向谷実氏が実演を交えつつ熱く語る――「Train Simulator 京成・都営浅草・京急線」イベントリポート東京ゲームショウ2005――タイトーブース

8月25日に発売された「Train Simulator 京成・都営浅草・京急線」のプロデューサーである向谷実氏によるステージイベントがタイトーブースの特設ステージで開催。ゲーム内容が向谷氏によって詳細に解説された。

» 2005年09月17日 22時32分 公開
[平澤寿康,ITmedia]

 「Train Simulator」シリーズは、タイトーの「電車でGO!」シリーズと並ぶ、列車運転シミュレーションの人気タイトルだ。そのTrain Simulatorシリーズの最新作で、8月25日に発売されたばかりである「Train Simulator 京成・都営浅草・京急線」(TS 京成・都営浅草・京急線)の内容を、プロデューサーである向谷実氏自らが詳細に解説するというイベントが、東京ゲームショウ2005のタイトーブース特設ステージで開催された。

 ステージに登場した向谷氏は、「1995年にTrain Simulatorの1作目を出したので、今年が10周年になります。そこで、これまでに出した路線で運転できる距離を全部足してみたんですけど、1632.2kmも運転できるんですよ。これは、私のバンドの名前と同じ寝台特急カシオペアの片道分の距離でもおつりが来る、そんな感じだと思います。」と、向谷氏らしいコメントで始まったこのイベント。もちろんステージ上は向谷氏ただ一人で、まさにオンステージといった様相だ。

 このTrain Simulator 京成・都営浅草・京急線は、8月25日に発売された、シリーズ28作目、プレイステーション 2用としては5作目となる。本作の制作で苦労した部分は、3つの異なる鉄道会社を通してプレイできるようにする、という点だったそうだ。普通であればかなり難しい調整が必要となると思うが、過去の作品からつきあいのあった京浜急行が協力して他の鉄道会社にアプローチしてくれたことで、3つの会社の路線をすべて通してプレイできるようになったそうだ。

 そして、それに絡むことだが、Train Simulatorシリーズは実写映像を利用していることはおなじみだが、もちろん本作でも実写が使われている。しかし、3つの異なる鉄道会社の路線を通して実写の風景を撮影することはできないので、それぞれの会社分を別々に撮影しなければならない。そのあたりの調整が大変だったといったエピソードが語られた。

 他にも、様々な努力があったそうだが、その甲斐あって本作は、在来線を題材としたシリーズの中で最長の運転距離、最大の車両数、とてつもなく多いダイヤを用意できているそうだ。とにかく、鉄道ファンにとって、これ以上ない非常に魅力のあるタイトルになっているわけだ。

 開発上の苦労話に続き、ゲーム解説では、本作で用意された練習モードの「ブレーキ練習」や、電車の運転方法のコツ、運転できる鉄道会社や車両の増やし方、京成スカイライナーを利用した実際のゲームプレイなどを、向谷氏自らがプレイしながら細かく解説された。そしてここでも、運転台の各種メーターの針の動き、運転中に聞こえてくる走行音、信号機の光り方、低速走行時での実写映像のなめらかさなど、制作上こだわった部分の説明が行われた。「プロの運転手に見てもらってお墨付きをもらえるクオリティ」、そこを目指して細かな部分までこだわっているそうだ。

 そして、このイベントの最後に向谷氏から大きな発表があった。それは、このTrain Simulatorの技術が、業務用の運転シミュレータに採用されることになった、というものだ。ハイビジョンクオリティで撮影した映像を利用し、Train Simulatorの技術を使って、実際の鉄道会社が利用する教育用の運転シミュレータを制作することになったそうだ。

 業務用のシミュレータ技術がゲームに応用されるというのはよくあるが、その逆のパターンはそう多いことではなく、これは快挙といってもいいだろう。まさに、Train Simulatorシリーズが鉄道会社や実際の電車の運転手の人からも認知され、認められていることの証でもあるだろう。向谷氏は、「業務用シミュレータ制作で得た知識や経験を、次世代のゲーム開発にも生かしていきたい」と語っていたので、ファンは次世代機向けのTrain Simulatorシリーズに大いに期待しよう。

プロデューサの向谷実氏。氏自らこだわって制作しているシリーズ最新作だけあって、熱の入った説明が行われた
専用コントローラを利用してゲームをプレイしつつ、細かなこだわりの部分まで説明してくれた
京成、都営浅草、京急の3路線をまたがって運転できる。在来線を取り上げたシリーズ中最長の運転距離、最大の列車数を誇る
特にこだわっている部分は、このように自ら指で指し示しつつ説明。鉄道ファンにとってはたまらないイベントだ

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