数千万円の賠償請求も……絶対に加入しておきたい「自転車保険」の比較と選び方のコツ:加入率わずか2割
過去に9000万円以上という高額賠償判決もあった自転車事故。公道を走るれっきとした“軽車両”として自転車保険の選びかたを考える。
以前、スポーツバイクを買うときに一緒に買うといいものを紹介したが、もうひとつ、とっても大事なものがあった。
それは、自転車向けの保険である。近年、健康を気にする人にはウォーキングやジョギングなどの運動が人気を集めているが、サイクリングには他とは違う特徴がひとつある。それは、れっきとした軽車両に乗ってスポーツするということだ。そう、ロードバイクに乗ろうが、シティサイクル(ママチャリ)に乗ろうが、それは“車”である。自転車が歩行者にぶつかってしまったら、「ちょっとすみません」では済まないのだ。疑う余地なく交通事故となる。
実際、2015年4月には女子大生が自転車で歩行者とぶつかったのちに立ち去ったとして、「ひき逃げ」扱いで書類送検されているほか、過去には9000万円を超える賠償請求判決もあった。
そんな中、自転車向け保険の加入率はわずか2割程度と言われている。今回は、スポーツバイクに乗る、乗らないにかかわらず入っておきたい保険のハナシだ。
自転車向け保険には2種類ある
一口に自転車向け保険といっても、実は2種類あるのだ。
- 自転車向け盗難保険:自転車が盗難されてしまった時に、ある一定の割合まで補償されるもの
- 自転車向け障害保険:自転車で事故にあった場合に賠償責任補償や入院保険が受けられるもの
といった具合である。
「自転車向け盗難保険」は、原則購入時もしくは購入からごく短期のうちに加入するもので、盗難が多い「ロードバイク」や「クロスバイク」などにかける場合が多い。
例えば、ちょっと目を離した隙に数十万円するロードバイクを盗まれてしまったとしたらどうだろう。もう目の前真っ暗である。そのような万が一の時に備えるのが、この盗難保険。この保険は主に自転車販売店で加入案内を受けられるだろう。
すっごく大事なのは、「自転車向け傷害保険」の方である。交通事故にあってしまった場合に、数千万円という賠償に発展する可能性があり、そのまま人生が……となってしまいかねないためだ。
しかしながら、最近はスポーツバイクの流行にともなって、各社から自転車向け傷害保険も数多く登場している。いったいどれを選べばいいのか分からない。
そこで今回は、自転車保険を選ぶコツを紹介しよう(やっと本題)。
加入するべき自転車保険を見分けるコツ
実はこのコツ、それほど難しいものではない。絶対にクリアしておきたいポイントは2つだけだ。
- 賠償責任は最低1億円以上
最近は自転車事故に対する賠償責任が大変重くなっている。2008年には9000万円以上の賠償責任が発生したほか、数千万円クラスの賠償がつぎつぎと起こっているのが現状だ。
自分が交通事故の加害者になってしまった場合に備えて、最低でも賠償責任は1億円以上のものを選択しよう。
- 示談交渉サービスは必須
例えばスポーツバイクに乗っていて、不幸にも相手と接触事故を起こしてしまったとしよう。通常は示談交渉を行うのだが、それには大変な時間と労力がかかってしまう。そこで、その示談交渉を保険会社側で行うサービスがその名の通り「示談交渉サービス」だ。このサービスに入っているのと入っていないのでは、事故後の対応に大きく差が出てしまう。
つまり、最低でも「賠償責任1億円以上」「示談交渉サービス付き」の2点をクリアしておくのが選ぶコツなのだ。
ちなみに、自身で自動車保険、火災保険、生命保険といったなんらかの保険に加入している場合は、自転車での交通事故もカバーできる特約がある場合が多いため、自転車向け保険に加入する前に保険代理店などに問い合わせすると良い。
意外と便利なTSマーク(赤)
自転車保険には、あまり知られていないとても便利な保険がある。その名は「TSマーク(赤)」だ。自転車安全整備士のいる自転車屋で整備をしてもらうことで貼り付けてもらえるマークで、有効期限は1年間。賠償補償は5000万円(2013年10月1日以降に貼り付けた場合)と、やや物足りない。
しかしながら、補償の対象は「TSマークを貼り付けている自転車」になり、例えば自転車を誰かに貸したとき、その自転車が交通事故を起こしてしまっても、最大5000万円まで賠償補償をしてくれるというものだ。
スポーツバイクに乗っている人はなかなか愛車を貸すことはないと思うが、「ちょっと乗ってみる?」といったやりとりはあるかもしれない。そのような時に役立つ保険として加入しておくと良いだろう。加入費用は、自転車屋さんの整備点検費用によって異なり、1000円〜2000円程度が相場となっている。
事故は起きない、起こさないのが基本だが、こちらがじゅうぶん注意していても、事故が起こる可能性がある。特に車両に乗って走る自転車は、マナーとして自転車向け保険に入るべきだ。
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