連載
» 2005年11月30日 10時09分 公開

ビジネスとエンターテインメントの両立「三國志」ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(1/3 ページ)

シミュレーションゲームはプレー時間が長い。光栄(現・コーエー)の「三國志」を取り上げようと思ったが、プレーしているうちに1日、2日……。原稿を書く時間も少なくなったが、暇を見つけて赤壁まで行ってきた!

[ゲイムマン,ITmedia]

赤壁へ行ってきた!

 今回取り上げるのは、光栄(現・コーエー)の「三國志」。

 この連載では毎回、そのゲームにゆかりの深い場所(多少こじつけもあったけど)で撮った写真を掲載してきたが、今回は何と、あの赤壁まで行って撮ってきた。

 Wikipediaによると、赤壁といっても、孫権・劉備連合軍が曹操軍を破った赤壁と、後年、蘇軾(そしょく)が「赤壁賦」を作った赤壁は、違う場所らしい。

 で、私が行ったのは、そのどちらでもなく……、

 長瀞(ながとろ)ライン下りで有名な、秩父赤壁である。

画像 紅葉の見頃と祝日が重なったので、この日は観光客が多かった。秩父鉄道長瀞駅からすぐ

 このように、秩父の岩肌にも“赤壁”という名前がつくくらい、三国志は日本に深く根づいている。

 中華街にある「関帝廟」というのは、三国志の関羽と関平、周倉をまつったものだし、「三顧の礼」「危急存亡のとき」など、三国志に由来する故事成語も多い。

 新しいところでは、安達祐実さんとスピードワゴン井戸田さんが、おつき合いするきっかけの1つになったという話もある。

 三国志が日本人に知られるようになったのは、吉川英治氏の小説や、横山光輝氏のマンガなどによるところも大きいのだろうが、コーエーの「三國志」をきっかけに、三国志を知った人々も多いだろう。

 ちなみに私は、NHKの人形劇から入ったクチだが、やはり本格的にハマったのはゲームから。

 人形劇は途中からしか見ていなかったので、ゲームに出てくる呂布とか袁紹とか太史慈とかが、どんな人だったのだろうと興味を持ち、岩波文庫の「完訳三国志」を全巻読んだ。

コーエーにはスーツがよく似合う

 「三國志」は、中国の古典文学「三国志演義」(三国演義)に登場する君主の1人となって、他の君主たちと中国の覇権を争うゲームである。

 単に他国と戦争するだけではなく、領国を経営して、武将や兵士を雇ったり、兵糧や武器を買ったりするための資金を捻出しなくてはならない。領民の信頼を得られなければ、多くの資金を得ることもできないし、下手すると領民が反乱を起こすことすらある。

 政治や経営にたずさわる人の中にも、“民がいてこその政治家”“顧客や社員がいてこその経営者”ということが、感覚的に理解できない人もいるようだ。「三國志」や「信長の野望」をプレーすると、民の信用を得ることがいかに大切か、自然と身につくようになる。

 コーエーのゲーム、特に“歴史三部作”(三國志、信長の野望、蒼き狼と白き牝鹿)は、エンターテインメントでありながら、同時にビジネスのにおいがする。

 実生活で役立つソフトでありながら、エンターテインメントとしても優れている。この2つの要素を両立させるのは、なかなか難しいことだと思うが、これらのゲームは無理なくそれを成し遂げている。

画像 スタート時の時代設定を5通りから選べる。これは董卓が実権を握った頃。反董卓連合軍は有名無実化し、各地に小さな勢力が点在する状態

 そういえば、コーエーというメーカーは昔から、「ゲームメーカーなのに、普通の会社っぽい」気がしていた。「コンプティーク」誌で得た知識(しかもうろ覚え)なのだが、昔からコーエーには社訓があり、社員はスーツを着て仕事をしていたらしい。

 通常、私はメーカーの人が、ゲームショウなどファンと接する場で、スーツでうろうろしているのを見るのがあまり好きではない。“ハレ”(非現実、祭り)の世界から、“ケ”(現実)の世界に、いきなり引き戻されるような気がするからだ。

 でもコーエーなら別段、気にならない。むしろ、スーツであってほしいとすら思う。

 昔から、普通の会社っぽいことがコーエーというメーカーのキャラクターであり、またそれが、コーエーのゲームのイメージとも、よく合っていると思うのだ。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/1605/20/news111.jpg 絶対にプラスチックのカップで「焼きプリン」を作るという執念 森永「焼きプリン」の製法特許がすごいと話題
  2. /nl/articles/2312/09/news033.jpg 13年外につながれボロボロのおばあちゃんワンコを保護 人間を信じ始める姿に涙「今まで苦労した分以上の幸せな余生を送れますように」
  3. /nl/articles/2312/10/news011.jpg 犬同伴OKのビュッフェに柴犬と行ったら…… 全く別の楽しみ方をしてしまう姿に「かわいいいいい」「気持ちよさそう」
  4. /nl/articles/2312/10/news019.jpg 入院で2週間不在だったママを待ち続けた猫、再会の瞬間…… 涙を誘う喜びあふれる“お返事”に「深い絆に涙が」「嬉しさがひしひしと」
  5. /nl/articles/2312/10/news018.jpg 同居猫のおしりを嗅いで「テメェ屁こいたなぁ!!!!!??(怒)」と理不尽ギレする猫の姿に抱腹絶倒「夜中に爆笑させないで」「名作」
  6. /nl/articles/2312/10/news061.jpg 遠藤憲一、保護犬を家族に迎える 「保護時には栄養失調と足に怪我を」悲しい過去も、ウキウキお散歩ショットにほっこり
  7. /nl/articles/2312/08/news013.jpg 愛猫が息を引き取る直前「ありがとう、楽しかったよ」と声を掛けたら…… 家族みんなが久々に集った夜の奇跡に涙
  8. /nl/articles/2312/09/news081.jpg 短編ホラーゲーム「8番出口」で“開発者も知らない異変”が発生し笑いと恐怖 「マジでホラー」「本物の『怪異』だ」
  9. /nl/articles/2312/10/news033.jpg 捨てられて真っ黒だった元野良猫が、家猫になった今では…… 真っ白で幸せいっぱいの暮らしに「ほんときれいな美猫さんに」「胸が熱くなる」
  10. /nl/articles/2312/08/news180.jpg ミス東大の水着グラビアデビューに「東大まで行って」と失望の声 本人&現役グラドルも加わるネット論争に
先週の総合アクセスTOP10
  1. オール巨人、30年モノな“伝説の1台”に自負「ここまでキレイな車はない」 国産愛車の雄姿に称賛の声「気品がある」「凄くエレガント」
  2. 「明らかに写真と違う」 東京クリスマスマーケットのフードメニューが物議…… 購入者は落胆「悲しかった」
  3. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  4. 田中みな実、“共演した姉”の存在に反響「居るとは聞いていたけど」「激似やなぁ」 すらっとしたたたずまいに「品のあるお方」
  5. 藤本美貴、“全然かわいくない値段”のテスラにグレードアップ スマホ一つでの注文に「震えちゃ〜う!」
  6. マックで「プレーンなバーガーください」と頼んだら……? 出てきた“予想外の一品”に驚き「知らなかった」
  7. 伊藤沙莉、“激痩せ報道”の真相暴露→広瀬アリスの株が上がってしまう 「辱めったらない」告白に「アリスちゃん、ええ人や〜」
  8. 「あなたは日本人?」突然送られてきた不審なLINE、“まさかの撃退方法”に反響 「センス良い」「返しが秀逸」
  9. “鬼ダイエット”で激やせの「Perfume」あ〜ちゃん、念願の姿に「着れる日が来るなんて」と大喜び
  10. 900万再生のワンコに「電車で笑ってしまった」「つられてめちゃくちゃ笑っちゃうw」 “突然魔王になった犬”に腹を抱える人続出
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「酷すぎる」「不快」 SMAPを連想させるジャンバリ.TVのCMに賛否両論
  2. 会話できる子猫に飼い主が「飲み会行っていい?」と聞くと…… まさかの返しに大反響「ぜったい人間語分かってる」
  3. 実は2台持ち! 伊藤かずえ、シーマじゃない“もう一台の愛車”に驚きの声「知りませんでした」 1年点検時に本人「全然違う光景」
  4. 大好物のエビを見せたらイカが豹変! 姿を変えて興奮する姿に「怖い」「ポケモンかと思った」
  5. 渋谷駅「どん兵衛」専門店が閉店 店内で見つかった書き置きに「店側の本音が漏れている」とTwitter民なごむ
  6. 西城秀樹さんの20歳長男、「デビュー直前」ショットが注目の的 “めちゃくちゃカッコいい”声と姿が「お父さんの若い頃そっくり」「秀樹が喋ってるみたい」
  7. “危険なもの”が体に巻き付いた野良猫、保護を試みると……? 思わずため息が出る結末に「助けようとしてくれてありがとう」【米】
  8. 「やばい電車で見てしまった」「おなか痛い、爆笑です」 カメがまさかの乗り物で猫を追いかける姿が予想外の面白さ
  9. おつまみの貝ひもを食べてたら…… まさかのお宝発見に「良いことありそう」「すごーい!」の声
  10. 「3カ月で1億円」の加藤紗里、オーナー務める銀座クラブの開店をお祝い “大蛇タトゥー”&金髪での着物姿に「極妻感が否めない」