「カロリー量だけを見る時代は終わりました」 食のプロ・タニタが語る“ごほうびビール”との付き合い方:燃え尽きランナー救済計画
タニタの食のプロに「やせるメカニズム」や「健康的に続けられる食事のコツ」を伺った今回。後編では「ごほうび」について、意外なお話が飛び出しました。
ランニングを始めたは良いものの、結局続けられず挫折してしまう――そんな“燃え尽きランナー”にならないためのコツを、女優の高山都(たかやま・みやこ)さんと一緒に検証していく本連載「燃え尽きランナー救済計画」。
身体がやせるためのメカニズムから、やせやすい食べ方までを伺った前回。続いて今回は、ランナーのモチベーション維持に欠かせないごほうび、特に「ごほうびビール」との付き合い方について伺った。キーワードは「我慢のしどころを間違えない」だ。
飲み会のシメは「我慢しない」「カロリー量を見るだけではダメ」
小澤さん:先程の「ランニングも食事もほどほどに」っていうのは、我慢のしどころを間違えないとも言えるかもしれません。例えば、飲み会のシメは食べてくださいとアドバイスしています。
高山さん:え!? いいんですか?
小澤さん:あとあと食べたくなって、ラーメン屋さんやコンビニに寄り道してしまうよりも、その時に食べた方がいいです。帰った後に食べたくなるから、だったらそこでシメを食べてください。どうしても身体が糖質を要求しちゃいますから。
――確かに。飲み会の帰り道、狙い撃ちされているんじゃないかと思うくらい、絶妙な場所にコンビニがありますよね(笑)。
小澤さん:シメを食べてないからといって、代わりにデザートを食べてしまうとしますよね。デザートには、脂質も含まれているので、同じカロリーでも中身の質がまったく異なります。皆さん、カロリーを表面上の箱の大きさだけを見て、中身を見てないんですね。
例えば、ランナーの方で体脂肪率が下がらないという方のお話を聞くと、デニッシュなどのパンを重ね食べしているのです。カロリー量だけを見る時代は、もう終わりました。カロリーはタンパク質と脂質と炭水化物(糖質)でできているのですが、何から摂るかが重要です。カロリー計算しているのにやせないという方は、たいてい脂質や炭水化物(糖質)から多く摂っている方が多いのです。
――そういえば、高山さんのインスタグラム、走っている写真と同じくらい、飲んでいる写真も多いですよね。
高山さん:そうなんです(笑)。おいしく飲むために走るみたいな日があってもいいと思っています。食べた分、飲んだ分、走るってことにすると、食べたことに対する罪悪感がなくなるので、心に健康的です。ランの継続にはごほうびも大事です。
――ごほうびビールは欠かせない、でもやせたい。そんなわがままなランナーに、飲み会の中で工夫できることを教えてもらえませんか。
小澤さん:荻野は、赤ちょうちんレシピの女です。
荻野さん:いえいえ(笑)。2冊目のレシピ本に、赤ちょうちんレシピとして、副菜をいくつか載せたんですよ。脂質が少なかったり、野菜が摂れたりするメニューを入れています。一杯目のビールなどは断りづらいと思うので、食事でうまく調整をしていただけるといいですね。揚げ物を頼んだら、野菜のものを1品頼む。その点ではコースはバランスが取れていることが多いですし、出てくる順番も、先程の順番になっていることが多いです。
高山さん:あーなるほど。
小澤さん:ただ、サラダを食べるときに注意していただきたいのが、ドレッシングです。ドレッシングを大量にかける方が多いじゃないですか。ドレッシングは脂質が多かったり、ノンオイルでも塩分は多く含まれたりするものも多いので、かけすぎは要注意ですね。
荻野さん:ドレッシングは、タニタ食堂では気に掛けているポイントのひとつです。コクのあるドレッシングは塩分が少ないのですが、カロリーは高くなります。一方で、ノンオイルはノンオイルで、バッと量をかけがちなので、比例して塩分が多くなってしまいます。
――コースですと鍋も多いですが、鍋も食べていいのですか?
荻野さん:お鍋はいろいろなものがバランスよく摂れるのでいいですよ。
小澤さん:肉や魚の主菜と、野菜やきのこの副菜が簡単に摂れるため、スポーツ選手は鍋を食べる方が多いですよ。1年中鍋を食べている方もいます。
荻野さん:大鍋の中では薄味に調理して、七味などの辛味や酸味で手元で味付けすると、よりいいですね。
高山さん:あーそっか、そうですね。
――「ビールあんまり減らせないよね」ということでしたが、飲み方、例えば、ビールではなくてチューハイのほうがいいとかってありますか?
荻野さん:蒸留酒をソーダで割ったハイボールなど、「割る」お酒がいいと思います。あと、水を一緒にもらっておいて、交互に飲むとか。甘いお酒はカロリーが高いので気をつけてください。
小澤さん:「我慢のしどころを間違えない」という意味では、15時の間食も無理して我慢する必要はないと思います。私は15時くらいに糖分をとって、集中力を保つようにしています。夕方に糖質がぐんと下がってドカ食いしちゃうよりも、一回そこで摂り入れて、夜にたくさん食べるのを抑えています。
――確かに。夕方になると、無性にコンビニに行きたくなるんですよね。それをするくらいだったら、ということですね。
高山さん:オススメの間食はありますか?
小澤さん:会社にフルーツを持っていくことが多くて、ミカンやりんご、バナナをおやつに食べたりしています。そうでもしないと、フルーツってなかなか食べる機会がないですよね。
荻野さん:飲み会のシメにしても、間食にしても、自分の癖を知っておくといいと思います。とにかく、まずは知ること。自分が食べたいものが何キロカロリーで、どれくらい走れば消費できるのかということが分かると、具体的な行動に移しやすいですよ。モヤモヤ漠然としているから、もういいやってなっちゃう。まずは知ることから始めてみましょう。
――なるほど。知る、行動、チェックのサイクルを回すんですね。荻野さん、小澤さん、今日はありがとうございました!
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