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» 2011年09月09日 10時00分 公開

「フジロック史上最高に売れなかったトラウマあり」 元バンドマン社長が作るファッションサイト「iQON」 (2/2)

[笹山美波,ITmedia]
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ついに起業、でも「受託開発に精一杯」の日々

画像 美女暦

 VASILYは08年11月に、Webサービスを受託開発する企業としてスタートし、それと並行して、Polyvoreに似た仕組みのサイト「iQON」の開発を進めることになった。

 とは言っても、受託開発の経験は皆無で、開発者は今村さん1人。営業リソースもないため、仕事はほとんど見つからなかった。たまたま知人からカレンダーサイト「美女暦」のiPhoneアプリを作れる人を探していると聞き、「iPhoneアプリ作れます」と「はったりをかまして」引き受けたほどだ。

 美女暦のiPhoneアプリは、App Storeの無料アプリランキングで2位に輝いた。次に開発を請け負った写真集アプリ「妄撮」(現在は販売停止)も、App Storeのエンターテインメント分野で1位にランクインするなどヒットし、設立2年目の売り上げは約6000万円に達した。

 iQONも昨年4月に無事オープンし、VASILYは波に乗ったように思えたが、「受託開発に精一杯で、やりたいこと(iQON)を見失ってしまった」と語る。ちょうどそんなとき、Googleがファッション検索サイト「Boutiques.com」を公開。金山社長は「ついにGoogleまで(ファッション業界に来たのか)……」と焦りを覚えた。

 「せっかく(ヤフーを辞めて)身軽になったのに俺は何をやっているんだ」――iQONに集中するため、ベンチャーキャピタルから出資を受け、受託開発を止めることにした。オフィスを移転し、エンジニアを中心に社員を7人増やすなど、iQONのための体制を整えた。

iQONは「人と人のつながりから新しいファッションを発見できる」ソーシャルファッションサイト

画像 CTOの今村雅幸さんと金山社長

 iQONは、ECサイトから提供を受けた30万件以上の商品画像を使ってWeb上でコーディネートページを作り、公開できる。画像はドラッグ&ドロップで自由にレイアウトでき、背景画像も設定可能。ファッション誌のようにおしゃれに商品を並べたり、商品の雰囲気にあった背景を設定したりと、凝ったページを作るユーザーも多く、自分のファッションセンスを存分にアピールできる場となっている。

 基本的な機能はPolyboreと「ほとんど同じ」だが、大きな違いは「日本人にアジャストしたサイト」である点だと話す。「作り手が異なればできる製品が違う。ディティールはもちろん、方向性も」。例えばこの夏は、音楽フェスに合わせたコーディネートを投稿するキャンペーンをiQONで実施したが、これは7〜8月に音楽フェスがいくつも開催される日本の文化に合わせたもの。この文化は「外国ではあまり知られていないはずだし、外国人には企画できないと思う」と、iQONの“日本らしさ”を金山社長は強調する。

 ほかのユーザーをフォローする機能を備えた。センスの良いユーザーがどんな着こなしをしているのか、どんなブランドや商品、テイストが気になっているのか知ることができる。気に入ったコーディネートには「LIKEする」ボタンをクリックするか、コメントを残すかして感想を伝えることも可能。iQONの楽しさのポイントは「人と人のつながりから新しいファッションを発見できる」ソーシャルな部分にありそうだ。

画像 トップページでは、ユーザーが「LIKE(いいね!)した」コーディネートや、アイテムの画像10件を小さくまとめて表示している。このほか「秋」「ワンピース」などテーマ別の人気コーディネートも表示している
画像 コーディネートを作成する「エディター」。記者も試して見たが、ファッションアイテムはもちろん、雑貨やコスメ、背景などあらゆる画像を組み合わせていくのが、工作している気分になってはまってしまった


画像 「マイページ」では、登録や「LIKE」をしたブランドやアイテム、ユーザーの情報アップデートがあると通知される仕組みになっている。「LIKE」したアイテムでコーディネートが作られたり、値下がりした際にはお知らせが来る
画像 音楽フェスのコーディネートコンテスト(8月17日まで開催)優秀作品。上がフジロック賞で、下がサマソニ賞。現在はECサイト「ELLE SHOP」内のブーツを使用したコンテストを開催中
画像 Twitter(@iQON_JP)でも頻繁にユーザーとコミュニケーションを取っている。金山社長自身が個人アカウントでコミュニケーションを取ることもあるそうだ


 現在の会員数は3000人。サイトの主な売り上げは、iQON経由でアイテムが購入された場合のアフィリエイト収入と、ファッションブランドとのタイアップ広告によるもので、「今は完全に赤字」という。だが、日本を盛り上げてくれそうなWebサービスを表彰するイベント「WISH2011」では大賞候補となる10サービスの1つに選ばれるなど、ヒットの兆しも見えてきている。今後は「かわいいコーディネートを簡単に作れる」有料機能を追加するなどして黒字化を目指す。

 コーディネートページを作成するAPIを他社に提供することも検討しているほか、秋にはmixiやYahooのIDでサイトにログインできるようにする予定。年内にはiPhone、mixi、Facebookのアプリを公開することを計画している。単純にコーディネートを共有するだけでなく、位置情報との連携や、趣味が似ている人をつなげるようなソーシャルな新機能も検討中だ。

 「サイト経由でたくさんの女性がおしゃれになって、幸せにすることができたら、日本中に笑顔があふれるはず。東日本大震災で少し暗い雰囲気の日本を明るくできたらうれしい」――金山社長は元ロッカーらしく、熱く語っていた。

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