バルボッサ船長がバルボッサ船長をプレイ!?――来日したジェフリー・ラッシュ氏にインタビュー「パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド」インタビュー

「パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド」のアジア・プレミアムが先日行われたのはご存じの人も多いと思う。これにあわせて「バルボッサ」役のジェフリー・ラッシュ氏が来日。Wii版「パイレーツ・オブ・カリビアン」についての感想を聞いてみた。

» 2007年05月30日 12時34分 公開
[聞き手:今藤弘一,ITmedia]

ゲームは異文化や違う時代について学ぶ、新しい形の百科事典

 ゲーム「パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド」は、Wii版とニンテンドーDS版で発売されるタイトル。映画の第2作「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト」と、今回公開された「パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド」のストーリーがベースとなっている。Wii版では、Wiiリモコンを使ったソードアクションが楽しめ、ニンテンドーDS版ではタッチペンによるデュエルシステムが用意されているなど、それぞれ特徴あるアクションが楽しめるのだ。

画像画像画像 Wii版「パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド」

画像画像画像 ニンテンドーDS版「パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド」

 映画「パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド」のアジアプレミアムが開催されたのはご存じの人も多いと思うが、これにあわせて「バルボッサ」役を演じるジェフリー・ラッシュ氏が来日した。あまりゲームはプレイしないという同氏だが、Wii版に触れてもらいながら、ゲームについての感想を聞いたのでお届けしよう。


――ゲームを見ての感想をお聞かせください。

画像 ジェフリー・ラッシュ氏

ジェフリー・ラッシュ氏(以下、敬称略) そうですね。チェックとしてわたしのところにもグラフィックの素材が来たりしたんですが、最初のうちは「本当にこの人たちは映画を見たのか?」と思うほど、自分のキャラクターとは似ていませんでした。そのときには「承認できない」と返事したのですが、いまはグラフィックスを再現するためのすばらしい技術がありますので、簡単に似せたものを作ることができ、より信憑性のあるキャラクターを作り上げることができます。たとえば、自分の着ている衣装の長さが違ったり、剣が反対側に付いていたり、バンダナを付けていたりしたこともありますし。「バルボッサ」というのはヒゲが特徴的なのですが、そのあたりもしっかり作ってくれないとちゃんとバルボッサにならないから、といった細かい調整を自分のところで担当しました。

――Wii版のゲームを見ていただいたんですが、このようにプレイしたらバルボッサになりきれるよ、といったようなアドバイスがあれば教えていただけますか。

ラッシュ 汚く戦うことです(笑)。わたしの剣術を指導してくれた人で、ボブ・アンダーソンという人がいまして、いま80歳代なんですが。彼は1950年代にエロル・フリンに教えたり、オリンピックのフェンシングコーチとして7大会出ているほどの達人です。また、スター・ウォーズのダース・ベイダーがライトセイバーを使っているシーンも、彼が担当しています。

 その人の指導でバルボッサを演じるときに、彼は戦場では一番年長者だが、最強の人でなくてはいけない、と言われました。バルボッサは海軍士官学校のようなところに行って訓練を受けたのではなく、いわゆる“ストリートファイター”として自分の力を磨いていったので、戦ってる最中に相手の顔に砂を投げつけたり、箱を押したりする戦い方で相手に勝ちます。彼のアドレナリンや、彼に対する恐怖心といった、精神面で相手を圧倒することができる、と言われました。実際に映画を見ると、バルボッサの剣術はすばやい動きとなっています。

――自分ならどのキャラクターと戦ってみたいですか。

ラッシュ 実際に1作目では真剣にジャックと向き合って戦ったのですが、2作目では東アジア商会の人と戦ったり、船から突き落とすということはありました。また3作目ではデイビー・ジョーンズや、彼の作ったユニークな生き物との戦いもありました。ただ、ゲームでもあったように、誰かと戦うと言うよりも、自分の道に入ってくる人、邪魔な人と戦う、というところでしょうか。

画像画像 Wii版をプレイするラッシュ氏

――このゲームをプレイする子どもたちにメッセージがありましたらお聞かせください。

ラッシュ このゲームがどのレベルまで行くのかということや、実際の映画とどれだけ物語が近く展開されるかということや、「パイレーツ・オブ・カリビアン」3部作がどこまで織り込まれているのかは分からないのですが、わたしの11歳の子どもに対しては、厳しい目で見ているんです。どういったレベルのものなのか、どのようなレーティングがされているゲームなのかなど。彼は「“ただの暴力”じゃなくて、“楽しくてちょっと乱暴”というのがおもしろいんだ」といいます。それはわたしにも理解できます。わたしもスラップスティックの古いアニメが好きですが、そういったものでも誰かをたたいたりすることがありますよね。それにチェスをしていたって、頭の中ではかなり攻撃的なことを考えていたりします。実際のグラフィックスになると、架空のバイオレンスが存在して、そこに凶暴性があったりすると思いますが、ゲームというものと実生活は違います。実際に剣で刺されたりしたら痛いですから。それを知って欲しいです。

――ご自身はゲームで遊ばないのですか?

ラッシュ 自分ではプレイしませんね……。WiiやXbox 360には追いついていません。息子のように親指が開発されていませんから、息子ほどすばやく動かせないんです(笑)。自分でプレイしたのは「パックマン」止まりです。

 ただし、息子がプレイしているのを見るのは好きです。先ほどのグラフィックスを見ても、船が360度、3Dで立体的に表現されていますし、水の質感もすばらしいですね。昔あったTVゲームの「ピンポン」のようなものからずいぶんと世代が変わりました。

――モーションキャプチャーを使ってゲームを作るときもありますが、次回「パイレーツ・オブ・カリビアン」のゲームを作るときがあるとしたら、ご自分で動きを付けたいと思いますか?

ラッシュ 映画の撮影ではモーションキャプチャーの技術は使っていないんです。1作目では自分の動きをスキャンするために、ぴっちりしたスーツを着たこともありますが。そのときは特に、骸骨になったときにはどのような動きになるのかを作るために、顔の動きを撮りました。ゲームでもそのようなことをして、わたしの肉体的な要素を反映するのはおもしろいことではないかと思います。ただ実際は、わたしはゲームの中のキャラクターのように俊敏には動けませんが(笑)。

 ところで、先日わたしは家族と明治神宮に行ったんですが、「オーストラリアとはずいぶんと木の種類が違うね」と息子に言ったら、彼は「これはみんなイチイだよ」と言いました。「なんで知ってるの?」と息子にたずねると、「オンラインゲームで知ったんだ」と答えました。日本の神社にある屋根の形も知っていました。「これもオンラインゲームでおぼえた」とか。「ゲームってとても勉強になるね」と息子は言っています(笑)。こうしたゲームで遊ぶことにより、武器だけではなく、歴史や文化についての知識を深めています。彼にとってみれば、ゲームは異文化や違う時代について学ぶ、新しい形の百科事典なのかもしれません。


画像

 ところで、5月23日に日本武道館で開催されたアジア・プレミアの様子もお伝えしておこう。当日は約6000人の観客がつめかけ、アリーナをぐるりと囲んだレッドカーペットに眼が釘付けとなっていた。お目当てはもちろん、5月26日から全国公開される「パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド」に出演するジョニー・デップやオーランド・ブルームだ。

 アジア・プレミアには前出のジョニー・デップやオーランド・ブルームのほかに、ビル・ナイやジェフリー・ラッシュをはじめ、監督のゴア・ヴィーヴィンスキー、プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーらが来日し、舞台あいさつにも登壇した。

 会場にはこの日を心待ちにしていたファンだけでなく、メディアもテレビカメラが150台、スチールカメラが100人とカメラの砲列が連なり、スターの一挙手一投足に注目が集まっていた。レッドカーペットを歩く出演者らに取材を行うサウンドバイツも白熱し、多くの取材陣がコメントを取ろうとあの手この手で声をかける。

 今回来日したキャスト、スタッフともにファンサービスに重点を置いているようで、サインや握手を気軽に応じる姿を見ることができた。2階席のファンにまで手を振るなど、長い時間を使ってのレッドカーペットとなった。

 その後行われた舞台あいさつでは、デイヴィ・ジョーンズ役のビル・ナイが「ボブ・ディランやローリング・ストーンズが立ったこの場所(武道館)に来れて光栄です」と、見事な日本語での挨拶を披露すると、続くプロデューサーのジェリー・ブラッカイマーらも覚えている日本語を駆使し、拍手と笑いを誘う。

 出演者がメモを見ながら日本語で挨拶したことに関してジョニー・デップは「僕が日本語を教えたんだ。指導のおかげでうまくしゃべれた」とコメントし会場をわかせていた。

会場となった日本武道館には開場前から多くのファンが駆けつけていた
デイヴィ・ジョーンズがレッドカーペットを歩くサプライズイベントに会場は一気にヒートアップ
レッドカーペットをゆっくり取材を受けながら、ファンサービスをしながら歩くため大渋滞に

お待ちかねのジョニー・デップが登場するとボルテージも最高潮に。ファンへの気配りが印象的だった
舞台挨拶に勢揃いした面々は、次々と会得してきた日本語を披露する
オーランド・ブルームも日本語で挨拶をすると、ジョニー・デップに「彼に教えてもらった」と指を差し、それを受けて「もちろんさ」と差し返す

パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド
プラットフォーム Wii/ニンテンドーDS
ジャンル アクションアドベンチャー
発売日 6月7日発売予定
価格(税込) Wii版:6090円、ニンテンドーDS版:5040円
CERO B区分(12歳以上対象)
プレイ人数 Wii版:1〜2人、ニンテンドーDS版:1〜4人

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」