がっこうってむねキュン?――よく学び、よく遊び、よくコトバを覚えましょう「-どこでもいっしょ-レッツ学校!」レビュー(1/3 ページ)

ソニー・コンピュータエンタテインメントの人気シリーズ「どこでもいっしょ」の最新作「-どこでもいっしょ-レッツ学校!」がPSPで登場した。その名の通り、今回の舞台は学校。5人のポケピの先生となってコトバあそびを存分に楽しみつつ、雑学などを身につけることもできるユニークなゲームだ。

» 2006年07月04日 12時00分 公開
[仗桐安,ITmedia]
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「どこでもいっしょ」の想い出

 「どこでもいっしょ」がプレイステーションで発売されたのが1999年のこと。初代「どこでもいっしょ」は今や懐かしさすら感じる「ポケットステーション」との連動によって、文字通り“どこでも”いっしょに遊べる環境を提示していた。ポケピ(ポケットピープルの略。「どこでもいっしょ」のキャラクターたちの総称)にいろんなコトバを覚えさせることで、ポケピのボキャブラリーが増えていき、自分だけのオリジナルなポケピとコミュニケーションできるという内容が、当時は斬新なものだった。どこでもいっしょとポケットステーションのヒットにより、トロ(本名・井上トロ。人間になりたがっている白いネコ)を中心とした各ポケピ関連のゲーム、グッズやイベントなども好調で、いまやソニー・コンピュータエンタテインメントの顔といっても過言ではない人気シリーズだ。

 個人的な想い出を言わせてもらうと、1999年当時はかなり、どこでもいっしょにハマったクチで、R・スズキ(ノーベル賞を目指すロボット)をポケットステーションにいれては、好き勝手にコトバを覚えさせて遊んでいたものだ。家に帰ったらプレイステーションで遊び、外に出るときはポケットステーションで遊び、スズキと戯れる時間が過ぎていった。

 10日ほど経ったある日のこと。スズキが突然「アメリカに行く」と言い出し、筆者は大いに戸惑った。「おいおい、そんな急にどっか行くなよ」と引きとめようと思ったが、スズキの意思は固い。「サヨウナラ〜」と旅立つスズキの背中を見て、言いようのない寂しさにとらわれた。ほかのポケピを育てる気がおきないくらいに打ちひしがれていた筆者のもとに「やっぱりもう少しこっちにいるロボ」と帰ってきたスズキには正直感動してしまった。どこかに行っていたドラえもんが帰ってきて感動の再会を果たしたのび太くんのようだった。結局その4、5日後にはスズキはアメリカに行ってしまったのだが、何とも楽しくてディープな2週間を過ごさせてもらったな、という1999年の夏の想い出である。

 さて。時は過ぎ2004年にはPSP版「どこでもいっしょ」がリリースされた。これは初代「どこでもいっしょ」のリメイクにあたるのだが、その当時と比べれば段違いのグラフィックとボリュームでポケピたちと遊べるものに仕上がっていた。PSPというハードを得て、まさに“どこでも”な環境でプレイできるようになったのだな、と感慨もひとしおだった。

 そして今回登場したのが「-どこでもいっしょ-レッツ学校!」だ。本作では1人のポケピと過ごすのではなく、学校の先生となって5人全員と過ごすことになるのだという。何だか賑やかで楽しそうではないか。筆者はUMDをPSPにカシャリと入れて、電源を入れた。じょう先生のじょう学校、開校である。

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学生の本分は勉学にあり――ためになり やがて楽しき 授業かな

 タイトル画面で「はじめから」を選ぶと、まずは好きなポケピを選ぶことができる(このとき決めたポケピが中央の席に座ることになる)。かつてスズキとの熱い日々を過ごした筆者ではあるが、あのスズキはアメリカに行ったのであってPSPのスズキは別人なのだ、と変なこだわりを見せた結果、無難にトロを選ぶことにした。ちなみにPSP版「どこでもいっしょ」のセーブデータがメモリースティック内にある場合はPSP版「どこでもいっしょ」で教えたコトバの一部を引き継ぐことができる。自分の名前、性別、血液型、学校名などを入れたら、いよいよ開校だ。

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 プレーヤーは、1年間ポケピたちの先生になる。1カ月は4日間で終わり、1日は3時限までの授業と部活で構成されており、1つ1つの授業や部活は、早いもので3分くらいから、たっぷりめに見ても7、8分(覚えさせるコトバの選択に迷えばもっとかかる場合もある)くらいで終わるので、ちょっとした空き時間のプレイにも向いている。

 授業は国語、社会、算数、英語、HRなどさまざまで、あらかじめ決められたスケジュール通りにこなしていく。従来のどこでもいっしょシリーズは、“コトバを覚えさせる”という作業に特化して楽しめるものであった。本作も“コトバを覚えさせる”ことの面白さがメインではあるのだが、各授業の内容は、雑学や常識力などをポケピといっしょに自分を鍛えることができる、ちょっとした知育・教育的な楽しみ方が用意されている。

 例えば十二支についての授業。十二支をそらんじることができる人は多いと思うが、その成り立ちまで知っているかというと、細かいところは知らない人もいるのではないだろうか。そんな豆知識なども織り交ぜながら、十二支を確認するクイズ形式で授業が進んだりする。各ポケピの会話も絶妙で、トロが「どうして十二支には猫がいないのかニャ」といえば「他の国の十二支には猫がいるケースもある」というさらにマニアックな豆知識が展開したり、犬が各国の十二支に入っているのを受けて「犬は人気ものだわ〜ン」とピエールが喜ぶなど、非常に芸が細かい。雑学的見地からの面白さと、ポケピの会話の面白さが融合して、独特の楽しさが醸成されているという印象だ。

 かと思えば、理科の授業で雷について勉強するつもりが、結局リッキーが校長先生からくらったカミナリについての談義に終始して、ただの愉快で珍妙なエピソードのみで終わる授業もあったりする。それはそれで5分くらいのショートアニメを観ているような感覚で、ポケピたちの軽妙な会話を堪能することができる。美麗なグラフィックも手伝ってポケピたちの表情や動きは非常に豊か。楽しく鑑賞することができるはずだ。

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