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プリキュアが歌い出した日 Perfumeの振付師MIKIKO先生が手掛けた「ドキドキ!プリキュアEDダンス」の衝撃サラリーマン、プリキュアを語る(1/4 ページ)

個人的には「ハピネスチャージプリキュア!」の前期ED「プリキュア・メモリ」も大好きなエンディングです。

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 PerfumeやBABYMETALの振付・ライブ演出として世界的に知られている演出振付家MIKIKOさん。かつて「プリキュアのエンディングダンス」も手掛けていたことをご存じでしょうか?


MIKIKOさんが振り付けを担当したドキドキ!プリキュア後期ED「ラブリンク」(画像はAmazon.co.jpから)

 ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の恋ダンスなどでも印象的な振り付けが特徴の振付師MIKIKOさん(愛称はMIKIKO先生)。日本だけではなく世界を舞台に大活躍されていますよね。アニメファン的には「戦姫絶唱シンフォギア」の名曲「逆光のフリューゲル」の振り付けでもおなじみでしょうか。

 MIKIKO先生は東京オリンピックの開閉会式演出の執行責任者を担当していましたが2021年3月、内部の事情により辞任されてしまいました。

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 MIKIKO先生が手掛けるオリンピック開会式、いったいどんなすごいものになったのか見てみたかっただけにとても残念ではありますよね。

 そんなMIKIKO先生、かつてはプリキュアシリーズのエンディングダンスの振り付けも手掛けていました。担当したプリキュアエンディングダンスは2013年「ドキドキ!プリキュア」から2015年「Go!プリンセスプリキュア」までの3シリーズ、全6作品。


「ドキドキ!プリキュア」前期ED「この空の向こう」(画像はYouTubeから)

 前田健さんから受け継がれた「子どもにも踊りやすいキャッチーな振り付け」と、その時期の「3DCG技術の飛躍的進歩」とがマッチしたその映像表現の完成度の高さは今でもプリキュアファンに語り継がれています。

 今回はそんなMIKIKO先生が手掛けたプリキュアエンディングダンスを振り返っていきたいと思います。

当時(2013年2月3日)のMIKIKO先生のツイート
今日から始まった『ドキドキ。プリキュア』観れた!エンディングの振付けさせて頂きました。さっそく姪っ子りり子に褒めてもらえた(ハート)

kasumi プロフィール

プリキュア好きの会社員。2児の父。視聴率などさまざまなデータからプリキュアを考察する「プリキュアの数字ブログ」を執筆中。2016年4月1日に公開した記事「娘が、プリキュアに追いついた日」は、プリキュアを通じた父娘のやりとりが多くの人の感動を呼び、多数のネットメディアに取り上げられた。

プリキュアが、歌い出した日

 2013年2月3日。「ドキドキ!プリキュア」の前期エンディング「この空の向こう」を初めて見たときの衝撃は今も忘れられません。この日、プリキュアが歌い出したのです。

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「この空の向こう」からプリキュアが歌い出した(画像はYouTubeから)

 それまでのプリキュアエンディングダンスは「歌に合わせてニッコリほほ笑む」的なCGだったのが、同作は「歌に合わせて、プリキュアが感情を込めて歌う」のです。

 作中でもアイドルとして活躍するキュアソードがラブリーインカムをつけてセンターで歌い、周りで3人のプリキュアが表情豊かにダンスを繰り広げます。その3DCG表現を最大限に生かしたのがMIKIKO先生の振り付けでした。


MIKIKO先生によるキュートな振り付けが魅力(画像はYouTubeから)

 かわいく前後に手を突き出すポーズや、右手を大きく上げて手を振ったりとキュートな振り付けは子どもたちにも分かりやすく、当時のCGの加速度的な進化とマッチし髪の動きや手指の先まで繊細に動き、踊るのです。

 「何を願うの?」に会わせてのお願いポーズや「承知」に合わせた敬礼ポーズなど、歌詞に合わせた「直感的なハンドサイン的な振り付け」はMIKIKO先生のプリキュアダンスの特徴でもありますよね。

 また、これまでのプリキュアエンディングダンスは「プロモーションビデオ風」な演出やカメラワークだったのが、「ドキドキ!プリキュア」では「ライブ的な演出手法」へと変わり、臨場感が一気にアップしました。

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 観客のいるステージ、ライブカメラを意識したカメラワークで縦横無尽に動きプリキュアの動きを追いかけます。


当時発刊されていた『プリキュア新聞 2013年 秋号』(日刊スポーツ新聞社)ではMIKIKO先生のインタビュー記事も載っていました

 プリキュアがライブステージで歌い、踊り、カメラに向かってウインクをする。その映像表現のかわいらしさは子どもたちのみならず大人をも魅了したのです。

 後期エンディング「ラブリンク」ではフェイシャルキャプチャーシステムにより歌手の吉田仁美さんの歌っている動きをキャプチャーしたといい、口だけが動くのではなく「目と口と表情筋が連動した動き」を見せ、プリキュアたちがさらに自然に歌いました。

 左右非対称の衣装、揺れる長い髪なども一切破綻することなく踊るプリキュアたち。CGでできる表現が増えたことによりMIKIKO先生のキュートなダンスが一層際立つ、当時の最高峰の映像表現がここにあったのです。

 「ドキドキ!プリキュア」のエンディングは「プリキュアが歌い出した」記念すべき作品なのです。

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 ちなみに「ドキドキ!プリキュア」のエンディングはPerfumeの3人にも好評だったようです。

のっちが「センセイ!? プリキュア見てたら、先生の名前が入っとたけど。あれって先生よね!? もしかしてプリキュアの振り付けやってますか!?」って。普段、あんまり、そんなこと言わないコなのに聞いてきて、「それって、すごいことよ」って隣からあ~ちゃんが言って。
「好きだから価値も分かるし、自分たちもその世代だったときに本当にあこがれていたから、あのダンスを作るなんて」みたいな事を最近、彼女たちから言われて、3人とも喜んでくれていて、これもやって良かったと思えた出来事の1つですね。
引用:『お父さんお母さんのためのプリキュア新聞 2013年 秋号』(日刊スポーツ新聞社)

 Perfumeの3人もプリキュアを見ていたのですね。

 「ドキドキ!プリキュア」前期エンディング「この空の向こう」は「ドキドキ!プリキュア」第1話(無料公開)で見ることが出来ます(エンディングは22:14)。

以降のMIKIKO先生の振り付けもすごい

 その後もMIKIKO先生は2014年「ハピネスチャージプリキュア!」、2015年「Go!プリンセスプリキュア」のエンディングダンスの振り付けを担当します。

 「ハピネスチャージプリキュア!」前期エンディング「プリキュア・メモリ」では、CGディレクターの宮本浩史さんの特徴でもある、前半は子どもたちに違和感を抱かせないような「セルルックCG」を使い後ろで小芝居を見せ、後半に「リアルルックCG」でダイナミックな動きを見せる手法がとられています(「ハピネスチャージプリキュア!」第1話。EDは22:13から)。

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 MIKIKO先生の随所で見せる「タメ」「トメ」が印象的な振り付けもかわいく、とにかく楽しく踊るキュアラブリー、キュアプリンセスの魅力を伝えています。


タメ、トメが振り付けのアクセントとなった「プリキュア・メモリ」(画像はYouTubeから)

 次作「Goプリンセスプリキュア!」では、MIKIKO先生の「指の第一関節まで優雅に動く」プリンセス的な振り付けに加え、宮本浩史さんのチームによるアニメ的なプリキュアの表情と動き、スパンコールやラメまでも再現されたドレス、ダイヤモンドダストやフォグなどのリッチなエフェクトが融合したまさに総合芸術的なエンディングダンスとなっています。

 「Go!プリンセスプリキュア」のエンディングダンスは、その情報量の多さが地上波デジタルでは表現しきれていないので、機会があればぜひBlu-rayで見ることをお勧めします。その情報量の多さに感動します。(「Go!プリンセスプリキュア」第1話。EDは22:14から)。


CG専門誌でも取り上げられるプリキュアエンディングダンス(写真は『CGWORLD 2015年11月号』(ボーンデジタル)から)
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