練馬の3人組がアニメ界に新風を巻き起こす!?――TVアニメ「練馬大根ブラザーズ」(2/2 ページ)

» 2006年01月11日 13時57分 公開
[ひろいち,ITmedia]
前のページへ 1|2       

 キャラクターに命を吹き込む声優陣に対するこだわりも見逃してはならない。主役のヒデキを演じるのは、約10年ぶりに声優に挑戦するという歌手・松崎しげるさん。その歌唱力は言うに及ばず、声優経験もある松崎さんならミュージカルアニメという難題にもうってつけだ。また、イチローを演じるのは人気声優・森久保祥太郎さん。趣味はギターと語る森久保さんは、バンド「AN's ALL STARS」を組んで年数回のライブもこなすなど、歌手としても精力的に活動をしている。さらに、マコを演じる声優・松本彩乃さんも歌唱力を買われて抜擢されたというから、その美声はスタッフのお墨付きともいえる。こうした出演者やスタッフ陣を見れば、史上初の試みに対しても万全の体制で臨まれていることがわかるだろう。

アフレコの様子。左から森久保さん、松本さん、松崎さん

 そんな本作の、ミュージカル以外の見どころを声優さんにうかがってみた。森久保さんは「ふんだんに盛り込まれているネタを見てほしい」と語っている。ナンセンスかつシュールなギャグに定評のある浦沢氏が脚本を担当するだけに、その内容もやはり飛びぬけたものになるようだ。たとえば、練馬在住のギャング(しかも、アイドル志望の女の子とホストと農園経営者の3人組)なのに、大根畑の上にドームを建てるのが夢など、設定だけを見ても愉快なものになっているのだが、そのほかにも、某金融会社のCMに登場するかのようなレオタード姿のダンサーたちが登場してみたり、眼鏡とマフラーがよく似合う韓国系のパチンコ店オーナーが出てきたりといったパロディ要素も盛り込まれているようだ。森久保さんは「それだけに、1回見ただけでは面白さが伝わらないかもしれない」と前フリをした上で、「ビデオを録画したり、もしDVDが発売されたら買っていただいたりして何回も楽しんで見てください」と、しっかり番組をアピールした。

 また声優さん方に、本作のキャラクターを演じるにあたって、苦労したことなどはあったのかと聞いてみた。松崎さんは「オープニング曲を歌っているときの声の響きがヒデキの声のイメージにあっていると言われ、キャラクターの方向性が見えてきました。なので、今のところ苦労はないですね」と順調な様子。「久しぶりの声優挑戦なので、今後バシバシ演技指導してもらって、よりよいヒデキを演じていければと思っています」とやる気も十分のようだ。

 松本さんはオーディションの際に受けた歌のテストで、歌声がマコのイメージにピッタリだったと絶賛されたそうだ。そんな彼女には演技の上での苦労はないだろうなと思っていると、どうやらそうでもないらしい。「じつは私、普段喋っている声と歌うときの声が違うんです。だから、演技をしているときはもっと地声に近い状態で喋ってと注意を受けたり、いろいろ苦労が絶えません。マコはアイドル志望という設定なので、可愛らしさを出してみるなどいろいろ工夫しています」とのこと。

 さらに森久保さんにいたっては、設定の変更などの関係で「イチローの性格が最初の打ち合わせのときに聞いていたものと180度変わっていた」のだそうだ。「それに気付いたときはさすがに驚きましたね。テンションの高い男をイメージして役を作っていたんですが、実際にアフレコに向かってみたら寡黙な男でビックリ!! しかも、3人の中でのツッコミ役という立場だけは変わっていなかったので、テンションを上げずにツッコまなくてはならないという高度なセリフを要求されたり(笑)。そんなこともあって、最初の収録のときはキャラクター作りが大変でしたね」と明かす。

 少なからず苦労もあるようだが、さすがに歌で選抜された3人だけあって、ミュージカル部分で苦労したという発言は出てこなかった。松崎さんも「歌仕立て、ミュージカル仕立てのアニメシリーズというのは、今までに見たこともないし聞いたこともない。そんな作品ですから、それなりの苦労はあると思います。でも、出演者スタッフ一丸となって乗り越えて行きたいですね。素敵な作品ができるよう、がんばって歌っていきたいです」と、難問も苦にしない熱い意気込みを語ってくれた。

インタビューの際は松崎さんの絶妙のトークもあり、爆笑につぐ爆笑の大盛り上がりだった。ネタバレ(や下ネタ)もあって、お伝えできないのが残念なほど

 ナベシン監督と浦沢氏は、本作で“テレビアニメ業界に新風を巻き起こす”という熱意をもって制作に臨んでいるそうだ。そしてその思いは、スタッフ、出演者とも同じであることがインタビューからもうかがえた。数年前に流行した映画で「ムトゥ 踊るマハラジャ」というミュージカル映画があったが、あれはどこかコミカルかつナンセンスな雰囲気を持っていて、子供から大人まで楽しめる作品だった。そして、そんな「ムトゥ 踊るマハラジャ」や映画「ブルースブラザーズ」などが、本作を制作する際の参考のひとつになっているそうだ。それだけに、やはり年齢を超えて誰でも楽しめる(そして子供ならでは、大人ならではの楽しみ方ができるような)作品を製作してくれるのではないかと期待せずにはいられない。もちろん初めてのジャンルを手掛けるということで、松崎さんの言葉を借りれば“今までにない作品だからこその苦労もある”とは思うが、それはスタッフや出演者の熱意で乗り越えていってくれるだろう。“史上初のミュージカルアニメ”シリーズの今後に、ぜひ注目していきたいと思う。

2006年1月9日からテレビ東京系にて毎週月曜日25時30分より放映開始
監督/ワタナベシンイチ シリーズ構成/浦沢義雄 キャラクターデザイン/近藤高光 ミュージカル監督/遊佐かずしげ 演出チーフ/斎藤徳明 テクニシャン/はるか 色彩設計/宮川貴江 編集/森田清次 音響監督/濱野高年(マジックカプセル) 音楽/F☆CK 音楽プロデューサー/栗田秀一・渡邉雅之 効果/森川永子(サウンドガーデン)
野崎博樹(サウンドガーデン) 調整/野口あきら 番組担当/森村祥子(テレビ東京) 原作/アニプレックス/スタジオ雲雀
ヒデキ/松崎しげる イチロー/森久保祥太郎 マコ/松本彩乃
(C)2006アニプレックス/スタジオ雲雀


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/18/news202.jpg 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの行動”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」【大谷翔平激動の2024年 「家族愛」にも集まった注目】
  2. /nl/articles/2412/20/news023.jpg 60代女性「15年通った美容師に文句を言われ……」 悩める依頼者をプロが大変身させた結末に驚きと称賛「めっちゃ若返って見える!」
  3. /nl/articles/2403/21/news088.jpg 「庶民的すぎる」「明日買おう」 大谷翔平の妻・真美子さんが客席で食べていた? 「のど飴」が話題に
  4. /nl/articles/2412/21/news038.jpg 皇后さま、「菊のティアラ」に注目集まる 天皇陛下のネクタイと合わせたコーデも……【宮内庁インスタ振り返り】
  5. /nl/articles/2412/21/news056.jpg 真っ黒な“極太毛糸”をダイナミックに編み続けたら…… 予想外の完成品に驚きの声【スコットランド】
  6. /nl/articles/2412/21/news088.jpg 71歳母「若いころは沢山の男性の誘いを断った」 信じられない娘だったけど…… 当時の姿に仰天「マジで美しい」【フィリピン】
  7. /nl/articles/2412/20/news096.jpg 新1000円札を300枚両替→よく見たら…… 激レアな“不良品”に驚がく 「初めて見た」「こんなのあるんだ」
  8. /nl/articles/2412/18/news015.jpg 家の壁に“ポケモン”を描きはじめて、半年後…… ついに完成した“愛あふれる作品”に「最高」と反響
  9. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  10. /nl/articles/2412/17/news195.jpg 「ほぼ全員、父親が大物芸能人」 奇跡的な“若手俳優の集合写真”が「すごいメンツ」と再び話題 「今や全員主役級」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」