ツインレバーでビル登ろう「クレイジークライマー」ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(1/2 ページ)

連載第64回は日本物産の「クレイジークライマー」。ビルを登るという設定、ツインレバーによる操作、個性的な敵キャラクターなど、絶大なインパクトを残したゲーム。突然変異的に出現した異色作といえます。

» 2008年08月27日 00時00分 公開
[ゲイムマン,ITmedia]

超高層ビルが林立し始めた時代

photo 新宿第一生命ビルとハイアットリージェンシー。両ビルはツインビルといえる形態で、よく似た外観である

 1970年代。東京に次々と、超高層ビルが建ち始めた。

 西新宿の淀橋浄水場跡地には、1971年の京王プラザホテルを皮切りに、住友、三井、KDD、野村、安田火災海上の各ビルと、新宿センタービルが相次いで竣工する。

 また池袋には、1978年にサンシャイン60が開業。その後、現在の東京都庁ができるまでの12年間、日本一高いビルとして君臨した。

 こうして超高層ビルが、東京の街の新しい風景として認知されてきた1980年、「クレイジークライマー」は突然現れた。

 高層ビルの外壁をひたすら登っていくという不思議な設定、植木鉢を落とす人やゴリラやしらけコンドルなどの不条理な敵キャラ、2本のレバーでクライマーの両手を操作するという特異なインターフェイス。このゲームの登場以前に似たタイプのゲームはなく、また、これ以降もほとんど現れていない。

 というわけで今回は、クレイジークライマーと同じ1980年に完成した、新宿第一生命ビルとハイアットリージェンシー東京(旧・ホテルセンチュリーハイアット)の前にて写真を撮影した。

 ビルの形状を考えると、前年に竣工した新宿センタービルで写したほうがクレイジークライマーっぽいのだが、センタービルでは10年前、本当に人が外壁を登って逮捕されるという騒動があったので、そこで写真を撮るのはちょっと自重した。

 この時代の有名なゲームはだいたい、コロコロコミックに連載されていたマンガ「ゲームセンターあらし」に登場する。クレイジークライマーも例外ではなく、トンメン大王という敵との戦いに使われていた。


photo 写真は1995年に発売された、スーパーファミコン版「ニチブツアーケードクラシックス」のもの

 ストーリーが直接、クレイジークライマーのゲーム内容と関わってくるわけではないが、“人がビルを登っていく”というゲーム画面にインパクトがあった。

 また、あらしと仲間たちが地獄で冒険する話では、地獄の底から伸びる塔を、ゲーム筐体のついたゴンドラで登っていくシーンがあった。ゲーム中のクライマーと同じルートでゴンドラが動くが、妨害も同じように行なわれ、植木鉢や鳥のフンがゴンドラめがけて落ちてきた。


2本のレバーで2本の腕を動かす

 クレイジークライマーのクライマーが、なぜビルの外壁を素手で登ろうとしているのか、明確な設定はない。

 イメージイラストでは、火災に遭ったビルが描かれている。ということはクライマーは、屋上へ避難しようとしているのだろうか?

 しかしゲーム内では、クライマーはビルの中からではなく、地上から外壁に取りついてスタートしているし、ビルから火が出ている様子もない。結局のところ、ビルを登る理由は謎のままである。

 ちなみに、日本物産のサイトによると、当初は“炎上中の高層ビルを登る”という案だったのだが、ハードウェアの制約で火災が表現できなかったため、このような形になったらしい。

 さて、クレイジークライマー第一の特徴は、ツインレバーを使った独特の操作方法だ。

 2本のレバーがそれぞれ、クライマーの左右の手に対応している。レバーを上に倒すと、クライマーが手を伸ばして、上の階の窓枠をつかむ。その状態でレバーを下に倒すと、手を支えにして体を押し上げ、1階上に登ることができる。これを繰り返して、ビルの上へ上へと登っていくのだ。

 速く登るには、左のレバーを上に倒すと同時に、右のレバーを下に倒し、そのあと左を下に、右を上に倒す。するとクライマーは、左腕で体を押し上げるとともに、右腕でさらに上の階の窓枠をつかむ。これを繰り返せば、1階ずつ登っていくより効率が良い。

 両手が窓枠にかかっている状態で、2本のレバーを横に倒すと、その方向に移動できる。

photophotophoto (写真左)左のレバーを上に、右のレバーを下に倒した状態
(写真中央)左右のレバーを逆方向に倒せば、1階上がると同時に、さらに上の階の窓枠をつかめる
(写真右)2列の窓に手をかけることも可能。斜め上の窓枠をつかむことができる

 屋上までたどり着くと、そこにはヘリコプターが待っている。うまく手を伸ばしてヘリコプターにつかまると1面クリア。4棟のビルをクリアすると、また最初のビルに戻る。

 クライマーが登っているビルには、行く手をはばむさまざまな敵が存在する。まずクライマーを妨害するのが、窓そのものだ。開いたり閉まったりしている。手を掛けている窓が閉まると、クライマーは落っこちてしまう。閉まり始めた窓を避けるのはもちろん、行き場がなくならないよう、プレイヤーは周囲の窓を常に見ておく必要がある。

 なぜ超高層ビルの窓が開くのか、危なくないのかなどと、まともに考えてはいけない。もっと不条理な敵キャラが、まだまだクライマーの前に立ち塞がるからだ。

photophotophoto (写真左)ヘリコプターは上がったり下がったりしている。つかめないまま時間が経つと、飛び去ってしまってボーナス点が得られなくなる
(写真中央)窓は本当にあちこちで閉まる。ほかの敵が出てくると、閉まる窓はさらに脅威となる
(写真右)周囲の窓が全部閉まった上、手を掛けていた窓も閉まり、クライマーが落ちてしまった

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/21/news027.jpg 大きくなったらかっこいいシェパードになると思っていたら…… 予想を上回るビフォーアフターに大反響!→さらに1年半後の今は? 飼い主に聞いた
  2. /nl/articles/2411/20/news049.jpg 高校生の時に出会った2人→つらい闘病生活を経て、10年後…… 山あり谷ありを乗り越えた“現在の姿”が話題
  3. /nl/articles/2411/20/news222.jpg ディズニーシーのお菓子が「異様に美味しい」→実は……“驚愕の事実”に9.6万いいね 「納得した」「これはガチ」
  4. /nl/articles/2411/20/news027.jpg 「こんなことが出来るのか」ハードオフの中古電子辞書Linux化 → “阿部寛のホームページ”にアクセス その表示速度は……「電子辞書にLinuxはロマンある」
  5. /nl/articles/2411/20/news054.jpg 「防音室を買ったVTuberの末路」 本格的な防音室を導入したら居住空間がとんでもないことになった新人VTuberにその後を聞いた
  6. /nl/articles/2411/20/news050.jpg プロが教える「PCをオフにする時はシャットダウンとスリープ、どっちがいいの?」 理想の選択肢は意外にも…… 「有益な情報ありがとう」「感動しました
  7. /nl/articles/2411/21/news083.jpg 間寛平、33年間乗り続ける“希少な国産愛車”を披露 大の車好きで「スカイラインGT-R R34」も所有
  8. /nl/articles/2411/21/news085.jpg 「もしかしてネタバレ?」 “timeleszオーディション”候補者がテレビ局を退社 ディズニーの“船長”としても話題
  9. /nl/articles/2411/18/news107.jpg 走行中の車から同じ速さで後方へ飛び降りると? 体を張った実験に反響「問題文が現実世界で実行」【海外】
  10. /nl/articles/2411/21/news018.jpg グルーミングが出来ない生まれたての子猫、とんでもない体勢になり…… 想像以上のへたくそっぷりに「どこにも届いてないww」「反則級」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた