ていねいに作りすぎたゆえに、一見すると地味にも見える。でも絶対面白いから遊んでみてよ「バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子」レビュー(2/2 ページ)

» 2006年03月10日 14時10分 公開
[鷲尾トモノリ,ITmedia]
前のページへ 1|2       

三位一体のリレーコンボを決めろ

 ゲーム序盤では、デッキを使って戦闘を行うのはサギだけだが、ストーリーが進むにつれ、2人の仲間が加わり3人パーティとなる。仲間はデッキに登録することで戦闘に参加するが、それぞれにデッキが必要なわけではなく、ひとつのデッキを共有して戦闘を行っていく。

 仲間とともに戦闘を行う際、注意するポイントのひとつに行動順がある。戦闘はリアルタイムで進み、キャラクターが行動するとその内容に応じた「ディレイゲージ」がたまる。マグナスを多く使うほど、ディレイゲージも多くたまり、その行動が終了すると、ゲージは少しずつ減っていく。そして、ゲージがなくなった段階で再びマグナスを選択できるようになるのだ。そのため、各キャラクターの行動内容によって、行動順位は変動していく。マグナスの中には、特定のキャラクターにしか使用できないものもあるため、その辺りも踏まえてマグナスを選ばなくてはならないのである。

photo 長いリレーコンボが決まったときは、まさに気分爽快。デッキ内容をうまく調整して狙っていこう

 もうひとつ、ひとりのキャラクターが必殺技を使った際、手札に「小」の技マグナスがあり、なおかつ次のキャラクターが行動可能な状態にあった場合、複数のキャラクターの間でコンボを継続させることができる「リレーコンボ」にも注意を払いたい。「小→中→大→必殺技→小→中→大」といった強力なコンボが可能になるからだ。条件を満たせば3人目へとコンボをつなぐこともできるので、回復を小まめに行う敵など、一気にたたみかけたい時には重宝することになる。

 マグナスを集め、より有効なデッキを構築する「静」の楽しみと、流動的に変化していく手札を的確に判断し、限られた時間の中でそれを効果的に使って戦闘に勝利する「動」の楽しみ。この2つの楽しさを理解すれば、きっと本作にハマることができるはずだ。強いて難を挙げるとするならば、この戦闘システムは常に手札に神経を集中する必要があるため、キャラクターのアクション(見てみるとかなり格好良い)を落ち着いて鑑賞することができないことだろうか。

アレもコレもカードにキャプチャー

photo マグナスにしたものにも時間は流れている。生ものなどは、長時間放置しておくと腐ったりするので注意したい

 登場するマグナスには、戦闘で使用するバトルマグナスのほかに、通常時に使用する「クエストマグナス」がある。これは、ゲームを進めていくと手に入る空のカード「ブランクマグナス」に、マップ上にあるものやキャラクターとの会話で手に入れたものなどを封じて作るマグナスで、主に謎解きや「サブクエスト」という、街の人などからの頼まれごとを解決するのに使うほか、持っているだけでキャラクターの能力がアップするなどの効果を持つものもある。

 何よりクエストマグナスの持つ大きな効果としては、戦闘以外のところでもマグナスが使われることによって、世界観をしっかりと浸透させる効果を持つだけでなく、戦闘システムがカードゲーム方式になっていることを、ユーザーが違和感なく受け入れられるようになることだだろう。本作におけるマグナスという存在が、より普遍的で確かな存在であるということの演出に、一役買っているわけだ。

ゲーム本来の面白さを丁寧に詰め込んだ1本

photo 街や村の人たちと話をするだけでも、結構楽しい。本当に細かいところまでよく作ってあります

 ここまでバテン・カイトスIIの魅力について、マグナス関連、特に戦闘システムについて多く語ってきたが、もちろん、本作の魅力はそれだけではない。細かいポイントを挙げていけばキリがないが、あえてそれらをまとめてひと言で表すなら、“丁寧に作られている”という点になるだろう。ストレスを感じさせない各種システム、しっかりと作り込まれた背景、細かい動きまでひとつひとつ表現されるキャラクターのモーションなど、多くの要素に気を配って作られていることが、プレイすることでジワリジワリと伝わってくるのだ。

 加えて、キャラクターやストーリーに関しても、RPGにありがちな、キャラクターのエキセントリックな言動や整合性のない行動、あるいは強引なストーリー展開などがほとんどなく、あってもさほど嫌味に感じさせない。そのため、ストーリーやキャラクターの自己主張が控えめで、地味さ加減に一層拍車をかけているとも言えなくはないが、戦闘を中心とした各種システムが面白いため、全体としてはよく調和しているのだと思う。

 とにかく、ゲームキューブユーザーならば遊んでみて損のない作品である。RPG好き、カードゲーム好きならなおのことだ。物語は前作をやっていなくてもまったく問題はないし、システム的には前作よりも遊びやすくなっているので、何も迷う必要はないはずだ。今こそ、あなたの手でこの良き地味ゲーに光を当ててやってほしい。

バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子
対応機種ニンテンドーゲームキューブ
メーカー任天堂
ジャンルRPG
発売日発売中
価格6800円(税込)
前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/16/news016.jpg 結婚式で乾杯音頭をとる3歳息子、口癖になるほど練習して…… 大好きなおじのために頑張る姿が580万再生「天才!」「可愛い過ぎて涙出ました」
  2. /nl/articles/2404/15/news025.jpg 悪さばかりする猫に小型カメラを装着→映像を確認してみたら…… 衝撃の光景に「ヤバい最高」「こういうの見たかった」
  3. /nl/articles/2404/16/news014.jpg 築54年団地の狭いキッチン、洗った食器はどこに置く? プチプラ&すっきり片付くアイデアに「私の理想!」「そのセンスが欲しい」
  4. /nl/articles/2404/16/news015.jpg 8歳娘が描いた“志村けん”に「うますぎてびっっっっくり」「間違いなく天才」と絶賛の嵐 才能あふれるペンさばきが128万再生
  5. /nl/articles/2404/16/news006.jpg 元野良猫たちの家の庭に野良猫が現れた→ガラスを隔てた熱い攻防戦が…… それぞれの反応と予想外のオチに爆笑
  6. /nl/articles/2404/15/news081.jpg 【今日の計算】「13+8×2−11」を計算せよ
  7. /nl/articles/2404/15/news156.jpg 豊田章男会長、マクドナルド「ハッピーセット」のおもちゃに大喜び→「天下のトヨタ会長がハッピーセットって」「ほんとお茶目で好き」と話題
  8. /nl/articles/2404/16/news033.jpg 小麦粉を変えてクッキーを作ってみたら…… 5種類の焼き比べが100万表示「こんなに変わるのねぇ〜〜〜」「みんな違ってみんな良い!」
  9. /nl/articles/2404/15/news132.jpg 「仮面ライダーゼロワン」出演俳優、脳梗塞の後遺症続き活動休止 「右半身の麻痺が回復せずこの度の決断に」
  10. /nl/articles/2404/03/news161.jpg 橋爪淳、大河ドラマ出演終了で「大腸に5センチ程のガン」公表 “病院嫌い”だったと明かし「命を繋いで頂きました」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」