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アイカツ、プリマジ、ガル戦……、続々と縮小していく女児向けコンテンツ プリキュアとともに「女の子向け市場」を盛り上げてきたIPに何が起きているのか?サラリーマン、プリキュアを語る(2/2 ページ)

女の子向けコンテンツも時代に合わせて変わっていくのです。

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「アイカツ!」は終わるわけでない

 ただ一つ勘違いしないでいただきたいのは、「アイカツ!」や「プリティーシリーズ」は決して「終わる」わけではないのです。

 例えば「アイカツ!」の場合、バンダイナムコの決算報告をみるとアイカツ「グループ全体」としての売り上げは確かに2014年のピーク時よりも大きく落ち込んでいますが、その詳細を見てみると、大きく落ち込んでいるのはトイホビー部門(「アイカツ!」の場合、主にカードの売り上げ)なのです。

 それ以外(「アイカツ!」の場合はサンライズ制作のアニメやランティスの音楽CD、ライブなどの売り上げ)は比較的安定して推移していることが分かります。

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「アイカツ!」で大きく落ちているのはトイホビー部門(カード売り上げ)

 要は、「アイカツ!」は「女の子にアミューズメント施設に来てもらい100円、200円を落としてもらう」というビジネスが、コロナ禍もあり苦戦続きとなり幕を閉じることとなっただけなのです。

 「アイカツ!」シリーズはこれまでもライブなどでの大きな実績もあり、この先もさらに安定した収入が見込まれる映画やグッズ、CD、ライブなどを主体としたビジネスへと転換し続いていくものと思われます。


「アイカツ!」は映画、音楽ライブなどでこの先も続いていきます(出典:Amazon.co.jp

 事実、「アイカツ!」シリーズは、2023年春に10周年記念映画「映画アイカツ!10th STORY~未来へのSTARWAY~」を公開予定。2023年2月には10周年記念ライブ「アイカツ!シリーズ10th ANNIVERSARY LIVE」の開催も控えているなど、この先も積極的な展開が見られます。

 「アーケード筐体を主軸に新規の子ども向けに幅広く展開するビジネス」から「これまでアイカツを好きでいてくれた、かつての子どもたち」に向け、IP資産を生かした展開が続いていくものと思われます。

 一方、タカラトミーの「プリティーシリーズ」も、アーケード筐体は「ワッチャプリマジ!スタジオ」として継続、月額サービスの導入など新しい試みも実施されます。またWebアニメおよびアプリゲーム「アイドルランドプリパラ」も展開を控えているなど、まだまだ終わるわけではありません。あくまで「いったん休止」となっただけなのです。12月にはライブ「プリパラ&キラッとプリ☆チャン& ワッチャプリマジ! Winter Live 2022」も予定されています。

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「プリティーシリーズ」も引き続き継続していく(出典:Amazon.co.jp

 また、女の子向け特撮を現代によみがえらせたタカラトミーの「ガールズ×戦士」シリーズは、男の子も登場するダンスドラマ「リズスタ-Top of Artists!-」へと路線を変え「子ども向けコンテンツ」として継続しています。

 この10年間「女の子向け」として隆盛したコンテンツたちは、どのIPも「小さな女の子向け」という枠にとらわれない方向へと舵を切り出したのです。


「リズスタ」は男子も登場するダンスドラマ(出典:Amazon.co.jp

プリキュアは映画が絶好調も玩具はピーク時の半分以下

 一方、ずっと「女の子向け」として続いている「プリキュア」シリーズはこの秋、絶好調です。

 9月23日に公開された「映画デリシャスパーティ・プリキュア 夢みる・お子さまランチ!」(・はハートマーク)が大好評で、興行収入、動員ともにコロナ禍以前を上回る結果を出し、大復活を果たしています。


秋の映画が絶好調の「デリシャスパーティプリキュア」

 「デリシャスパーティプリキュア」はその作風に合わせ、「ミスタードーナツ」「はなまるうどん」「銀だこ」などと積極的なコラボを展開し、子どもたちへの認知を広げています。

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 ただ、映画は絶好調ながら玩具など関連商品の売り上げはピーク時(2010年)の半分以下にまで落ちているのもまた事実です。

 近年の「プリキュア」シリーズは、プリキュア専門ショップ「プリティストア」を中心とした大人に向けた商品展開も積極的に行い販路を広げています。また、かたくなに対応してこなかった「見放題配信サービス」での見逃し配信も2022年に解禁されるなど、プリキュアも時代に合わせ変化しています。

変わっていく女の子向けコンテンツ

 「催事イベント」「キャラショー」「アミューズメント施設でのゲーム」などがコロナ禍により展開が容易ではなくなったことに加え、かねて少子化も加速し、女の子向けコンテンツは大きく変わってきています。

 講談社『たのしい幼稚園』や『おともだち』といった雑誌媒体も今や3カ月に1回の発行となるなど、女の子向け市場はどんどん縮小しています。


デリシャスパーティプリキュア第32話では「くまモン」とのコラボも

 「テレビ放送と玩具と雑誌とが連動」「アーケード筐体とアニメが連動」といった、この10年間、女の子向けの主流だったビジネススタイルは大きく変わってきています。

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 昨今では「ぷにるんず」「すみっコぐらし」「ちいかわ」などのコンテンツが小さな女の子に支持されているようです。また「鬼滅の刃」ブーム以降は「SPY×FAMILY」などの一般アニメも未就学児にまで広がってきています。

 テレビよりもYouTubeを見る子どもたちが多い時代に向けた「女の子向けコンテンツ」はどうなっていくのでしょうか。

 まずは2023年「プリキュア20周年」に注目していきたいですね。

 現在放送中の「デリシャスパーティプリキュア」は、プリキュアシリーズでは初のAmazon Prime Video、NETFLIX、dアニメストアほか各種見放題配信サービスでも見逃し配信中です。

「デリシャスパーティプリキュア」
毎週日曜8時30分より
ABC・テレビ朝日系列にて放送中
(C)ABC-A・東映アニメーション

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