両親・祖父母に教えたい紫外線リスク
紫外線を長年浴び続けると生じる病気には、どのようなものがあるのでしょうか。
両親や祖父母の健康は、いつも頭の片隅で気になっているものです。しかし、意外と本人たちが気付いていないところでリスクがあるのが「紫外線」による健康への影響です。紫外線は、日焼けやシミ、シワなどだけでなく、皮膚がんや白内障などの重大な病気を引き起こすことがあります。
そこで、両親や祖父母の世代にとって、特にリスクのある紫外線による病気や、そのケア方法をご紹介します。ぜひ声かけをしてあげてください。
紫外線を浴びることによって生じる病気
環境省の「紫外線環境保健マニュアル2015」によれば、現在、紫外線が関係していると考えられている病気として、次のようなものがあるといいます。
<急性のもの>
- 日焼け(サンバーン・サンタン)
- 紫外線角膜炎(雪目)
- 免疫機能低下
<慢性のもの>
- シワ(菱形皮膚)
- シミ、日光黒子
- 良性腫瘍
- 前がん症(日光角化症、悪性黒子)
- 皮膚がん
- 白内障
- 翼状片
高齢者にとっての紫外線リスク――皮膚がん・日光角化症
このような紫外線による傷害のうち、長年紫外線を浴び続けてきた高齢者にとって、特に盲点になりがちなのが、悪性の皮膚腫瘍です。
紫外線を浴びてできる腫瘍には、良性の「脂漏性角化症」と、悪性の「皮膚がん」があります。注意すべきなのは悪性の皮膚がんで、その前段階である、「日光角化症」などにかかった時点で治療をする必要があります。
日光角化症は、60歳以上の人に多い疾患で、紫外線を直接浴びた顔や頭、手の甲などに、1〜2cmほどの赤いシミができるものです。表面はカサカサしていて、かさぶたのようなものができるのが最も多いといわれています。皮膚がんのうち、「有きょく細胞がん」につながるといわれています。
まずは日光角化症になっていないかどうかの確認から始めるのが良さそうです。
高齢者にとっての紫外線リスク――白内障
高齢者にとってもう1つ、リスクとして認識しておきたいのが「白内障」です。白内障は、眼科疾患の中で、最も多い病気の1つといわれています。紫外線のほか、加齢や喫煙、糖尿病、強度近視などが危険因子とされています。
白内障とは、水晶体という目の中のレンズの役割をする部分が濁ることで、網膜まで光が届かず、見え方の質が低下するものです。老眼の進行、視力の低下と続き、最終的には失明に至ります。
とはいえ高齢者にとって必要な紫外線
反対に、紫外線が人体にとって必要な場面もあります。それは「ビタミンDの生成」における場面です。
紫外線を浴びると、皮下でビタミンDが生成されます。ビタミンDはカルシウムを腸内で2〜5倍に増加させる働きをするため、骨の強化に役立ちます。しかし不足するとカルシウム不足になり、けいれんや骨軟化症などが起きてきます。食事だけではなかなか必要量を摂取するのがむずかしいため、紫外線に頼る必要があります。
つまり、適度な日光浴は、高齢者にとって、骨を弱らせないためにも必要というわけです。しかし、紫外線リスクを考えれば、迷いが大きいものです。
一日に必要とされる最低量の目安は、標準的な日本人の場合、東京都心で8月1日の昼頃、雲が少しある晴れた日に3分間外出する程度だといいます(皮膚の25%を日焼け止めせず露出)。
皮膚にとってリスクや必要性のある紫外線。特に気にせず暮らしている両親や祖父母に、ぜひ注意を促してみてください。
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