初代「ドラクエ」のおそるべきタイムアタック動画。竜王逃げてー!日々是遊戯

ニコニコ動画に投稿された、スーパーファミコン版「ドラゴンクエスト」のRTA(リアルタイムアタック)動画が話題になっています。大幅更新の決め手になった「状況再現」とは?

» 2011年09月21日 11時22分 公開
[池谷勇人,ITmedia]
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まさに「リアルTASさん」状態

 ゲームのやり込みプレイのひとつに「RTA(リアルタイムアタック)」というものがあります。ツールなどを使わない、あくまで人の手によるタイムアタックを指し、特にゲームスタートからクリアまでの「実時間」を競うプレイをRTAと呼ぶようです。

 ということで、今回紹介するのはおなじみ「ドラゴンクエスト」(スーパーファミコン版)のRTA動画。初代「ドラクエ」のRTA自体は以前から盛んに行われていましたが、最近になって“あるテクニック”が導入されたことで、大幅な記録更新に成功。これまでの記録では、だいたい1時間半をきればかなり早いタイムとされていましたが、この動画ではなんとわずか45分でエンディングまで辿り着いてしまっています。

 今回使われているテクニックは、RTAプレイヤーの間では「状況再現」と呼ばれているもの。簡単に言えば「毎回同じタイミングで同じ操作を行うことで、毎回同じ状況を再現する」というテクニックで、これを使うことで、例えば遭遇する敵や、攻撃の成否、さらには会心の一撃が出るかどうかなども自在に「再現」できるようになります。

 この動画で言えば、分かりやすいのが2分00秒〜のメタルスライム戦。ゲーム開始直後から一直線にドムドーラを目指して進んでいき、いきなりメタルスライムに遭遇したかと思うと、これまたいきなりの会心の一撃で瞬殺。これは「最短でメタルスライムが出て、なおかつ確実に改心の一撃が出る操作」を憶えておき、それとまったく同じキー入力を行うことで、同じ状況を「再現」しているのだそうです。

 その後も出てくる敵はすべてメタルスライム、こちらの攻撃はすべて会心の一撃という状態で、通常では考えられないほどのスピードでレベル18に到達(レベル18あれば竜王は討伐可能)。ちょっとした凡ミスなどもありましたが、これにより従来の記録を大幅に上回る「45分5秒」というタイムでゲームをクリアしています。

 こちらのサイトには、投稿者自身による詳しい「状況再現」方法の説明も。これによると、「ドラクエ」では話す、調べるといった操作はもちろんのこと、一瞬立ち止まっただけでも乱数が変化してしまうため、再現中は一歩たりとも立ち止まることは許されず、また予測不可能な乱数変化を防ぐため、常にどれかのキーは押しっぱなしにしておかなければならないとのこと。また当然、再現を行うためには事前の「調査」が不可欠で、どういう操作をすればメタルスライムが出現し、どのタイミングでコマンドを入力すれば会心の一撃が出るかなどについては、地道に総当たりで調べていくしかありません。投稿者曰く「状況再現は、調査時は暗中模索のパズルゲー、実プレイはスタイリッシュノンストップアクションRPG」だそうですが、たった45分のプレイの裏側には、筆舌に尽くしがたい苦労があったことがこの言葉からもうかがえます。

 状況再現を使ったRTA動画はほかにもあり、「ドラクエ」以前にも、「ロマンシング サ・ガ3」や「風来のシレン」などのゲームでは早くから状況再現が実用化されていた模様。状況再現を使った場合、通常のRTAとは区別するために「状況再現RTA」などと呼ばれることもあるようです。

 なお上記「ドラクエ1」の状況再現RTAですが、翌日別の人がさらに記録を更新しており、現在の最高記録は42分45秒とのこと。ここまで来るとほとんど「人力TAS」のレベルですが、人の手でどこまでTAS動画に近づくことができるのか、これはこれでひとつの挑戦と言えるのではないでしょうか。

画像 ゲーム開始2分でいきなりメタルスライム討伐
画像 通常では考えられないタイムで竜王を倒しています
画像 45分5秒で「The End」表示。早いっ!

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