サモンナイトここに極まれり――間口は広く奥が深い物語を堪能:「サモンナイト4」レビュー(2/2 ページ)
シナリオに負けずバトルパートもパワーアップ
ターン制シミュレーションRPGのシステムを採用したバトルパートは、シリーズを通して徐々に改良が加えられ、今ではかなり遊びやすく、かつ遊び込めるようになっている。今回はいくつかの新要素が加わった。抜き出して紹介しよう。
- 武器の持ち替え:戦闘中、あらかじめ装備しておいた2つの武器の持ち替えがいつでもできる。戦況に合わせて剣、槍、弓と射程が違う武器を使い分けるのがポイント。
- 戦闘マップの変化:川上から丸太が流れてきて新しいルートが開けるなど、特定のターンや状況をきっかけに、イベントが起こる。状況の変化にいち早く対応しよう。
- 防具の材質属性の追加:鎧加工店に行くと防具の材質を全7種類の属性に加工してもらえる。暗闇無効で弓には強いが大剣とオノには弱い「ピカピカ」、マヒ無効で槍に強いが剣には弱い「モチモチ」……、と属性の特徴は一長一短だ。敵に合わせて加工するのも手か?
- サポート能力:戦闘に出撃しないキャラをサポートキャラにセッティングすると、ランダムでプレイヤーを支援してくれる。敵1体の攻撃をキャンセルするリシェルの「厳しいツッコミ」、ターン切り替え時に食材を入手する主人公の「食材ハンター」と、キャラによって能力もさまざま。誰をサポートに回すかは結構迷う。
- 宝箱スロット:これが筆者の一押し。今回の宝箱はスロットになっている! 目押しで色がそろえば、サモナイト石のほかにボーナスも手に入ってしまう。ちょっとしたオマケに弱いので、危険な場面でもついフラフラと宝を取りに……。恐ろしい罠だ。
「機界ロレイラル」、「鬼妖界シルターン」、「霊界サプレス」、「幻獣界メイトルパ」の4異界から召喚獣を呼び出す召喚システムは前作とほぼ同じ。今回はよく使う召喚獣を「お気に入り」として登録できるようになった。お気に入りにすれば、“消費MPが減る”、“専用の召喚魔法が使える”、“召喚時のレベルが少し高くなる”、“カラーエディットが可能”と特典づくめ。パートナーとして絆も強まるだろう。
宿屋ならではのオマケ要素に注目!
4では宿屋ということで、ミニゲームやイベント関連もそれにちなんだものが多い。大きなものとしては、「ミュランスの星集め」がある。立地条件のせいか、さっぱり人気が上がらない宿屋をいろいろな作戦でテコ入れし、ガイドブック「ミュランスの星」に載ることを目指す。
具体的にはアドベンチャーパートでキャラと会話して、選択肢を選び星を集めていく。たとえばメイドのポムニットさんの提案、「掃除にはげむ」か、自分が考えついた「宣伝をする」のどちらかを選ぶか? 選んだ選択肢によってもらえる星の数が変わる。
ゲーム的にはシンプルだが、運命に巻き込まれなかったらきっと主人公はこうして宿屋の店主として平和に過ごしたんだろうな、と、普段の生活ぶりがうかがえて微笑ましくなる。
また、料理人として腕をふるう「料理システム」もかなりやり込める。「キノコ」、「最高の野菜」、「おいも」で「大地の恵みスープ」。「大自然エキス」と「お米」で棒状に焼いた召喚獣用の「にがい棒」、「デジの素」と「おいも」で「フルメタルフライ」と、レシピはバラエティに富んでいる。召喚獣には好き嫌いがあり、好きな料理を食べさせるとレベルが上がり能力もアップ! バトルを有利にする上でも料理は欠かせない。
さらに料理システムで面白いのが、謎のじいさんからの挑戦だ。まかないのオムライスを一口食べるや「筆舌に尽くし難し! 肉の脂身を煮つけて細かく刻んだものを具にしておるな? 彩りとして添えた青豆の色も美しい。そして……ピリ辛なスープとの組み合わせが実に心憎い演出よ。余り野菜の皮と実を厚みを切り分けて使ったことにより微妙な歯ごたえの違いも楽しめる。まかないと呼ぶのがためらわれるほどの出来映えと言えよう」と絶賛。その後、なんだかんだあって、「ワシが出す注文を完璧に満たした創作料理を作ってもらおう!」と、挑戦状が叩き付けられる。この展開には思わず吹き出してしまった。往年の料理アニメかいっ!
もちろんミニゲームも盛りだくさん。新作は、お客さんのオーダーを覚える記憶系の「てきぱきキッチン!!」。オーダーは全部で最高10種類まで増えていく。筆者は紅茶とコーヒーという見た目が超まぎらわしいメニューに何度もだまされた。ズルい!
もうひとつの新顔は「めざせ! 満開!! ガーデンパズル」。こちらは「倉庫番」風の思考型のパズルで、蝶を押してすべてのつぼみの上を通すというミニゲームだ。こちらは相当の難問ぞろい。パズルとしてのデキもよく、ハマり過ぎて1問に戦闘よりも時間がかかってた! なんて後で気づいてがく然とした。
グッと間口が広がった最強の続編
トータルで見ると驚くような進化はないが、戦闘時の背景も美しくなり、グラフィック面はグレードアップしている。
シナリオの設定も、1つの町を拠点に少年少女の成長物語を描き、一般性が高まった。これまでサモンナイトは人気がありつつも、どうしても“コアなファン向け”というイメージが強かったが、今作は間口が広がってしかも奥が深いという、理想的なゲームになったのではないか。まだサモンナイトを遊んでいないシリーズ初心者にもピッタリだろう。もちろん、シリーズファンにとっては、夜会話などこれまでのお約束もバッチリでサービス精神は満点だ。
年末年始、海外旅行に行かなくたって(どうせ行けないけどね)、ライやリシェルが住んでいる宿場町・トレイユに遊びに行ければ十分満足、心の底からそう感じた。
サモンナイト4 | |
対応機種 | プレイステーション 2 |
メーカー | バンプレスト |
ジャンル | シミュレーションRPG |
発売予定日 | 2006年11月30日 |
価格 | 7140円(税込) |
キャラクターデザイン 飯塚武史
シナリオ 都月狩
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