うつ病をゲーム「Ingress」で克服 ポケモンGO生みの親も祝福 (3/3)
「Ingress」は二段構えで助けになった
Mさんのソジャーナ(連続プレイ日数のカウンター)は、お話を伺った当時で557日目でした。ソジャーナが登場してから始め、1度も切らしていないというので、それがMさんのIngress歴そのものです。現在はレベル16で、APは既に1億ポイント超。筆者のほうが先に始めているはずですが、筆者の倍以上のAPです。
9月一杯をかけて行われたUPV(Unique Portal Visited)獲得イベント「Lux Adventure」では、なんと1カ月で数千UPVをたたき出してしまいました(つまり1カ月で数千カ所の新しいポータルに出かけたということ)。週末は各地のミッションデー(頻繁に開催されているIngressのゲームイベントの1つ)に赴くなどとてもアクティブです。
もともと凝り性だというMさんは、数字に対して目標があると頑張りたいと思えるタイプだそう。歩いて構築していくだけでなく、個人の実績にも細かい目標を設定できるIngressというゲームはMさんにピッタリだったというわけです。
そんなMさんに、Ingressの具体的な効果を訪ねると「Ingressは二段構えで助けになった」と教えてくれました。
1つは1人でも行動範囲を広げられたこと。もう1つは、地域のコミュニティーに参加したことで、他者とのコミュニケーションができるようになり、リハビリにつながったことだそう。
「持ち直せたのは薬の力や家族のサポートあってのことですが、Ingressを始めたことで行動範囲を広げられたこともかなり大きかったと思います。けれど、今年の春くらいまではやっぱりちょっとつらかったんですね。
そんなとき、プレイ中にお会いした地元のエージェントさんにコミュニティーに誘われました。自分はアナログ人間なのでツールを使ってとか苦手だったんですけど、2回目にお会いしたときから参加することになってしまいました。そうしたらいろんな情報が入ってくるんですね。イベントの情報も多い。気がついたら、自然な形でいろんな人とコミュニケーションできるようになっていったんです。おかげで仕事でも人と話せるようになりました」
Mさんが誘われたというコミュニティーは筆者も知っていますが、個性豊かな顔ぶれで、ある種の職人集団でもあります。お互いを尊重できる柔軟な空気があるため、それがMさんの助けになったに違いありません。
ハンケ氏に会えたことを励みに
Ingressは、ゲームそのものをベースに、さらにそこからいろんな活動や大小の派生イベントが生まれやすいのも大きな特徴です。ゲームを楽しみながら、ふだんの自分ならまったく経験しないであろう体験ができ、それがさらに新しいことにチャレンジしてやろうという気持ちにさせてくれるところが良いそうです。
その1つが相馬のイベントでした。そのときの様子は冒頭でご紹介した通りです。
「自分をIngressに誘ってくれた人が誘ってくれたので行ってみました。ハンケさんが日本に来るらしいと知って、運がよければもしかしたら会えるかもって。まず現地に行ったら寄ってといわれていたカフェで情報収集しようと思ってたら、偶然そこにハンケさんがいた。そこに来ているなんて知らなかったので、本当に偶然。会えたことは一生の思い出です」
一緒に撮った写真を見ながらうれしそうに語るMさん。今でもあのときの思い出が支えになっていることが伝わってきました。
アドバイスは言いたくない
「Ingressを始めてしばらくは、やっているから何かがドラマチックに変わったとか、そういうことはなかったです。長い時間かけて、少しずつ少しずつ変わりました。今になってあのときとは変わったんだなというのは分かる。とにかくIngressをやっていなかったら、どうなっていたか分からなかった。会社を辞めずに済んでよかったです。今の自分は幸運だと思います」
そう語るMさんに、今同じように苦しんでいる人たちに、何かアドバイスはあるかと訪ねると「うつの人って、アドバイスを聞きたくない状態の人が多い。だからアドバイスは言いたくないんです」ときっぱりとした口調で答えました。
あくまでも個人的な経験として、刺激を受けられるきっかけとしてIngressは良かったということが、「その人にとって良いタイミングで伝わったらうれしい」といいます。
「全てはタイミングだと思う。私はこのサービスが続く限りやりたいです。突然終わったらやだな」
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