「ひと駅前で降りて歩く」が続かない理由――予防医学研究者・石川善樹さん<前編>(2/3 ページ)

» 2015年10月17日 06時00分 公開
[中山順司ITmedia]
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 あとは、咳とクシャミにも正しいやり方があるんです。よくある“手で口を覆う”のは間違いで、肘を使うべきなんです。肘で覆う理由はトイレの話と同じで、病気って圧倒的に手を介して広まるからです。肘を使うことが、周囲に迷惑を掛けないマナーになるんですね。手にバイ菌をつけないように心掛けることで、かなりの予防になります。ちなみに欧米人はこの方法を子供の頃から習います。

日本人がやりがちな、間違ったクシャミの仕方
正しいクシャミの仕方。手ではなく肘で口を覆う

既存の習慣をちょっとづつ変化させる

――衛生面以外で気を付けていることは?

 椅子に座ったときの姿勢ですね。肩こり、腰痛は姿勢の悪さによるものであることが多いです。ノートパソコンでの作業って、つい前かがみになってしまうので、それを防止するためにノートパソコンを机の奥に置き、外付けキーボードを膝に置いて入力します。こうすれば背筋が伸びて姿勢が良くなり、しかもディスプレイと距離が開くので目にも優しい。

 この方法を発見したのは、数カ月前にノートパソコンを壊してしまったのがキッカケです。水をこぼしてキーボードが壊れてしまったので、仕方なく外付けキーボードを使うようにしたんですね。そのときに「この方法はいいぞ」と発見しまして、それ以来外付けキーボードで仕事をしています。

――姿勢が良くなると、腰痛、肩こり以外にはどんないいことが?

 呼吸が深くなり、脳に酸素が届きやすくなります。集中力が高まり、いわゆる“ゾーン”にも入りやすくなります。姿勢が悪いと肺がつぶれ、呼吸が浅くなってしまうんですよ。浅い呼吸は「吸う」ほうが多くなるんですが、吸うと筋肉が緊張し、吐くと弛緩します。結果、姿勢が悪いと緊張が高まってイライラしやすくなってしまう。

――エルゴノミクスな高級椅子で姿勢を矯正する方法もありますよね。

 それでもいいんですが、もっと良いのは「自然と姿勢が良くなるような座り方ができている」ことですよね。道具だけに頼っても、そもそもの姿勢が悪ければ意味が薄いし、場所を変えたら姿勢が悪くなるだけ。根本から対処したほうがいいでしょう。

――でも、習慣っていくら他人の話を聞いても実践となると難しくて……。

 その通りです。いきなり新しい習慣は身につきません。これは科学で証明されています。習慣を変えるには、「既存の習慣をちょっとづつ変化させる」しか方法はないんです。具体的には、いつも行っている作業を、"わくわくする、もっと楽にする”アプローチに進化させることです。

 いつもの習慣の延長戦上で小さく始めて、大きく変化させないことがコツ。そうすることで、意図的に脳をだますんです。例えば私が実践している運動習慣は「電車から降りたら、目的地から一番遠い出口を経由して遠回りする」です。こうすれば、脳は「最寄り駅まで来ているんだし、さほど運動しているわけでもない」と勘違いしてくれるので、それなりに運動している割に、苦労もせずに長続きするんです。よく聞く「目的地のひと駅前で降りて歩く」も試したのですが、脳が「遠い……面倒……」と感じてしまって、習慣化できませんでした(笑)。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」 こだわり満載のクラシカルな一着に「すごすぎて意味わからない」「涙が出ました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」