刃には刃を、屁には屁を「桃太郎伝説」ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(3/3 ページ)

» 2007年06月19日 00時00分 公開
[ゲイムマン,ITmedia]
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「優しさ」と「易しさ」は違う

 「桃太郎伝説」のもう1つの特徴……それは“優しさ”だ。

 “優しさ”は、決して“易しさ”ではない。「桃太郎伝説」を見ると、その違いがはっきりと分かる。

 このゲームに出てくる怪物は、決して弱くはない。例えばギターを持った蛇「若大将」は防御力があって、桃太郎のレベルが低いと、なかなかダメージを与えることができない。

 また“冬と星の国”に現れる「白虎」の攻撃力は、並大抵のものではない。灼熱の弓矢に弱いのだが、その弓矢のある場所が、白虎の出現する地域のど真ん中。取りに行くまでがひと苦労なのだ。

 攻撃力がケタ外れのオオカミ。炎のつぶてがコワい火の鬼。連続で火を吹く竜。

 そして何といっても、全財産を盗んで逃げる黒ガッパ。お金だけならまだしも、ときには道具を盗むこともある。灼熱の弓矢を盗まれてしまったときにはわたしもあせった。

 「桃太郎伝説」の敵キャラは、みな本当に強い。決してこのゲームは、“易しい”ものではないのだ(だからこそまた、レベルが上がったり、強い武器を買ったりして、そういった鬼や怪物に、楽に勝てるようになったときの快感もひとしおなのだが)。

 “優しさ”とは、プレーヤーに対する配慮である。プレーヤーが不必要な部分でいらだちを感じることなく、ゲームを進めていけるようにする、製作者側の配慮である。

 ファミコンRPGでは、「ドラゴンクエスト」がもう既に“優しさ”を売りの1つにして、大成功を収めていた。だが、「桃太郎伝説」はそれをさらに推し進めることで、“優しさ”を売りとすることに成功したのだ。

 例えば桃太郎の体力が0になったときの処理である。

 「ドラゴンクエスト」で勇者のHP(体力)が0になると、「所持金半分、HP・MP全回復で再スタート」だった。「桃太郎伝説」でもこれは同じだが、さらに“優しく”なっている。「といちや」というお金の預かり所を出して、ここに預けたお金は減らないようにしたのだ。

 「桃太郎伝説」の“優しさ”の象徴としてもう1つ挙げられるのが、「ひえんの術」(一瞬にして村へ戻る術)だ。

 「ドラゴンクエスト」にも「ルーラ」という魔法がある。しかし「ひえんの術」はルーラよりすごく、行ったことのある村なら、どこへでも行ける(すずめのお宿を除く)。

 1カ所にしか戻れない「ドラゴンクエスト」や、最後に復活の呪文を聞いたところへ自動的に飛ばされる「ドラゴンクエストII」より、はるかに便利だ。

(もっとも、こういう移動魔法が登場したのは「桃太郎伝説」が初めてではなく、「ヘラクレスの栄光」がすでに採用していたが)

画像 といちやの主人は、マンガみたいな大阪商人。1000両預けるのに100両の預かり料が必要
画像 ひえんの術で行ける場所はこんなにある。術を使うと、行きたい村や街まで高速スクロールで飛んで行く

 あと、体力を回復できる場所が多い。もちろん宿屋もあるのだが、それ以外にタダで体(HP)・技(MP)を回復できるスポットが点在しているのだ。

 浦島の村にある「若返りの泉」や、フィールド上に隠されている回復場所。それと、各地にいる仙人と話をしても、体・技ともに全快する。

 特に浦島の村や、ほほえみの村(「ひとりでも仙人」がいる)には、ひえんの術で行けるのでさらに便利だ。

 さらに、桃太郎の段(レベル)が上がったときにも、体・技は全快する。これを利用して、迷宮の奥で技の数が少なくなってきた頃にレベルアップできるよう調整すれば、迷宮攻略が楽になる。

 こういったプレーヤーへの配慮は、のちに“優しさ”路線をさらに前面に押し出した「ドラゴンクエスト」シリーズにも、影響を与えることになる。

PCエンジンでグレードアップ

 1990年に発売された、PCエンジン版「桃太郎伝説ターボ」。基本的にはファミコン版を忠実に移植しているのだが、グラフィックが強化されたのはもちろん、武器や防具が増えていたり、といちやの手数料がなくなった上に利子までついて、より便利になっていたりする。データセーブがパスワードだけでなく、バックアップユニットに対応しているのも便利だった。

 また、一部の敵がファミコン版と異なっている。「赤鬼ホーマー」はネタが古くなったので「きよはらだし」に変わっているし、「勉強の鬼」に加えて、「仕事の鬼」や「ゲームの鬼」が出てくる。

 さらに、ほほえみの村の人々がしゃべるダジャレが総入れ替えになっているなど、ファミコン版をプレイした人を意識したアレンジも行なわれている。

画像 PCエンジン版ではグラフィックが強化され、花咲かの村では桜吹雪が舞う。また、桃太郎の後ろに、お供がついてくるようになった
画像 PCエンジン版でのみ登場するミスターオニック。ハンドパワーで桃太郎の刀を曲げてしまう

 このほか「桃太郎伝説」は、X68000、プレイステーション、ゲームボーイカラー(「桃太郎伝説1→2」)、Windowsにも移植されている。

 PCエンジンでは1990年に「桃太郎伝説II」が発売された。1993年にはスーパーファミコン版で「新桃太郎伝説」が登場。シリアスなストーリーが話題となった。

 このほか、桃太郎以外の登場人物を主人公にした「桃太郎伝説外伝」も出ているが、ここ最近「桃太郎伝説」の新作は出ておらず、現在も毎年新作が登場している「桃太郎電鉄」に比べると影が薄い。

 ただ、Wiiのバーチャルコンソールへの移植が検討されているという話もある。もともと低年齢層をターゲットにしたゲームだけに、Wiiでの発売はうってつけだろう。ぜひ「電鉄」だけでなく「伝説」のほうも、平成生まれくらいの若い人々にプレイしてほしいと思う。

 ……あ、若い人は「赤鬼ホーマー」の元ネタが分からないか(「桃太郎伝説ターボ」の方なら、今でも通用するギャグが多いからだいじょうぶかも)。

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