モップやコショウまで武器にして戦う“あの刑事”が帰ってきた:「SEGA AGES 2500シリーズ Vol.26 ダイナマイト刑事」レビュー(1/4 ページ)
セガサターンでカルト的な人気を博した「ダイナマイト刑事」が、多彩な新モードや遊び心あふれる新要素の数々を盛り込んでプレイステーション 2に復活。グラフィックも大幅にグレードアップしているというプレイステーション 2版で、一番気になるのは「大統領の娘がどう変わったか」だったりして。
セガが“セガらしい”と思えた頃の会心作
このごろのセガ作品って、何となくお行儀がよすぎるというのか、おとなしい印象をわたしは受けてしまう。なぜだろう。良質の新作は数多くあるけれど、かつてのような突き出た個性が心なしか薄いような。要するに、「変なゲームをあまり出してくれなくなったなぁ」と、少しさびしい思いがするのである。こんなことを考えている時点で、やっぱり自分はセガフリークなんだなと再認識してしまうのだが。
「ダイナマイト刑事(デカ)」は、わたしが(勝手に)抱いている“セガらしさ”を強く感じられる作品のひとつ。1996年にアーケード版が登場し、翌年にはセガサターンでも発売された刑事モノの格闘アクションだ。刑事が主役といってもクールだとかハードボイルドといったイメージにはほど遠く、キャラクター設定といいストーリー展開といい、全編にわたってB級映画を(それも確信犯的に)ほうふつとさせるテイストなのだ。
例えば、主人公のブルーノ・デリンジャー刑事は、よくある“ゲームの主人公”然としたスリムでかっこいい若者などではなく、42歳の肉体派オヤジ。その風貌は、きっと誰が見たってあのハリウッド俳優を連想させるし、彼がその身ひとつでテロリスト集団と戦う様は、やっぱり某映画を思い起こさせる。そして、その戦いぶりがものすごくバカバカしい。基本はパンチやキックの肉弾戦か、ハンドガンでの銃撃だが、なぜかミサイルランチャーまであったりするし、挙げ句には清掃用のデッキブラシやコショウや柱時計と、ステージ上にあるものは何でも武器にしてしまう。
このアクの強さが見事に当たった。あやふやな記憶で確信が持てないが、セガサターン版の初週売上は確か3位か4位にランクインして、累計でもかなりの好セールスを記録していたと思う。もちろん、わたしも発売日はゲームショップに走った。
その「ダイナマイト刑事」が、約10年の歳月を経てプレイステーション 2で再び遊べる日が来ようとはゆめゆめ思わなかった。素直にうれしい。それも、セガサターン版のベタ移植だけでなく、グラフィックを大幅に向上させたモードや、オリジナルにはなかったアイテムやギミックを満載しているという。これまでのSEGA AGESシリーズの中でも、ひときわ気合いの入ったリメイク作品だ。
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