ハッピーな公園をつくるためにレッツらゴー! 花咲か“ちびロボ”、ここに見参:「咲かせて!ちびロボ!」レビュー(2/2 ページ)
おもちゃと交流し、公園を自分流に作り直しちゃおう
ダンスをする→タネが出る、シャワーをかける→花が咲く、というプレイだけなら、あまりにシンプルすぎる。もちろん本作でできることは花を咲かせることだけではない。公園を自由に歩き回り、公園を自分の思い描いたように変えることができるのだ。
「ハッピーさん」(花を咲かせたり、いいことをしたときにもらえる、ハート型のエネルギー)をちびロボハウスで変換することで、ちびロボの原動力となるワッツを得ることができる。ワッツはちびロボの原動力であると同時に新たなるツールを手に入れるための通貨でもある。ちびロボハウス内のちびパソを起動しドーグカエールを選択すればアイテムの購入が可能だ。最初は何のアイテムも並んでいないが、公園の花が増えることでどんどんアイテムが入荷されていく。ここで購入できるアイテムはいずれもプレイの自由度を広げるユニークなものばかりなので、花を増やすモチベーションの1つとして機能していると言っていいだろう。
ドーグカエールで購入したり公園の外に出て拾ってきたりすることで手に入る“カセット”は、ちびロボの行動の選択肢を広げてくれる楽しいアイテム。この“カセット”をちびロボハウスにセットすると、ちびパソ内のパークツクールで、公園の外観を変更できるようになるのだ。ツボミがあっても花が咲かない枯れた土地を花が咲く土地に変えたり、道路や川を自由に作ったり、ベンチなどのオブジェを配置したりと、カセットの入手で可能になることは多彩で、突き詰めていくと、同じ公園は1つも存在しないだろうというほどに、各プレーヤーの個性が反映された公園ができあがることだろう。そこには、任天堂の「おいでよ どうぶつの森」にも通じる、気ままに好きにいじれる遊び場を提供されたような感覚がある。
ただし、公園を自由に変える作業は、ちびロボ本人にはできない作業だ。では誰がやるのかというと、ここで登場するのが友達になるおもちゃたち。公園のすぐ側に隣接したタウンに出かけると、ちびロボと同じくらいの身の丈の個性的なおもちゃたちに遭遇する。彼らと出会い友達になることで、パークツクールの機能が初めて活かされるのである。
面白いのは、おもちゃによって得意な作業や苦手な作業があるようで、ペンギンなら6000ワッツを払ってやってくれる作業がリバティなら5000ワッツでやってくれたりと、支払うコストに個人差がある点だ。適材適所で作業を振ることで、よりお安く作業してもらえる。誰に何をしてもらうかが重要だ。
公園でできることが増えれば増えるほど、あちこち見回らなくてはならなくなる。そして、公園を自由に作り直したら、やはり自分が作った公園を満喫してみたいもの。そんな時にちびロボの徒歩の移動では一回りするのも大変だ。そこで活躍するのが「ちびのりもの」。複数のちびのりものが存在するが、例えば自転車であれば、十字ボタンの左右で方向を切り替えつつ、下画面の中央に表示されたペダルをレコードの時と同様に円状にスライドすることで、移動することができる。その他のちびのりものに関しても、それぞれ運転の操作が異なるので、運転そのものがミニゲーム的な面白さを有していて、移動効率も上がるので、色々なちびのりものを見つけて運転するという楽しみもある。
花を枯らす厄介者はシャワーで撃退!
タネを植え、花を咲かせ、公園を自由に変更し、花が咲き乱れる自分だけの公園をちびのりものでパトロールする。ここまでの要素だけであれば、何と平和なゲームなんだ……と思えてしまうところだ。しかーし、本作はそんな平和なだけの生易しいゲームではない!咲く花を枯らす憎っくき敵キャラがちびロボの前に立ちはだかるのだ。
「ダークシーゼン」という謎の黒づくめのおもちゃが、ちびロボのライバル。ゲーム内の日にちが経過していくと彼が送り出す刺客「クロ」が公園内に登場するようになる。クロは放っておくと花をどんどん黒くしてしまう。黒くなった花は一夜過ぎると枯れてなくなってしまうので、明らかにちびロボの目的を邪魔している。そんな厄介なクロの弱点は水。ここで活躍するのがちびシャワーだ。クロめがけてシュコシュコと水をかければ、水を含んだクロがぱちんと破裂する。クロは基本的に3人1組で土地にできた巣穴から登場するので、見つけたら1人残らず退治しよう。
さらに日にちが経過すると、巨大な「デカクロ」も登場する。自然を守りたいちびロボと自然を破壊したいダークシーゼンたちの攻防がどういった展開を見せるかというのも、本作の大きな見所、遊び所だ。
刻一刻と変化するちびロボの世界にどっぷりハマってしまうかも
花を咲かせるだけかと思いきや、プレイの自由度も高く、手ごわい敵との戦いも熱く、かなり豊潤なゲーム性を持った作品になっている本作。プレーヤーには、公園に花を咲かせなさい、という指令が与えられるわけで、それをセオリーに沿ってこなしていくというのはある意味“お使い”ゲーではあるのだが、そのお使いが苦にならない、むしろ指令を受けて色々と動くことが楽しいと思わせる演出がうまく利いている。
花の本数によるアイテムの入荷や、毎日チェックされる訪れた人の数、自分の手が加わることで明らかに変わっていく公園など、地味ではあるがわずかな変化が確実に起きていることに、妙なうれしさを感じる瞬間がたくさんある。それは前作同様に探索型のアクションアドベンチャーとして王道な面白さそのものだ。
平和的な目的、少しずつ成長していくちびロボ、じんわりと自分好みに変わっていく公園……。前述したそんな各要素にピンときたら、ぜひ本作を手にとってほしい。おそらく夢中で花を咲かせ、ハッピーさんをかき集め、毎日いそいそと公園に出かけるちびロボな生活をめいっぱい楽しむことができることだろう。
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