Apple Watchの機能「アクティビティ」の秘密 Apple ジェイ・ブラニック氏に聞いた(前編):“ウェアラブル”の今(1/2 ページ)
Apple Watchのキラーアプリケーションと言えるものの1つがアクティビティだ。このアクティビティ機能、Appleはどんな思いで作り込んだのか。ジェイ・ブラニック(Jay Blahnik)氏にインタビューした。
IDCの調査によれば、Apple Watchは、2015年第2四半期に約360万台を販売し、FitBitに次いで、ウェアラブルデバイスの販売実績としては第2位で推移しているという。マーケットシェアは20%弱を確保している。また調査会社Wristlyによると、Apple Watch所有者 の97%がApple Watchに「満足している」と答えており、毎日装着しているユーザーは86.1%に上るそうだ。そしてApple Watchユーザーの78%以上が「健康を意識するようになった」と生活の変化を実感している。
Apple Watchの価格は相対的に高い。他社のデバイスの2倍から100倍の価格レンジであることから、ウェアラブルデバイスの収益シェアでは1位になっていることが確実だろう。これはiPhoneのハイエンド戦略の結果と一致しており、もしAppleがiPhoneのビジネスモデルを踏襲しようとしていたなら、狙い通りの滑り出しといえる。
Apple Watchのキラー機能として、本連載でも「エクササイズ」や「アクティビティトラッキング」について紹介してきた。これらの機能について、Appleで開発に携わっているジェイ・ブラニック(Jay Blahnik)氏にインタビューすることができたので、2回に分けてその話を紹介しよう。
「アクティビティ機能をたくさんの人に使ってもらえてうれしい」
ブラニック氏はカリスマトレーナーとして知られ、MSNBC.comやLos Angeles Times紙での連載は好評を博し、トレーニングに関するベストセラーもリリースしている。
18年間もの長期にわたり、Nikeとアスリートコンサルタント契約をし、ランニングやフットネス関連のデジタル機器やアプリの開発にも携わってきた。現在はAppleのフィットネス・ヘルステクノロジーのディレクター(Director of Fitness and Health Technology)として、Apple Watchの“キラー機能”を育てている人物だ。
ブラニック氏に、Apple Watchをリリースしてからの感想を尋ねたところ、こんな答えが返ってきた。
「Apple Watchの健康とフィットネスの機能が、非常に多くの人々に使われ、また広く楽しんでもらえていることが、とてもうれしいです。より専門的にトレーニングをしている人も、日常的に運動をしていなかった人も アクティビティやワークアウトアプリケーションを生活の中で楽しんでいるという声をたくさん聞きます」(ブラニック氏)
複数の計測状況が一目で分かるアクティビティリング
さて、そんなApple Watchのエクササイズ機能は、進ちょく状況を3つのリングで表現する。このデザインに至るまで、デザインチームは多くの時間をかけたという。まずはこのアクティビティ機能の3つのリングの意味について聞いた。
「リング形状を採用したのにはいくつかの理由があります。数字での表現だと、ずっと上がり続けるため、ゴールの達成が見えにくく、また1つの尺度でしか表現できません。達成状況が随時分かれば、もう少し動こうなどと、運動に対してエンゲージを高めることができます」(ブラニック氏)
加えて、Apple Watchという小さな画面の中で複数の項目の達成状況が一目で分かる必要がある。それはすなわち、あとどれくらい歩いたり、エクササイズをしたりすれば目標を達成できるのかを、手軽に伝えるということだ。
また時計の盤面に、コンプリケーションズとしてエクササイズ機能を表示する場合、モノトーンになる上、さらに小さなアイコンで表現されることから、視認性の高さは重要になる。
こうした条件を満たすことを念頭に、デザインの過程で、バーの表示など、さまざまな形で進ちょくを表現する方法を試したという。結果的には、3重のリングのデザインを採用することになった。
リング形状は、アナログ時計のコンテクストにも通じる部分があるし、1つのアイコンで複数の計測状況を確認することができるのも利点だ。また、1周が100%とした時に、半分まで達成した、あと1/4で達成できる、と直感的に分かる点も、リングが選ばれた理由だそうだ。
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