このダンジョンに迷い込んだアナタは、きっと時間を忘れる「ドラゴンクエスト 少年ヤンガスと不思議のダンジョン」レビュー(1/2 ページ)

「ドラゴンクエスト」と「不思議のダンジョン」という、2つの人気シリーズが出会い、ゲームの魅力を改めて教えてくれる良作が誕生した。大人から子供まで、男性も女性も問わず、あらゆる人が楽しめること間違いなし。

» 2006年05月01日 15時23分 公開
[水野隆志,ITmedia]

前知識はいっさい不要で即プレイOK

 映画などでは、人気作と人気作を掛け合わせる、例えば「●●●VS□□□」といった作品は、どちらかというと両方のファンをあて込んだ、安易な企画であることが多い。ひょっとしたら「ドラゴンクエスト 少年ヤンガスと不思議のダンジョン」についても、同じような感想を抱いた人がいるかもしれない。だが、本作品は、そんな低次元の発想をけ散らす、抜群の完成度を持っている。とにかく面白い。ひとたび始めれば、数時間などあっという間に過ぎてしまうだろう。時間を忘れさせてくれる1本だ。

 大まかに言えば、世界観が「ドラゴンクエスト」(以下、DQ)で、全般的な基本システムが「不思議のダンジョン」、一部に「ドラクエモンスターズ」のシステムが盛り込まれている、という内容だ。いずれも定番の人気シリーズだけに、これだけ聞けば、どんな内容かはプレイしなくても何となく予想がつく人もいるかもしれない。

 しかし、作り手たちは、人気タイトルのネームバリューにまったく甘えていないと思う。なぜなら、元のシリーズをまったく触ったことのない人が遊んだとしても、その面白さはいささかも劣ることはないからだ。その一方で、シリーズ経験者であれば、“これこそ、DQの世界だよね〜”と満足させてくれるだけのファンサービスにもあふれている。未経験者でも経験者でも、プレーヤーを選ばない。口で言うのはカンタンだが、実現するのは決してカンタンではない。それをカンペキにやってのけている。こんな作品は滅多にあるもんじゃない。

DQらしい、フシギでハートフルな世界

photo 盗賊団の頭目をしている父が持って帰ってきた壺。触るな、と言われていたヤンガスだが、彼の好奇心はその程度では止められない。ところが、フタを開けてみると……

 “とにかくプレイして! クダクダしい文章を読んでいるより、そのほうがいい!”……と言いたいところなのだが、それではレビューの意味がないので、その面白さを紹介していきたいと思う。なお、本レビューは、元になっている人気シリーズを知らない、または遊んだことがないという人を念頭にしている。元のシリーズを遊んでいて、それが好きだという人は迷うことはない。ただちに買ってプレイだ。絶対にそのほうがいい。

 本作の主人公となるのは「ドラゴンクエストVIII」(以下、DQVIII)に登場した元・山賊のヤンガスだ。彼の少年時代の話なのだが、プレイするにあたってDQの知識はまったくいらない。好奇心旺盛でヤンチャな男の子だと思えば、それで十分だ。

photo いくつもの不思議のダンジョンを攻略してきたトルネコ。彼の本業は商人だ。異世界で店を開いて、ヤンガスの冒険を助けてくれる

 ヤンガスが魔法の壺の中にある不思議な世界に迷い込んでしまったところからストーリーは始まる。彼は、壺の中の世界に住む「ポッタル族」というファンシーな人々や、ヤンガスと同じく異世界(すなわちDQ世界)から迷い込んでしまったキャラクターたちの助けを借りて、元の世界に帰る方法を探していく。そのためには、巨大な樹木の下に広がる、不思議のダンジョンを攻略しなければならない。これがメインストーリーだ。

 異世界から来たキャラクターには、不思議のダンジョンシリーズの顔ともいうべきトルネコや、DQVIIIに登場したモリーなど、ファンにはおなじみのキャラクターが含まれている。とはいえ、彼らについても前知識はいらない。それがなくても、彼らの魅力は間違いなく伝わるだろう。セリフが実にいい。特にモリー。熱血オジサンぶりがたまらなく楽しい。

photo ヤンガスと同じく異世界からやってきたゲルダ。どうやら、みずから望んでこの世界に来たようだ。果たして彼女の目的とは?

 モリーと同じくDQVIIIに登場し、本作ではヒロインとなっているゲルダも負けてはいない。最近の流行である、いわゆるツンでデレなキャラになっているのだが、ウケ狙いに終わらず、勝ち気で意地っ張りな女の子としてしっかり描けている。ブームが過ぎ去った後になっても、その魅力が変わることはないだろう。

 壺の中の世界というファンタジックな設定と、一癖も二癖もある個性的なキャラクターたち。それが相まって作り出された、ファンシーで温かいファンタジーワールド。この感触はまぎれもなく、初期DQの世界だ。ひらがな主体のテキストもファミコン時代を思い出させくれて懐かしい。

不思議のダンジョンの特徴とは?

 続いてシステムの説明に移ろう。前述の通り、基本的には不思議のダンジョンシリーズのシステムを継承しているのだが、なぜ不思議のダンジョンと呼ばれるのかと言えば、それには大きく2つの訳がある。1つは「入るたびにマップが変わること」。出てくるモンスターや手に入るアイテムも変わる。また、このダンジョンは下への一方通行で、上の階に戻ることができない。外に出るには、最下層まで到達してダンジョンをクリアするか、特別な脱出アイテムを使う必要がある。

photo 不思議のダンジョンへは「旅の扉」から入る。DQシリーズでおなじみのネーミングだが、冒険の始まりにあたって、これほど相応しい名前も少ない
photo 下への階段を発見! その階を探索し尽くしていればともかく、まだ行っていないところがあれば、思案のしどころだ。下に行くほど、モンスターも強くなるので、アイテム集めやレベルアップをしっかり行ってから降りたい
photo ダンジョンから脱出するために必要となるリレミトの巻物。必ず1本は持っていたい。なお、この巻物から分かるように、アイテムはDQシリーズの呪文の名前が付けられている

 2つ目は「ダンジョンの外に出ると主人公のレベルが必ず1に戻ること」。ダンジョン内でどんなにレベルを上げようが関係ない。ただし、手に入れたアイテムはそのまま残る。だから、いいアイテムを入手していれば、次の冒険はその分楽になる。これを繰り返すことで、次第にキャラクターは強くなっていく。なお、ダンジョン内で倒されてしまった場合は、アイテムは持って帰れない。これは非常に痛い。だから、ある程度いいアイテムのうち半分を手に入れたら、脱出アイテムを使っていったん帰るという、引き際をわきまえた戦術も必要になってくる。

photo 突然から空から降ってきた、怪しいオジサン、モリー。頭から地面にめり込んだ状態から起きあがっての第一声がこれだ。とってもファンキーな人である

 こうした不思議のダンジョンルールに加えて、本作を面白くしているのが、モンスターを仲間にする、というドラクエモンスター的なシステムだ。そのためには、例の熱血オジサン、モリーから特殊な壺をもらう必要がある。

 ダンジョン内にいるモンスターにダメージを与えて、ある程度まで弱らせると、モリーの壺に吸い込むことが可能になる。こうして捕まえたモンスターは仲間となって一緒に戦ってくれるようになるのだ。モンスターは経験値がたまるとレベルアップし、能力が上がって、特殊な能力を身につけていく。

photo 配合もモリーが行ってくれる。事前に結果を教えてくれるので、いろいろ組み合わせを調べてから実行したほうがいいだろう。なお、配合後に元のモンスターは消えてしまう。一緒にダンジョンを突破した仲間がいなくなるのは、ちょっと寂しいかも

 しかも、モンスターのレベルはダンジョンの外に出ても戻らない。ただし、どんなに鍛えても、ダンジョン内で倒されれば、それまでの蓄積はすべてフイになる。ここでも無理押しは避けたほうが賢明なわけだ。

 2体以上のモンスターを仲間にした場合は、「はいごう」させて新たなモンスターを創造することができる。こうして作られるモンスターはなかなか強力なので、仲間が増えてきたら、積極的に配合させていきたところだ。モンスターには性別があるので、オスとメス(人間型のモンスターもいるが、便宜上そうなっている)を集める必要がある。仲間を集める時には、ターゲットとなるモンスターの性別を事前に調べておくと効率的だが、モンスターの性別を変えるマジックアイテムもあるので、それほど気にすることはないだろう。なお、モンスターは「ガンガンいこうぜ」、「いのちをだいじに」といったDQシリーズではおなじみの「めいれい」によって、その行動を指示することができる。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/22/news047.jpg 刺しゅう糸を20時間編んで、完成したのは…… ふんわり繊細な“芸術品”へ「ときめきやばい」「美しすぎる!」
  2. /nl/articles/2412/18/news207.jpg 「理解できない」 大谷翔平と真美子さんの“スキンシップ”に海外驚き 「文化は100%違う」「伝説だわ」【大谷翔平激動の2024年 現地では「プレー以外のふるまい」も話題に】
  3. /nl/articles/2412/21/news040.jpg 友達が描いた“すっぴんで麺啜ってる私の油絵"が1000万表示 普段とのギャップに「全力の悪意と全力の愛情を感じる」
  4. /nl/articles/2412/22/news034.jpg 後輩が入手した50円玉→よく見ると…… “衝撃価値”の不良品硬貨が1000万表示 「コインショップへ持っていけ!」
  5. /nl/articles/2412/21/news019.jpg 毛糸6色を使って、編んでいくと…… 初心者でも超簡単にできる“おしゃれアイテム”が「とっても可愛い」「どっぷりハマってしまいました」
  6. /nl/articles/2412/22/news036.jpg 「これは家宝級」 リサイクルショップで買った3000円家具→“まさかの企業”が作っていた「幻の品」で大仰天
  7. /nl/articles/2412/21/news023.jpg 「人のような寝方……」 “猫とは思えぬ姿”で和室に寝っ転がる姿が377万表示の人気 「見ろのヴィーナス」
  8. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  9. /nl/articles/2412/17/news042.jpg 山奥で数十年放置された“コケと泥だらけ”の水槽→丹念に掃除したら…… スッキリよみがえった姿に「いや〜凄い凄い」と210万再生
  10. /nl/articles/2412/22/news020.jpg 余りがちなクリアファイルをリメイクしたら…… 暮らしや旅先で必ず役に立つアイテムに大変身「目からウロコ」「使いやすそう!」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」