「ナゾ解明!」のカタルシスは、寝るのも忘れるほどの快感に:「レイトン教授と不思議な町」レビュー(4/5 ページ)
「収集」――集めると何かが起こる? アイテムを見つけて、新たな道を
電車を降り、歩くこと数分。ようやくわたしたちは目的地へと到着した。
「ユウタン先生、ここって…」
「そう、東京都庁だよ」
「なんでまた、都庁なんかに来たんですか?」
「それはだね、このレイトン教授の中にも、塔が出てくるだろう。街の中にそびえ立つ、あの怪しげな塔だよ。あの塔は間違いなく、この物語のキモになるだろうからね。だから、わたしたちも東京の中心にそびえ立つこの都庁に来て、同じような気分を味わいながらナゾを解こうと思ったのだよ」
「ふ〜ん……」
「何かね、その怪訝そうな目は」
「いえ、都庁に来た理由は別にいいんですけど……。なんか、電車に乗ってどこかに行ってゲームをするなんて、ゲエムマンさんの連載をパクっているような気がして」
「パクってはいないよ。リスペクトしているからこその、オマージュと言ってほしいな。いや、リミックスとでも言うべきだろうか」
「……」
「まあまあ、御託は置いといて、展望台へと上がって見ようじゃないか」
そう言って不服そうなミシカ君を連れ、わたしたちは南展望台へと上がって行った。そして、エレベーターを降りた目の前にあったものは……某写真展。今回、わたしの最大の目的は、この写真展にあったと言っても過言ではない(嘘)。でも、仕事も忘れないよ。
「先生、これ…?」
なぜか、呆然と立ち尽くしているミシカ君を尻目に、わたしは興奮を抑えきれなかった。
「うっひょーーー!! これ今シーズンの新しいユニフォームだ! すっげぇ、写真のパネルが、山ほど貼ってある。あっちには、試合のDVDまで流れてたりして。たまんねぇー!」
「はぁ……。やっぱりこれが理由か」
「あ、ヘリだ」
「はぁ? 大丈夫ですか、ユウタン先生」
「いや、すまんすまん。すっかり取り乱してしまって。さて、しっかりと仕事をしようではないか、ね?」
「……。で、どうするんですか?」
「それは、簡単な事だよ。こうして窓際でプレイをするのさ。そうすると、目が疲れた時に窓の外を見れば、目が休まるだろう。代々木公園の緑を見て、リフレッシュをする、と」
「なんか、理に適ってるんだが、適ってないんだか」
「まあまあ、そう言わずにプレイを進めようじゃないか」
先ほど中座した個所から引き続きプレイを開始する。さすがに物語が進めば、出てくるナゾのレベルも高まってくるものだ。さらに、謎の老人が絡んでいると思われる神隠しや、謎の少女がわたしたちの前に現われ意味深な言葉。そして、夜になると轟音とともに動き出す塔。この町のナゾは留まる事を知らないようだ。そして、ゲームクリアとは深く関わっていないものの「ナゾのパーツ」、「2つの部屋」、「めいが」は何かしらの秘密があるようだ。この細かいコレクション要素も、レベルファイブの真骨頂とも言えるだろう。純粋に物語を進めたくもなるが、これらの要素にも手を出してしまう、そんなユーザーの心理を上手くくすぐる作品に仕上がっているのだ。
「先生。これは、なかなか奥が深そうな感じですね。」
「そうだね。物語を追いたい人は、ひたすら先を進めればいいわけだし、収集要素をまとめたい人は寄り道をして行けばいいわけだからね。その辺も踏まえて、ちょっとひと区切りをつけようか」
このナゾ解きには時間が掛かりそうだ。そう思いながらわたしたちは、夕闇に沈んで行く都庁を後にした。
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