「ICO」同様、既存のゲームと比べることがナンセンス「ワンダと巨像」レビュー(1/3 ページ)

世界が待ち望んだ「ICO」制作チームの新作「ワンダと巨像」。その内容はワンダを操作し、巨像を倒すというシンプルながら力強いもの。スタートボタンを押すと、その先には美しいフィールドが広がっていた。

» 2005年11月07日 21時28分 公開
[立花裕壱,ITmedia]

空気感が絶賛された「ICO」

 2001年に発売された「ICO」は、それまでのゲームの常識を打ち破ったタイトルだった。主人公はいけにえとして霧の城に連れてこられた角が生えた少年イコ。同じく城に囚われていた少女ヨルダと手を取り合って、複雑に入り組んだ城の出口を目指す。

 登場人物は限りなく少なく、主人公のイコと謎めいた少女ヨルダ、そして城の女王の3人程度で物語は展開する。状況を説明する文章や無駄な会話は排され、RPGやアドベンチャーにありがちなコレクション要素やミニゲームもない、極限まで削ぎ落とされたスタイルが斬新だった。

 シンプルゆえに、ICOの世界はプレーヤーを強くひきつける。この城はどうしてできたのか、イコにはなぜ角が生えているのか……。想像の翼は限りなく広がっていく。さらに、絵になるビジュアルも特徴のひとつだ。巨大な城とちっぽけなイコ、白い少女と黒い影の対比。ムービーだけでなく、プレーヤーが操作するゲームの一瞬一瞬でさえも、ハッとするほど美しい。

 結果として、ICOはライトユーザーも巻き込んで、口コミでロングセラーになったのはご存じの通り。国内のみならず海外でも各種の賞を受賞し、世界中で高い評価を受けた。

 こうなると当然のように注目されるのが次回作だ。ICO制作チームの次回作は、発表前から「NICO」というコードネームで呼ばれ、世界規模でさまざまな噂が飛び交ってきた。そして2005年10月27日、とうとう新作「ワンダと巨像」がお目見えした。

 本作の主人公はイコではなく、タイトルにもあるようにワンダ。世界観はある程度重なっているようにも映るが、物語そのものは直接的な続編ではない。本作のメインは巨像との対決。巨像と小さな人間である青年の対比が目を引く。そしてやはり無駄な演出は省かれ、こちらの想像力を強くかき立てる作りとなっている。

 あれだけカリスマ的な人気を得たICOだから、ゲーム内容や主人公を変えずにそのまま続編を作るという手もあったのかもしれない。しかし、安易にそうしなかった作り手の、本作にかける思い入れが伝わってくる。もはやゲームと呼ぶよりは、アーティスティックな“作品”と呼ぶのにふさわしいと言えるだろう。

photo 石造りの「霧の城」が舞台だった前作と異なり、今回は自然に満ちた壮大な荒野「古えの地」を駆けめぐる
photo ワンダは「いにしえの剣」を携えて、死者が蘇るという伝承が残るこの地へ来た。足を踏み入れることは禁じられているようだが……
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2501/21/news021.jpg 【ヤフオク】“3万円”で購入した100枚の着物帯 →現役着付師が開封すると…… “まさかの中身”に驚き
  2. /nl/articles/2501/22/news010.jpg 子なし夫妻が“人間の子ども”のように育てた柴犬を、実家の家族に会わせたら……  幸せあふれる展開に「とっても嬉しそう」
  3. /nl/articles/2501/22/news035.jpg 友達に「あれ、お前んちパーティ中?」と言われた“実家”が100万再生 衝撃の全貌に「ビビってます」「ウチの中にない物ばかりwww」
  4. /nl/articles/2501/22/news088.jpg 道で“お宝”拾ったと大興奮→磨いたら…… 3430万再生された驚きの職人技に「まさに芸術作品!」「信じられない」【海外】
  5. /nl/articles/2501/21/news098.jpg 「キティちゃんのお面だと思ったら……」 ひっくり返した“まさかの正体”が830万表示 投稿者に話を聞いた
  6. /nl/articles/2501/22/news029.jpg 0歳赤ちゃん、朝起きてママに気付いた瞬間…… 涙が出そうになる表情が600万再生「こーれーはーやばい!」「あかん一生みてまう」
  7. /nl/articles/2501/22/news108.jpg 東京ディズニーリゾート、“あのブランド”とコラボした紅茶に反響 「遂に来たぁあああ!!」「買うしか!」
  8. /nl/articles/2501/22/news076.jpg 実物大ν(ニュー)ガンダムが公開から数年たち…… 現在の姿を捉えた写真に反響 「イラストかと思った」「かぁぁっこえぇ……」
  9. /nl/articles/2501/21/news023.jpg 100円で売ってた謎のジャンクDSソフト、その中身は…… “とんでもないデータ”が入った掘り出し物「これもう運命の出会いでしょ」
  10. /nl/articles/2412/09/news077.jpg 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
先週の総合アクセスTOP10
  1. ドブで捕獲したザリガニを“清らかな天然水”で2週間育てたら…… 「こりゃすごい」興味深い結末が195万再生「初めて見た」
  2. 「配慮が足りない」 映画の入場特典で「おみくじ」配布→“大凶”も…… 指摘受け配給元謝罪「深くお詫び」
  3. 市役所で手続き中、急に笑い出した職員→何かと思って横を見たら…… 衝撃の光景が340万表示 飼い主にその後を聞いた
  4. 鮮魚店で売れ残っていたタコを連れ帰り、水槽に入れたら…… ヤバすぎる光景に「こんなに可愛いなんて!」「笑ってしまった」
  5. 母「昔は何十人もの男性の誘いを断った」→娘は疑っていたが…… 当時の“モテ必至の姿”が1170万再生「なんてこった!」【海外】
  6. 「まじで終わってる」 マクドナルド「エヴァ」コラボ品“高額転売”に嘆く声…… 「結局欲しい人が買えない」
  7. 母に「髪染めやピアスはダメ」と言われ続けた25歳東大女子、大変身を決意したら…… まさかの事態に「さすがにおもろい」「涙出てきた」
  8. 賞味期限「2年前」のゼリーを販売か…… 人気スーパーが謝罪「深くお詫び」 回収に協力呼びかけ
  9. 風呂上がりに偶然「牛乳を注ぐ女」になった人に反響 「ほぼそのままw」「盛大にふきだした」 投稿者に話を聞いた
  10. タンクトップ姿のパパ「昔はモテた」→娘は信じていなかったが…… かつての姿に衝撃走る「『トップガン』に出ていても納得」【海外】
先月の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  3. 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
  4. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  7. 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
  8. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  9. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  10. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」