アクションと音ゲーの妙なる調和。リズムに乗って世界の果てを目指せ「PATAPON(パタポン)」レビュー(2/2 ページ)

» 2007年12月25日 00時00分 公開
[水野隆志,ITmedia]
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状況に応じて正確に四拍子を刻め

 戦闘では太鼓の音を通して、パタポン族の戦士たちに命令を出していく。ということは、プレーヤーは直接ユニットを操作することはできず、間接的に命令を出していくことになる。これがなかなか難しく、ゲーム攻略で大きなウエイトを占めているのだ。

 1つ例を挙げよう。戦士の中に盾を持つ「たてポン」がいる。彼らは接近戦要員であり、部隊全体を守る壁でもある。特に「まもれ!の歌」で敵の攻撃を食い止める能力を持っているのがありがたい。

 「たてポン」は強敵との戦いほど、真価を発揮する。例えば序盤で遭遇するドドンガという魔物。コイツはとても力押しが通じる相手ではない。特に火炎攻撃が厄介で、これを何度も喰らったらとても勝てない。そこで「まもる!の歌」の出番となる。この歌は△△□○で奏でる。

画像 敵の特殊な攻撃をガードするには、「たてポン」の存在が不可欠となる
画像 遺跡の番人である魔獣ドドンガ。序盤のヤマとなる強敵だ

 だが、敵の攻撃を止めるには、とりあえず歌を歌うだけではダメなのだ。リズムとは別の意味でタイミングを読まねばならないのである。

 このゲームでは、神様が太鼓を叩くと、次はパタポンたちが行動する順番になる。四拍子で一音節打ったら、次の音節を休まねばならないのだ。この休みの時に太鼓を叩いてしまうとパタポンたちは行動を止めてしまう。リズムも変な具合に切れてしまうので、もう一度四拍子のリズムを取って太鼓を打ち直すことになる。神様、パタポン、神様、パタポンと交互に行動することが不可欠なのだ。

画像 神様とパタポンが交代で行動する。パタポンの順番の時に太鼓を打つと行動キャンセルになる

 戦闘では、こちらのリズムと敵のリズムを合わせないといけない。前述した「まもれ!」ならば、敵の攻撃を跳ね返せるのは「たてポン」が盾を構えている間だけになる。だから敵の攻撃がヒットするタイミングで「たてポン」が盾を構えていないと意味がない。敵が強力な攻撃をするための準備動作に入っている時に楯を構えていて、いざ攻撃の瞬間には神様のフェイズになっている、では困る。このあたりのタイミングはちょっとシビアめになっていて、ちゃんとリズムを掴んでいないとズレがちになる。ある程度部隊が強化されればゴリ押しでも何とかなるが、それではやはり犠牲が出てしまう。戦士を作るには素材や資金が必要なので、あまり大量の犠牲を出すと、ゲームを進めること自体がキビしくなってくる。原則として無理押しはせず、リズムを取れるようになっていたほうが後々楽になるというわけだ。

画像 部隊全員が攻撃できるよう、間合いを調節するのも神様の大切な役目

 タイミングという点でもう1つ気をつけておかねばならないのが、部隊の位置だ。隊列を組んだ時、中心に来るのがリーダーである「はたポン」で、このユニットが敵からあまり離れてしまうと、部隊全体が攻撃出来なくなってしまう。敵はダメージを受けると少しずつ後ろに下がっていく。場合によっては思い切り後退して間合いを取るヤツもいる。この時、やたらと「せめろ!」を唱っていると、いつの間にか前衛部隊が突出しすぎて「はたポン」が取り残されるなんて事態になってしまう。こうなると、いくら目の前に敵がいようと前衛部隊は攻撃ができない。つまり、やたら攻め続けるばかりではなく、時々前進の命令を入れて部隊全体を進めておく必要があるのだ。戦士の中には、弓を装備した「ゆみポン」のように遠距離攻撃専用のユニットもいるが、彼らは「はたポン」のさらに後ろに位置している。あまり隊列が長くなると、当然「ゆみポン」は後方に下がってしまい、結果的に敵が弓の射程外に出てしまうから、まったくダメージが与えられなくなる。

 せっかく素材や資金を投入して大人数の部隊を揃えても、全体が一丸となって攻撃できないのでは意味がない。戦況をよく見て、「ここは攻撃だ」「ここで間合いを詰めねば」などの判断を下す必要があるのである。そして間違えないように四拍子のリズムで命令を出す。よくあることだが、大ダメージなどを受けて味方が混乱すると焦って太鼓を叩きがちになる。四拍子になっていないとコマンドは成立しない。

フィーバー状態で攻撃力大アップ

画像 フィーバーになるためには10回のコンボを決める必要がある。ただし、四拍子の取り方が正確だと、もっと少ない回数でフィーバーすることも可能

 逆にきっちりと四拍子のリズムを刻んでいくとコンボがカウントされ、これが一定数に達すると、「フィーバー」状態になる。この時、部隊の攻撃力がグンと上がる。たてポンが斧を振り回し、やりポンが投げ槍をバシバシ放り投げ、ゆみポンが雨あられと矢を降らす。この時の賑やかな戦いぶりは見ていて思わず楽しくなるくらいにハジケている。いったんフィーバーになった後も、リズムさえ間違わなければしばらくこの状態を保てるので、一気に敵に大ダメージを与えるチャンスだ。ドドンガのような強敵が相手の時は、この状態でどれだけ攻撃できたかがそのまま勝敗に直結してくる。

 フィーバーを意図的に狙うことも大切だ。例えば敵が視界に入ってきたらわざと前進を止め、「まもれ!」などを歌ってコンボ数を稼ぎ、ちょうど相手に接近したところでフィーバー状態になるよう計算する、といったテクニックだ。こうすることで勝負を短時間でつけることができるし、その分損害も少なくて済む。

 リズム、間合い、コンボ回数を計りながら最上の作戦を練っていく。闇雲に太鼓を叩いているだけでは、パタポン族の栄光は取り戻せないのだ。

ノーテンキでかわいいパタポンの世界

 とにかくノーテキンキで純朴なパタポン族。フィーバー時のにぎやかさをはじめ、ステージをクリアした時に花火を上げながら喜んだり、キャンプファイアーの前でやりポン同士が浮かれて手合わせをしたり、そうした個々の動作が何とも無邪気でかわいらしい。そこには、影絵のような雰囲気のグラフィックが生み出す、「PATAPON」の世界が広がっている。

 ところで、このゲームをプレイする時には1つだけご注意を。ずっと四拍子を取り続けているせいで、リズムが頭に残ってしまうのだ。パタポンたちの陽気な歌声とともに脳裏にしっかりと刻まれる。その結果、突然パタパタパタポンと口ずさんだり、いつの間にか歩くリズムが四拍子になっていたり……。お気をつけあれ。

PATAPON(パタポン)
対応機種 PSP
ジャンル コマンド・カーニバル
価格(税込) 4990円
CERO A区分(全年齢対象)
(C)Sony Computer Entertainment Inc. (C) Rolito/interlink


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