21年目のスーパーマリオは、デッカくなったり、ちっちゃくなったり「New スーパーマリオブラザーズ」レビュー(3/3 ページ)

» 2006年06月06日 15時51分 公開
[桜山憂太,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

セーブ方法と隠しコース

1周目のプレイならば、スターコインの使用タイミングを考えて行こう。一度に5枚のスターコインを取られるのは、序盤ではなかなか厳しいもの。しかし、各コースで見つけていけば自ずとたまっているはずなので、無理せず集める事をオススメする

 今作のセーブは、任意の場所でしかできない。それは、1〜8の各ワールドにある砦や城をクリアした時と、スターコインを5枚消費して、看板の先に進んだ時だけだ。それ以外の場所ではセーブすることができないが、実は一度でもワールド8をクリアし、そのデータで引き続きプレイを開始すれば、マップ上のどこででもセーブすることができるようになる。ゲームのデータに★がつけばクリアしたという証なので、その状態で開始すればいいわけだ。各コースをじっくり楽しみたい人は、まず一度ゲームをクリアして終わらてもいいかもしれない。

 その時に役立つのが各ワールドに設置されている大砲の存在だろう。スターコインを5枚消費して行けるアイテムキノコハウスなどとは違い、その近くにある隠しゴールからでなければ行かない大砲を使用すれば、最速クリアもできなくはない。最短ルートを選択し、一気に駆け上り一度クリアしてから他のコースをじっくり遊ぶという楽しみ方もある。とはいえ、できればひとつずつ順に腕を磨いてクリアしてもらいたい。


ルイージ&ミニゲーム集

 今作でのルイージは、対戦ゲームやミニゲームでも登場する。しかし、ディスクシステムで発売された「スーパーマリオブラザーズ2」のように、驚異的なジャンプ力と滑りやすい慣性は持ち合わせてはいない。つまり、見た目がルイージなだけで、性能はマリオとなんら代わりがないのである。気分を変えたい時にでも使ってみよう。

 ソフトが1本あれば、最大4人で遊ぶことができるミニゲームも入っているので、友達が集まった時などにも重宝するだろう。マリオvsルイージも含め、単純なルールだからこそ盛り上がりは間違いない。

対戦ではスターコインの取り合いをマリオとルイージで競う。巨大マリオ(ルイージ)になって友人を追いかけ回すのも楽しい(写真左)。最初から遊べるミニゲームは、過去作品からの流用もあったりするが、そのどれもが単純明快でわかりやすいものばかり(写真右)

探索、発見、上達、開拓、あらゆる感覚を研ぎ澄まさせる仕様に感嘆

 最後に個人的な感想を。21年前に出会ったスーパーマリオが、長年の時を経て新たなスタイルとして自分の目の前に帰ってきた。その、どこか懐かしさを感じさせる今作は、「スーパーマリオ64」や「スーパーマリオサンシャイン」と違い、2Dの動きにこだわった生粋のスーパーマリオなんだと感じてしまう。十字キーとボタンを2つしか使わないその仕様は、ともすれば単調になってしまう危険性をはらんでいたはずだ。

 しかし、そこは作り手のアイディアで、より深みを与える方向へと持って行っているのはさすがと言うべきだろう。基本のアクションだけでクリアできるように設計されたコースレイアウト。だが、自分なりの攻略法を探し出す事で、新たな道を切り開く事ができるゲームデザイン。この探索→発見というサイクルは、アクションゲームとしては、かなりのキモであり、ゲームのレベルデザインの構築がしっかりできていなければならない。その点、スーパーマリオシリーズは、今まで21年に渡り蓄積してきた技術やアイディアを存分に発揮してくれている。今作も例外ではなく、自分自身で見つけられる喜びを、至る所で感じる事ができた。それは、ともすればプレーヤーのテクニックが上達した証でもあるのだろう。

 あくまでも個人的な感覚で言わせてもらえるならば、今作は無駄な仕様を排除して、ある意味「原点回帰」を狙った作品に感じられた。それは、アクションゲームの“楽しさ”という根底を存分に感じられるタイトルに仕上がっていると思う。

 もちろん、すべてにおいて満足しているわけではないし、自分自身納得のいかないところもある。一番大きいのは、誰もが感じるセーブの部分だろう。なぜ2周目でないとマップ上のどこででもセーブができないのか? 携帯ゲームという特性上、電車の中で1コースだけクリアして、セーブをしておきたいという人は多かったはず。逆にそれにより緊張感が生まれたのも事実だが、つい先を急ぐかのような衝動に駆られたのは否めない。やはり、「次のワールドはどんなステージだろう?」と、のんびり遊べたほうが良かったのではないだろうか。ゲームが進み、コインを存分に使えるようになれば問題はなくなるのだが……。

 あとは、ルイージの扱いについて。せっかく対戦ができ、さらにキャラクターを選べるのであれば、挙動に対して性能差を出してほしかった。見た目と声が変わるだけでは、あまりにも寂しい。ある意味ルイージというキャラの魅力を存分に引き出している仕様なのかもしれないが、「2」を知っている世代からすれば、あの理不尽なまでのジャンプ力と慣性があるだけで、まったく違ったゲーム性を提示してくれたのではないだろうか。

 と、いろいろ言いたいことを書いてきたが、今作「New スーパーマリオブラザーズ」は、最近のアクションゲームの中でも群を抜いたできであるのは間違いない。筆者のようなファミコン世代だけでなく、21年前の作品を知らない人でも楽しめるタイトルと言えるだろう。テレビCMの影響とニンテンドーDSというハードの特性から、女性のプレーヤーが多いのが、その顕著な例と言えるのではないだろうか? アクションゲームはテクニカルな操作を要求されるため、どうしても敬遠がちだった人たちもいたはず。携帯ゲームというハードの利を活かした今作は、アクションゲームとして新しくも、懐かしい道を切り開いてくれたのではないかと思う。

スーパーマリオで多用する「Bダッシュからのジャンプ」だが、筆者はDSのボタン配置ではそれだと扱いづらいと感じた。人それぞれ、やりやすさなどがあるかもしれないが、筆者のオススメは「Yボタン:ダッシュ Bボタン:ジャンプ」での操作だった。タイトル画面だけでなく、マップ上ならば「オプション」で変更が可能なので、自分の一番やりやすいボタン配置を探しておこう
3段ジャンプの使い道も少なかったのが残念。しかし、小手先のテクニックが使えるようになるだけで、ゲームの幅が広がるのがスーパーマリオの特徴なのだろう。いつしか達成感に繋がる事が、快感になっているように
一度ワールド8をクリアしてからが、本当のスタートと言っても過言でもない。目指すはオールクリアの証★★★。そこに到達するには、多くの障害を越えなければいけない。ゲームスタート時に影となっているワールドを切り開いていく楽しみはあれど……先は長い。

New スーパーマリオブラザーズ
対応機種ニンテンドーDS
メーカー任天堂
ジャンルアクション
発売日2006年5月25日
価格4800円(税込)
「ファミコンミニ スーパーマリオブラザーズ」(GBA)(C)1985-2005 Nintendo
「New スーパーマリオブラザーズ」(DS)(C)2006 Nintendo


前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/14/news189.jpg 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  2. /nl/articles/2411/14/news014.jpg ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. /nl/articles/2411/14/news187.jpg 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  4. /nl/articles/2411/14/news167.jpg 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  5. /nl/articles/2411/15/news016.jpg 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  6. /nl/articles/2411/13/news176.jpg 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  7. /nl/articles/2411/15/news009.jpg 高2のとき、留学先のクラスで出会った2人が結婚し…… 米国人夫から日本人妻への「最高すぎる」サプライズが70万再生 「いいね100回くらい押したい」
  8. /nl/articles/2411/15/news058.jpg 「腹筋捩じ切れましたwww」 夫が塗った“ピカチュウの絵”が……? 大爆笑の違和感に「うちの子も同じ事してたw」
  9. /nl/articles/2411/14/news023.jpg “膝まで伸びた草ボーボーの庭”をプロが手入れしたら…… 現れた“まさかの光景”に「誰が想像しただろう」「草刈機の魔法使いだ」と称賛の声
  10. /nl/articles/2208/06/news075.jpg 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
先週の総合アクセスTOP10
  1. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  2. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  3. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  4. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」
  5. イモト、突然「今日まさかの納車です」と“圧倒的人気車”を購入 こだわりのオプションも披露し光岡自動車からの乗り換えを明かす
  6. 「この動画お蔵かも」 親子デートの辻希美、“食事中のマナー”に集中砲火で猛省……16歳長女が説教「自分がやられたらどう思うか」
  7. 老けて見える25歳男性を評判の理容師がカットしたら…… 別人級の変身と若返りが3700万再生「ベストオブベストの変貌」「めちゃハンサム」【米】
  8. 「ガチでレア品」 祖父が所持するSuica、ペンギンの向きをよく見ると……? 懐かしくて貴重な1枚に「すげえええ」「鉄道好きなら超欲しい」と興奮の声
  9. 「デコピンの写真ください」→ドジャースが無言の“神対応” 「真美子さんに抱っこされてる」「かわいすぎ」
  10. 「天才」 グレーとホワイトの毛糸をひたすら編んでいくと…… でっかいあのキャラクター完成に「すごい」「編み図をシェアして」【海外】
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた