第28回 Apple WatchのHandoffから面白い使い方が生まれる?“ウェアラブル”の今

Apple Watchを使うようになり、iPhoneをずっと握りしめながらの生活からの変化を感じる一方、Apple WatchとiPhoneの連係にはまだ便利なパターンがよく分からない。ここが大きく変わると、面白い使い方が生まれるかもしれない。

» 2015年05月12日 06時30分 公開
[松村太郎ITmedia]
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Apple Watch Handoff Apple Watch上で何かをしている状態でiPhoneの画面をつけると、Handoffによりその作業が簡単に継続できる。例えばYahoo! ニュースアプリを見ている状態でiPhoneに目を移すと、ホーム画面左下にYahoo! ニュースアプリのアイコンが現れる。ここをスワイプするとiPhoneでもYahoo! ニュースアプリが閲覧できる

 Apple Watchを装着するようになって3週間がたった。

 東京への出張、ゴールデンウィークの休暇、米国・バークレーでの平日という、ここ最近の生活周期を一通り体験する中でApple Watchを利用し、改めて思ったことは、iPhone依存からの脱却だった。

 すでに指摘したことだが、iPhoneをポケットから取り出さずに移動時間を過ごしたり、家に戻ってきてiPhoneを充電しながらリビングにいる時間が増え、今までのようなiPhoneをずっと握りしめながらの生活ではなくなってきた。

 例えばiPhoneで検索したNetflixの動画を、iPhoneから再生してそれをテレビに映し出したり、自宅にいてMacがあるのに、ちょっとしたメールをわざわざiPhoneで返信したりしていたが、それぞれ、Apple TVでの再生、Macからの返信へと変化した。

 腕時計というデバイスが1つ増えること自体、スマホ集約のシンプルさから外れることを意味する。ただ、家の内外で、iPhoneをのぞき込む時間が減るという変化と、それぞれの場所に専用の道具があった方が便利だ、という改めての気付き、もしくは回帰に気付くことになった。

予定を素早く反映させるには

 本題に入る前に、読者の方からいくつか同じ質問をいただいたので指摘しておこうと思う。

 前回、Apple Watchでのスケジュール活用について触れた。筆者はGoogleカレンダーで予定を管理しているが、iPhoneだけでなく、Macのカレンダーアプリ「Sunrise」や、ブラウザからGoogleカレンダーを使って予定を追加する。

 質問は「iPhone以外から追加した予定がApple Watchにぜんぜん反映されないのはなぜか」というものだった。

 確かにApple Watchの設定でも、iPhoneのApple Watch設定アプリでも、カレンダーの更新に関する項目の設定は特に見当たらない。Apple Watchに素早くGoogleカレンダーの予定を反映させるには、iPhoneの「設定」>「メール/連絡先/カレンダー」>「データの取得方法」を設定する必要がある。

 おそらく予定が反映されないという人は、「フェッチ」の設定が「手動」になっているのではないだろうか。この場合、iPhoneでカレンダーアプリを開かなければ、予定が更新されず、Apple Watchにも流れてこない。

 そのため、フェッチの設定を「1時間ごと」などにしておけば、自動的に更新されるようになるはずだ。

Apple WatchとiPhoneの通話の連係

 iPhoneやiPadとMacは、OSレベルでさまざまな連携を行うようになり、またサードパーティのアプリも作業を引き継ぐ「Handoff」を実装できるようになった。

 例えば、iPhoneで書いていたメールの下書きを、Macで引き継いで完成させたり、Macで見ていたWebページをiPhoneで開いて出かけたり。通話やメッセージなどの連係も行うことができるようになり、一体感を高めている。

 iPhoneとApple Watchは、iPhoneを主として、一体的に活用することが前提となっている。そのため、Mac以上にiPhoneとの結び付きが強いウェアラブルデバイス、ということになる。前述のカレンダーの件も、それを反映していると言える。

 Apple Watchでは、iPhoneにかかってきた電話を知らせてくれる。外を歩いているとき、iPhoneのマナーモード+バイブレーションでは着信に気付かないことは多いが、Apple Watchによる手首の振動は、電話を逃さず確実に取れるようになる。

 Apple Watch自体で通話することもできる。屋外でも、ある程度Apple Watchを顔に近づければ、相手の声を聞き取れ、自分の声も比較的クリアに伝える事ができる。ただ、手首を口元に持ってきて喋る「姿」が恥ずかしく、割と早い段階で疲れる。

 そこでiPhoneを取り出してみると、左下のHandoffのコーナーに「電話」のアイコンが表示されており、これを上にスワイプすれば、Apple WatchからiPhoneに通話を切り替えて、普段のスタイルで会話が続けられるようになる。

Apple WatchとiPhoneの間にある、データの流れと、動作の流れ

 冒頭のカレンダーの話からは、データの流れのパターンを見付けることができる。iPhoneでクラウドから取得したデータを、Apple Watchでも表示する、というものだ。

 逆のデータの流れもある。Apple Watchで取得した活動や運動のデータは、iPhoneのアプリ「アクティビティ」に格納される仕組みとなっている。iPhoneに格納されたデータは、ヘルスケアアプリを通じて、他のアプリから利用できるようになる。

 一方、通話のHandoffでは、Apple Watchで行っていたことを、iPhoneに引き継ぐ、動作の引継ぎのパターンだ。

 通話に限らず多くの操作で、iPhoneの方がApple Watchよりも操作性が高いことから、Apple Watch向けにアプリを提供している場合でも、「時計→スマホ」という動作の引継ぎは重要なパターンとなっていくはずだ。

 ちなみに、RemoteやKeynoteなど、Apple Watchがリモコンとして動作するアプリについては非常に単純で分かりやすい。

 あるいは、株価や天気など、特定のフォーマットの情報を表示するだけのアプリも、ネット接続さえあれば機能する。いずれもiPhoneを介して、ということになるが、「リモコン」という用途は、単純に便利に活用できるのではないだろうか。

連係の流れとパターンが増えることに期待

 連係については、まだまだ便利なパターンが分からない、という現状がある。現在の2つのアプリを例に見てみよう。

 グランスに最新ニュースのプッシュが届くYahoo! ニュースアプリでは、見出しと写真が表示される仕組みだが、通知の場合、「※詳細はiPhoneで閲覧できます」という注記がなされる。

 しかしそのすぐ下にある「了解」ボタンを押しても、通知が閉じるだけで、iPhoneに動作を引き継ぐなどの連係は発生しない。Instagramでは、グランスやWatchアプリのニュースフィードは限定的ながら、iPhoneのアプリで続きを操作するような案内もない。

 Apple WatchとiPhoneの連係はこれから、というところだが、どんな連係が良いのか、どんな使い分けがユーザーにとって便利なのか、開発者が熟考するよりも、現状のAPIで実装してフィードバックを得る方が早いかもしれない。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2410/31/news032.jpg 結婚相手を連れてくる妹に「他の人に会わせられない」と言われた兄、プロがイメチェンしたら…… 「鈴木亮平さんに見えた」大変身に驚がく
  2. /nl/articles/2410/31/news177.jpg 天皇皇后両陛下主催の園遊会、“お土産”に注目 ジョージア大使「大好物です」「娘たちからも大好評」
  3. /nl/articles/2410/30/news190.jpg 「2007年に紅白出場」 38歳になった“グラビア界の黒船”が1年ぶりに近影公開→驚きの声続々
  4. /nl/articles/2410/31/news183.jpg 「姉はミスヤングマガジン」で“美人姉妹” 筋肉率79.9%の女子高生プロレスラーが全身の計測結果を公開→「驚異的……」と反響
  5. /nl/articles/2410/31/news031.jpg イヤになるほど雑草ボーボーの庭が、プロがやってる“ある対策”で…… 驚きの効果が140万再生「凄すぎ」「感心しました」
  6. /nl/articles/2410/30/news146.jpg フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  7. /nl/articles/2410/31/news166.jpg ドジャース奥様会の最新ショット 大谷翔平の妻・真美子さんの不在を残念がる声も……「あれっ!?」「探してしまう」
  8. /nl/articles/2410/31/news034.jpg どこが間違ってるか分かる? たぬきイラストの正誤比較に「ずっと間違えてた」「任天堂のせい」の声 作者に話を聞いてみた
  9. /nl/articles/2410/31/news014.jpg ホテルのベッドにある“謎の布”は何のため? ホテル従業員の解説に「それは知らなかった」と驚きの声
  10. /nl/articles/2410/30/news175.jpg 彼女が寝ている彼氏をふと見たら…… 笑いが止まらぬ“エレガント過ぎる寝相”に330万いいね「本当に彼は寝てるの?」【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた
  2. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  3. 大家に「好きにしていいよ」と言われて薄暗い部屋をDIY改装したら…… あまりの変貌に仰天「すっげえええ」 投稿者に話を聞いた
  4. 「どうやったら今の顔に???」 “顔面国宝級”と呼ばれる美容外科医が“整形前”の姿公開し衝撃広がる 「どんな人でも変われる」とメッセージ
  5. 「笑いが止まらない」 深夜のバイクで職務質問 → バッグから出てきたものは…… 警官も笑った“とんでもない光景”が1000万表示 「キマってますねぇ」
  6. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  7. 「またディズニー離れが……」 ディズニーランドの“クローズ情報”に「受け入れられない」「妥当」さまざまな声
  8. 「ふざけてる」「作品を知らないのになぜ?」と怒りの声 マクドナルドと「HUNTER×HUNTER」コラボの“PR施策”が物議【台湾】
  9. 自宅の犬小屋に住み着いた野良猫が、1年後…… まさかまさかの“現在”に「うわあ!よかったねえ!」「お幸せに」と100万表示
  10. たった築8年で“ぶっ壊れた”マイホームのリアル おそろしい戸建て事情に「声出た」「我が家もそうでした」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた