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» 2016年06月04日 06時00分 公開

音声アシスタントは家に据え置かれているべきなのか“ウェアラブル”の今

「Amazon Echo」や「Google Home」のような、音声アシスタントを内蔵するデバイスは、非常に期待が集まる存在になりつつある。しかし、家の中で、特定の場所にこうしたデバイスが1台あるだけでは、それほど便利ではないように感じている。

[松村太郎,ITmedia]

 GoogleがGoogle I/O 16で、Googleアシスタントを活用できるスピーカー内蔵の音声デバイス「Google Home」を披露した。

Google Home Googleが披露した「Google Home」

 自宅で、Apple Musicなどのストリーミングサービスを単体で受信・再生できるWi-Fiスピーカー「SONOS」のシステムを使っている筆者からすると、小型で高音質なスピーカーシステムとしてのGoogle Homeは、非常に期待できる製品だと思う。

 ただし、こうした据え置き型の音声操作デバイスは、本当に必要なのだろうか、という疑問が晴れずにいる。

Amazon、Googleに続いてAppleも?

 筆者の疑問は横に置いておいて、自宅に置かれる音声アシスタント内蔵デバイスは、VR以上に2016年に期待が集まる存在になりつつある。

 先行しているAmazonの「Echo」に続いて、Googleは力を入れている機械学習と知識グラフ、そしてGmailやGoogleカレンダーなどのユーザーがGoogleに預けている情報を生かし、おそらくAmazonよりも実用的な製品になるだろう。

 また、前述のWi-Fi内蔵スピーカーシステムSONOSも、音声アシスタント機能への取り組みを明言している。自宅の中は、人々の話し声とともに、音声アシスタントの声も聞こえるようになる、賑やかな空間への変化しそうな勢いだ。

 Appleについても、先週から、同様の自宅に据え置くSiriが利用できるデバイスについての噂が流れている。

 米国のApple Store店頭から、Wi-Fiルーター製品である「AirPort Extreme」(日本では「AirMac Extreme」)や「Time Capsule」が取り除かれたという情報や、6月13日から開催される開発者向けの年次カンファレンスWWDC16でSiriに関するAPIが開発者に開放されるといううわさも出てきた。

 さらには、誰が話しかけているのかを判別するためのカメラまで搭載するとの情報も飛び出した。Appleは2015年、音声による自然な対話を実現する自然言語処理を研究してきたVocalIQを買収している。

 こうした情報は、Siriそのものの強化のため、と位置づけると同時に、Appleから据え置き型の音声デバイスの登場への信憑性を高めるには十分なものだ。

本当にGoogle Homeが有用なのか?

 前述の通り、Wi-Fiにつながり、スタンドアローンで音楽ストリーミングサービスにつながるスピーカーは、非常に便利で快適だ。

 スマートフォンの再生機能を使わないため、スマホでビデオを再生したり、電話がかかってきたとしても、部屋の音楽は途切れない。しかし、ストリーミングサービスの膨大なカタログから、好きな音楽が聴ける。この体験は、魅力的である、という評価を超えて、なくてはならない存在になった。

 Google Homeについても、音楽再生機能や、スピーカーをネットワークで繋いで、コントロールする機能については、非常に便利なはずだ。ただし、コンピューティングと音楽再生では、根本的に違う点がある。

 機械を操作してインタラクションをする際には、人は、その機械のそばにいなければならない、という点だ。

 音声だけで操作するなら、画面が見えなくても良い。この場合、確かにその機械を操作することができる範囲は、声が届き、機会が発する音が聞き取れる範囲に広がる(そういう意味では、ちょっとした思い付きだが、大声を張り上げたら大きな声で、小さな声で話しかけたら小さな声で、とフィードバックの音量も変わると良いかもしれない)。

 ただ、家の中でリビングルームのランプのそばにあるGoogle Homeを操作するために、キッチンから大声を張り上げるのは、明らかに異常な現象だ。おそらく、リビングにもキッチンにも置いた方が良いのだが、その際には本体の価格がどれくらいになるかが問題だ。

 またGoogle Homeは、画像を見る限り、電源ケーブルを接続しなければ利用できない。つまり、一般的な家であれば、設置場所はコンセントがある壁際に限られることになる。

機能が増えれば、さらに設置場所は限られる

 Google Homeは、一家に複数台を部屋ごとに設置して利用するスタイルを想定している。

 米国のアパートでは、シャワーとトイレ、洗面台がバスルームにまとめられていることが多いが、多少湿気に強ければ、バスルームは良い設置場所かもしれない。音楽をハンズフリーで選曲でき、朝の忙しい時に、シャワーを浴びながら、その日の渋滞状況を知ることもできるだろう。

 ただ、Appleからリリースされるかもしれない「Siri Home」(勝手に名付けた仮称。Apple TVのリモコンがSiri Remoteだったので)にはカメラが付いていたり、Wi-FiルーターやHomeKit対応デバイスのコントロール機能などが入るかもしれない。

 こうした機能が増えれば増えるほど、設置場所は、テレビ付近に集まってくることになる。Wi-Fiルーターであれば、有線ネットワークがある場所に置く必要があるし、カメラが内蔵されていたら、バスルームに置くのはナンセンスだ。

 こうした音声デバイスは、価格の安さと設置場所の自由さが、機能的な魅力よりも先にクリアすべき課題だ。その上で、家にこれを置くだけのメリットを作り出すのは、なかなか至難の業に思えてくる。

多分、本命はウェアラブル

 こうした背景があるため、Google Homeのような音声デバイスへの疑問が晴れないでいる。

 確かにディスプレイを用いないコンピューターとのインタラクションは、全く新しい感覚を作り出すし、新たなコンピューティングの時代を作り出すかもしれない。ただし、現在の我々のライフスタイルにおいては、なかなかこうしたデバイスが生かせる環境になっていないのではないか。

 Googleが賢いのは、Google Homeに、Googleアシスタントの成否をすべて委ねなかった点だ。デバイスとしてのGoogle Homeとともに、Googleアシスタントを生かすチャットアプリ「Allo」を披露し、スマホの画面上でGoogleアシスタントを活用する様子を見せた。こちらの方がより現実的だと感じた。

Allo チャット中に最適な返信をGoogleアシスタントが自動的に候補として表示してくれるチャットアプリ「Allo」

 モバイル化によってコンピューティングがよりパーソナルなものになっているため、自宅の部屋に置いてあるデバイスよりも、いつも身に着けているデバイスが音声アシスタントとしてしっかりと機能してくれた方が、利用頻度の面でも、前述のパーソナル性の面でも便利に働いてくれるのではないか、と考える。

 自宅でもいつも身に着けているデバイスとしては、スマートウォッチがある。据え置き型デバイスよりもスマートウォッチが音声デバイスとしてより進化する方が良いのではないか、というのが筆者が考える現在の結論だ。

 例えば、「Apple Watch」ではSiriが利用できるが、音声で話しかけてもフィードバックはディスプレイでの文字表示だ。音声通話をする際もそうだが、ちょっとうるさい場所だと、最大音量でもApple Watchが再生する音量は小さすぎる。スピーカーを強化しなければ、音声フィードバックは現実的ではないだろう。

Apple Watch Apple WatchにもSiriが搭載されているが、現状はディスプレイ上でのフィードバックに限られる

 Googleは、Android Wear 2.0を今年後半にリリースする。スタンドアローンでAndroid Wear 2.0搭載スマートウォッチから、Googleアシスタントを音声で利用できるようになったら、Google Homeよりも大きなインパクトがあるだろう。

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