“ウェアラブル”の今:第23回 予約開始目前 どのApple Watchを選ぶべきか?
Apple Watchの日本での予約開始が、4月10日午後4時1分からと案内された。あと1週間を切ったわけだが、いまだにどのモデルを選ぶのかは非常に悩ましい。改めてどのモデルを選ぶべきか考えてみた。
Apple Watchの予約開始までいよいよ1週間を切った。日本時間では4月10日16時01分から予約がスタートする。ほかのApple製品と違い、Apple Storeに行列を作ることはないだろう。
発売当初、すべてはオンラインストアで予約をする必要があるからだ。店頭での試着にも予約が必要だ。これまでのどの製品とも異なる販売方法をとるのは、テクノロジーとしてではなく、ファッションとしての新しい購入体験を作ろうとしている現れだろう。
とはいえ、スポーツモデルは今後、一般の販売店でも流通する可能性があると考えている。ほかのモデルはケースのサイズとバンドのサイズをそれぞれ指定して購入するため、試着するまでどのバンドのサイズが最適かが分からない。ある意味サイズ合わせのための予約販売、という側面もある。
しかしスポーツモデルにはバンドが2種類付属してくるため、慎重な試着をしなくても、大小の合うバンドを選んで装着すれば良いからだ。ただし、量販店などでの販売は、まだ先の話になるかもしれない。
Appleに関する分析で著名なアナリスト、Piper Jaffrayのジーン・マンスター(Gene Munster)氏は、Apple Watchの「初速」、すなわち発売される金曜日からの週末で、その売り上げは100万台に達するとの見方を示した。
「スマートウォッチとして、間違いなく“初めての成功”を手に入れる製品になる」というのがApple Watchに対する現在の評価だ。やはりそこには、iPhoneを有するAppleが手がけるという、ブランド、ロイヤリティによるものが強いと見ている。
スマートウォッチというカテゴリーそのものがどうなるのか、2015年の1年をかけて、議論が深まっていくだろう。
重い方がいいか、軽い方がいいか
Apple Watchの販売台数は、2014年の1年間をかけてAndroid Wear搭載のスマートウォッチが積み上げてきた売り上げも上回るものになるはずだ。筆者は、Android Wear搭載のLGのスマートウォッチや、そのほかのスマートフォンと連携する腕時計を試してきた。
筆者の周囲の人々の反応は、どちらかというと、日本よりも米国の方がやや冷たかったように感じている。その一方で、特に活動量計のようなスポーツトラッキング機能を持つ既存のウェアラブルデバイスを使ってきた人たちは、Apple Watchのスポーツモデルを歓迎している様子だった。
実際にApple Watchに触れてみると、Apple Watch Sportとそれ以外のモデルに「大きな性格の違い」が存在しているように思う。機能は全く同じだが、重さが根本的に違うのだ。
実際に装着してみると、その重さの違いに驚かされる。そして、少し悩みは深まる。
38mmモデルのケースで比較すると、アルミニウムのスポーツモデルは25グラムだが、ステンレススチールを採用する通常モデルは40グラムだ。さらにスポーツモデルにフルオロエラストマーのバンドを組み合わせると62グラムになるが、通常モデルにステンレス製のリンクブレスレットを組み合わせると105グラムになる。
スポーツ向けなら軽い方が良いかもしれない。より軽快にスポーツを楽しむときにも付けっぱなしにしていられる軽快さと、しっかりフィットするバンドは、もちろん既存のスポーツトラッキング系のウェアラブルデバイスよりは重たいが、スポーツウォッチの域にとどまるはずだ。
“オン”と“オフ”を使い分ける前提で考える
一方、必ずしも軽ければ良いという価値観だけではない。適度な重さは「つけ心地」と「質感」を作り出すこともある。その点で、より重たい通常モデルが悪だ、とは思わない。
デバイスの常識からすれば、身につけるモノが100グラムを超えると、重たいと思われるかもしれない。しかし100グラムを超えるApple Watchですら、腕時計の世界ではまだ「軽い」方かもしれない。
実際にステンレススチールを採用したApple Watchを腕に装着したが、たとえばOmegaの「Speedmaster」よりも軽かった。だいたいApple Watchの42mmケースと同じサイズでメタルリンクバンドを含めておよそ150グラムあり、普段使いしていて気にならないのだ。
一方で、100グラム以上の時計を付けてスポーツをしたいか、といわれるとそこも悩む。しかしカラフルなバンドとシルバーのケースのApple Watchをスーツに合わせられるか、といわれるとこれもまた難しい。
いつの間にか筆者も、腕時計好きな人が、何本も時計をそろえている理由がよく分かるようになってきた。とはいえ、Apple Watchを何本もそろえても、機能は同じなので、通常の腕時計ほどいろいろな種類をそろえる面白みはない。
ONとOFFで使い分けたい人は、やはりバンドのカスタマイズという手段になるのだが、どのケースが最適か、という答えはなかなか出しにくい。
個人的にはステンレススチールモデルを核にする
この際、個人的に最も興味のあるモデルを選ぶとすれば、やはり今までの腕時計的な体験を引き継ぐ意味で、(価格は別にして)ステンレススチールのApple Watchにメタルリンクバンドを組み合わせるチョイスがよいかな、と思う。
これに1本、スポーツバンドを用意すると、おそらく前述のオンとオフをこなすことができるはずだ。そのかわり、合計の価格は42mmケースで11万9800円(税別)となるため、Apple Watchがかなり長く使えることを信じて購入する必要がある。
もう1つの選択として興味があるのが、スペースグレイのスポーツモデルだ。筆者のiPhoneがスペースグレイいうことで、色をそろえることができるからだ。たとえばレザー系のバンドを追加購入してオンに備えることもできる。
その際、42mmケースのモデルは4万8800円(税別)で、レザーのバンドは1万7800円(税別)からそろっている。一式購入すると、合計で6万6600円(税別)になる。
予約販売はうまくいくのか?
正直なところ、Apple Watchは極めて高い買い物だ。前述の通り、反応が鈍かったという話は、Apple Watchの価格を告げる前のことで、この値段に二の足を踏む人も少なくない。
しかも、選ぶとなると、割と真剣にいろいろと検討する必要があり、一度装着したことがある筆者でも、毎日使うとなると「これ」と一発で断言できるわけではないのだ。
だとすると、先に購入したいApple WatchをApple Storeオンラインで予約するという方法はうまくいくだろうか。もう少し、店頭でいろいろ試してから購入したり、これを買うつもりだったけれど、やはり違うものにした、というパターンが頻発しそうに思える。
発売時、行列ができて、その1人1人がじっくりフィッティングをしていると、おそらく途方もない時間がかかることになるはずだ。かといって、限られた予約枠を取り合いながら、先に商品を押さえておいて、という方法も、本当に選びたいモデルを手に入れる最適な方法かは分からない。
とにかくAppleにとっても、テクノロジー業界にとっても、初めての試みだ。こうした試行錯誤そのものに意味があるととらえて、引き続き動向を見ていきたいと思う。
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