よみがえれ美しい思い出! 「タイトーメモリーズ下巻」で記憶の旅に出る(3/4 ページ)
エレベーターアクション
本作がゲームセンターでデビューした83年と言えば、あの「ゼビウス」が登場した時期と重なる。それまでには存在しなかった“ゲーム・ミュージック”文化を取り入れ、さらにはソルやスペシャルフラグなどの隠しキャラをも導入し、すべてにおいてアーケードゲームの革命的存在となっていた。
その時期、筆者が通っていたゲームセンターには、「ゼビウス」ならぬ「ゼビオス」が入っていたが、なぜかそれを無視して遊んでいたのが、SNKの「ジョイフルロード」と「エレベーターアクション」だった。
特に、エレベーターアクションの主人公はスパイのはずなのだが、ビルに忍び込むデモ画面を見る限りではタダの子供にしか見えないとか、頭が真っ平らなので敵弾をしゃがんでかわすという芸当ができたりと、あまりのユニークさに取りつかれたようにプレイした記憶がある。
エレベーターで敵を潰したときや電灯を当てて倒したとき、ジャンプして敵を押しつぶしたときの爽快感も最高で、ジャンプしながら「ヒッププレス!」などと叫びつつ遊んだものだった。しかし、タイミング悪くエレベータの天井に乗って敵に潰されたことがあり、そのショックの大きさから引退し、コナミのジャイラスへと逃避した思い出がある……。
目的は、30階建てのビルに忍び込み、赤いドアの中に隠された機密書類をすべて盗みだし、地下に止めてあるポルシェ(?)のような車に乗って脱出すること。タイトルの通り、ビルにはあり得ないぐらいの数のエレベータが設置してあり、これを利用して各階を移動したり、敵を倒すことになる。プレイヤーの武器は、3連射ができる拳銃とジャンプ、しゃがむことのみ。しかし、敵に重なってジャンプすれば蹴りで倒せるし、エレベータと地面の間に挟み込めば潰してしまえる。なお、7階より下は各フロア2部屋しかなく、それ以外はすべてエレベータという、とんでもない構造になっているのだ。
さまざまなテクニックが使えるだけでなく、銃も3連射が効くため、今プレイしてもそれほど違和感を感じない。敵も、面が進むと伏せて銃を撃ってきたりはするものの、それほどひねた攻撃をしてこないので、下巻の中でも比較的クリアしやすいタイトルだろう。エレベータの使い方も重要だが、所々にあるエスカレータを如何に利用するかも、隠れたコツとなっている。「こんな数のエレベータが設置してあるビルなんて、骨組みがふにゃふにゃで建っていられるわけがないから、ぶっちゃけあり得ない!」は、禁句ということで(笑)。
ザ・ニュージーランドストーリー
この頃のタイトーは、なぜか似たようなシステムでタイトルの違う作品を、いくつもリリースしていた。例えば、「ザ・ニュージーランドストーリー」と似ているものとしては「地獄めぐり」や「ミズバク大冒険」があったし、翌年には「インセクターX」と「中華大戦」という似たような内容のゲームが登場している。
これらは、目新しさがあまりないという代わりに、ルールもほとんど同じなのでプレイしやすい、というメリットがあった。中でも、「ザ・ニュージーランドストーリー」はキャラのかわいさも相まって、近所のゲームセンターでは比較的長く稼働していた記憶がある。
最初は、ポップなノリのBGMに乗せられつつプレイしていたのだが、後になってから隠し扉があるというのに気づき、プレイスタイルが一変した。それまで地道に進めていたものが、今度は隠し扉を利用しながらの移動に変更してみると、扉の先にはEXTENDの文字が大量に! タイトーのゲームではバブルボブルから採用された(と記憶しているが……)、文字を全部揃えると自機が増えるシステムは、ザ・ニュージーランドストーリーにも健在で、今度はEXTENDの文字を探す作業へと変わってしまった。さらわれた仲間の救出は、一体どこへやら(笑)。
主人公“ティキ”は、南氷洋からきたアザラシにさらわれてしまった仲間を助けるべく、迷宮内を駆けめぐる冒険に出る。ティキは弓を装備していて、これで出現した敵を攻撃・倒すことができる。敵が消滅した後には、フルーツなどの得点アイテムや武器が落ちていることがあり、それを取ることで戦いが有利になったり不利(!)になる仕組みだ。
また、ジャンプだけでは行けない場所もあり、その時は出てくる敵が乗っている“おまる”などの乗り物を奪って進むことに。途中、何も無いところにショットを撃ち込むと扉が現れたり、EXTENDの文字を揃えると自機が増えるなど、隠し要素も満載。各ワールドの最後には巨大なボスが待っていて、倒せばエリアクリアとなる。
中盤を過ぎると面構成が広くなり、どこをどのように進めばよいかで迷ってしまうのが、今プレイしてみると厳しいところ。また、乗り物に乗ったときの操作方法が難しく、慣れないうちはすぐにやられてしまう。完全マップと攻略ルートつきの解説本が登場してくれれば、かなりクリアできる人も増えると思うのだが……。
それでもティキの愛らしさは、個人的には“ちゃっくん”に通じるところがあると思っている。キャラとしては単純なのに、なぜか見ている人を惹きつける、そんな可愛らしさが画面から伝わってくるタイトルだ。彼の勇士を見るためだけにプレイしても、惜しくない作品だろう。
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