初代「Harpoon」のヒゲ親父にキュン:勝手に連載!「レトロ“PC”ゲームが好きじゃー」(4/5 ページ)
» 2005年11月04日 22時41分 公開
[長浜和也,ITmedia]
複雑なデータを「簡単に」扱えた秀逸なゲームデザイン
「Cutting the Noose」は「ソ連に占領されたキエブラヴィーク基地にニミッツ級空母を基幹とする米機動部隊が攻撃をかける」という、「レッド・ストーム作戦発動」の「吸血鬼の踊り」の章で描かれている状況を再現したようなシナリオだ。
日本でHarpoonが紹介されたとき、多くのPCゲーム雑誌で「難解なゲーム」として評価されてしまったが、実際は「ゲームのために覚えなければならないこと」は意外と少なく、ゲーマーは実際の指揮官と同じように「艦隊陣形を指示する」「攻撃隊を武装させる」「攻撃隊を編成して出撃させる」という思考で作戦(ゲーム)を進めることができる。
艦船、航空機、センサー、兵器に関する精緻で膨大なデータベースが高く評価された(ただし“正確”かどうかについては評価が分かれるところで、このメンテナンスに開発元のThree-Sixty Pacificや版権を受け継いだ各ベンダーが苦労することになる)は当然としても、こういった「現実に近い思考を体験できる」ゲームデザインにPC版Harpoonの素晴らしさを感じる。リアリティとは見た目だけでなくデザインも重要、と思う理由がここにある。
Harpoonのメイン画面。上画面は戦闘グループ単位で戦況を把握する作戦画面とすれば、下は単艦単機の戦況を把握する戦術画面となる。マウス操作に対応しており、画面の上部にはメニューバーが設けられ、そこからプルダウン式に命令や設定項目が選択できるなど、Windowsを思わせるインタフェースがすでに実装されていた
何はともあれ、ゲームが始まったら艦隊陣形を整える。脅威軸を見定めて、対空、対潜それぞれに適した艦を適切な位置に配置し、航空機もCAP、ASWに振り分ける。Harpoonでは「バックファイヤーが発射するAS-6キングフィッシュの射程は250海里だから、射程110海里のフェニックスを搭載したトムキャットを配置する外縁防空エリアは空母から少なくとも140海里離さなくてならない」と考えることになる。また、いったんAAW、ASWを配置すれば、PCがローテーションを組んで航空機の発着管制を行うなど、プレーヤーの負担を軽減してくれた
Harpoonでは航空機の武装は任務によって決まっている。プレーヤーは艦隊司令であってミサイル一本までいちいち口を出さないのだから当然である。データの細かさと同時に、こういった「省略のデザイン」がシミュレーションの「それっぽさ」を向上させる。F/A-18ホーネットの対空任務武装でAIM-120がないあたりに初代Harpoonの時代を感じさせる
リアルタイムシステムでは、複数の部隊にたいするコントロールが容易でない。Harpoonではこの問題を「Enter Group Coruse」メニューである程度解決していた。部隊の進路をWayPointで設定すると同時に、その場所で実行する行動を指定できる。「敵のレーダー探知範囲に入るまでは低空を巡航速度で飛行し、対空レーダー圏では超低空高度に変更。対空ミサイル射程圏に突入したらアクティブセンサーを動作させ戦闘速度で一気に駆け抜ける」という行動が可能になる。この機能はHarpoonIIで「Mission Editor」に発展する
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