようにあちこちの方向から聞こえる。こうした音の分離性や包囲感の明快さは、さすがディスクリートサラウンドといった感じだ。

画像 レース中に自分の操作するキャラとライバルが言葉を交わすことがあり、相手のいる方向から声が聞こえる。声の大きさも、自分と相手との距離によって変わる

 ロイクソップの「Poor Leno」をはじめ、サウンドトラックにもセンスの良い楽曲が多数収録されていて、それが仮想ラジオ局からDJ付きで流れるという仕掛けも気分を盛り上げてくれる。映像もさることながら、音による演出が光るソフトなので、5.1chシステムならその魅力がいっそう引き立つはずだ。

サラウンドで遊びたいオススメの2本

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