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» 2015年09月06日 06時00分 公開

第43回 Appleが取り組む「人々の健康」への挑戦 Apple ジェイ・ブラニック氏インタビュー(後編)“ウェアラブル”の今(2/2 ページ)

[松村太郎,ITmedia]
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日常の中にある、長く歩く場所

 さて、ここからは、ブラニック氏とともに、Appleの本社外周にある道路、Infinite Loopを1周、約10分ウォーキングしながら、エクササイズ計測について詳しく聞いた。

 まず、歩き始める前に、Apple Watchのワークアウトアプリケーションを起動し、「屋外ウォーキング」をスタートさせる。そして、何も持たずに、腕を振って歩き始めた。歩き終わったら屋外ウォーキングを終了させ、「保存」をタップすれば、この運動が記録される。ちなみにwatchOS 2になると、自動的に保存されるため、保存し忘れの心配がなくなるという。

 iPhoneをポケットやポーチに入れ、Apple Watchを腕に装着してエクササイズを行うと、屋外ウォーキングやジョギングをする際、自動的にキャリブレーションが行われるという。iPhoneのGPSデータとApple Watchのセンサーデータを照らし合わせて、歩数や歩行距離を正確に割り出す。

 これにより、次回iPhoneを持たずに、Apple Watchだけを持ってウォーキングやジョギングに出かけたとしても、つまりiPhoneのGPSのデータが取得できなくても、正確な距離を測ることができるようになる。

 Apple Watchは世界中で使われており、世界中のユーザーからの声が集まってくる。なかでも東京という都市は日常的な運動量が多い都市だという。ブラニック氏も、「すぐに1万歩を上回る都市」と紹介していた。

 確かに、筆者が多くの時間を過ごすサンフランシスコの北の都市、バークレーでは、心して歩かなければ1日の歩数が1万歩を超えない。もしシリコンバレーに取材に行く場合は、クルマでの移動が必須で、ほとんど歩数が伸びないのだ。休みの日にスポーツをした方が、運動量が伸びる。

 しかし東京に出張すると、平日仕事のために移動するだけでも筆者は1万5000歩を簡単に超える傾向がある。電車通勤をしていると、駅での乗り換え、階段の昇降も多いことから、明らかに運動量の多い都市といえる。当たり前のように出張期間を過ごしてきたが、Apple Watchによってその差が可視化された。

 車での移動をしている米国の人々でも、例えば飛行機に乗るために訪れる空港は、ターミナル内が意外と距離があり、長く歩く場所となっているという。

Apple Watchでの計測のコツと、watch OS2の楽しみな刷新

 スーツケースやベビーカーなどを押して長距離を歩く場合についても、正しく計測するコツが必要だ。もしApple Watchを装着した腕でこれらを押していると、歩いたり走ったりする際とは異なるデータが記録されてしまうことがある。

 そんなときは、スーツケースやベビーカーを、Apple Watchを装着していない方の手で押すか、iPhoneをポケットに入れた上でエクササイズ機能をオンにし、GPSの距離の補正を生かすようにすれば、正しい計測結果を得ることができるという。荷物が多い移動の際や、ベビーカーなどを押しながら散歩をする際には覚えておきたい。

 インタビューと実際のウォーキングを交えたブラニック氏とのセッションは、Apple Watchへの理解を深めるには非常に良い機会となった。その上で、この秋にリリースされる予定の「watchOS 2」は、人々のエクササイズをさらに充実したものに変える、とブラニック氏は期待を寄せる。

 「watchOS 2は非常に楽しみなリリースです。Apple Watchの各種センサーにサードパーティーのアプリがアクセスできるようになる上、これらのアプリで集めたエクササイズの情報も、おなじみとなったリングに記録されます。また、iPhoneのアクティビティアプリでは、どのアプリケーションで計測したのかも分かるようになります」(ブラニック氏)

 例えばNikeやRunkeeperなど、お気に入りのiPhoneアプリがある人は、Apple Watchだけでこれらのアプリの計測を行い、Appleのリングのインタフェースにきちんと数値が反映されるようになる点は、大きな進化と言える。

 また、今後友人とデータで競うアプリなども作ることができるようになり、パーソナルなデータとして安全に扱いながら、より広い活用や楽しみ方の提案にも期待できるようになる。

 Appleは、「健康」という人類共通かつ永遠のテーマに本格的に取り組んでいる。そのことから、Apple Watchについて、単にiPhoneと組み合わせて利用できるアクセサリ、あるいはiPhoneを選ぶ魅力を高めるためのツールではなく、非常に長期的な取り組みとして位置付けていることが分かった。

 こうした長期戦は、iPhoneという確固たる製品が存在しているAppleだからこそ仕掛けられることだ。「長期」というのは、例えば10年という移り変わりが早いテクノロジー業界での長期ではなく、「人の人生に匹敵する期間」を意味している点に、面白みを感じている。

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