富士急ハイランドに使徒、襲来。エヴァの活動限界までに「使徒」の包囲から脱出せよ:リアル脱出ゲーム「ある使徒からの脱出」リポート(1/2 ページ)
11月2日から19日にかけ、富士急ハイランドで開催されていたリアル脱出ゲーム「ある使徒からの脱出」のネタバレ全開リポートをお届けします。で、「使徒からの脱出」って結局どういうことだったの?
リアル脱出ゲーム×エヴァ×富士急ハイランド
ダンスホール、終わらない学級会、廃倉庫、マジックショー、夜の遊園地、東京ドーム、人狼村――。これらはすべて、筆者がこれまでに閉じ込められてきた「密室」の数々。もちろん本当に閉じ込められたわけではなく、全部「リアル脱出ゲーム」の話です。こうして書き出してみると、もう8回も参加してるんだなあ。
思えばはじめて参加したのが、2年前の「ダンスホールからの脱出」(そのときのリポートはこちら)。はじめは「脱出ゲームをリアルでやって面白いのかなあ?」だったのが、実際に参加してみて「すごい! 面白い!」に変わり、2回目からは友達も誘ってプライベートで参加するようになっていた。自分で言うのも何だが、8回参加して4勝4敗というのはなかなかの成績だと思う。だいたい、いつも100人いたら脱出できるのは10人いるかいないかくらいなのだ。
そんなわけで「リアル脱出ゲーム」には少々うるさい僕ですが、先日久しぶりに取材で参加させていただく機会があった。今度の密室は「ある使徒からの脱出」。11月2日から19日にかけ、富士急ハイランドで開催されていた、リアル脱出ゲームと「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」とのコラボイベントだ。
正直に告白すると、最初に話を聞いた時は「なんだそりゃ!」と思った。使徒からの脱出ってどゆこと? そもそも自分はシンジ君なの? それともネルフの誰か? 使徒と言ってもどの使徒が相手なの? 原作にいたヤツ? それともまさかオリジナル……? まあ、いくら頭をヒネったところで主催者以外に答えが分かるはずもなく、結局「ちょっと無理がある組み合わせなのでは」という不安と、「そこをどう料理してくるのか」という期待が入り交じったような状態で取材当日を迎えたのだった。
使徒、襲来
僕らが招待されたのは、一般公演前に行われる「デバッグ公演」と呼ばれるもの。ゲームで言えばβテストのようなもので、ここで最終的な謎解きの難易度を調整したり、ゲーム進行に不具合がないかを確認したりするのだそうだ。
一行を乗せたバスが富士急に到着したのは午後4時ごろ。その後しばらく自由行動の時間があり、午後6時になると参加者は体育館のようなイベントホールに集められた。入り口で茶封筒を手渡されたが、時間までは開封しちゃダメとのお達し。たぶんいつものように、問題用紙が入っているのだろう。
まわりを見るとメディア以外にも一般の参加者がけっこういて、全体ではたぶん300〜400人くらい。デバッグ公演ということで慣れた人も多いのか、それぞれ封筒に印刷された説明書きをじっくり読んだりしている。書かれているのはリアル脱出ゲームやエヴァについての簡単な説明程度なのだが、こういうところにも手がかりがあったりするので油断はできない。同行していた加藤編集長と「この文章、ちょっと怪しくないですか?」とか「これ印刷が薄くて読めないよ」「ブラックライトで光るとか?」などと話していると、いきなり場内の明かりが消え、スピーカーから聞きおぼえのある声が聞こえてきた。
「えー、ネルフに配属された新人研修職員の諸君――」
おお、ミサトさんの声だ! どうやら僕らはネルフ富士急支部で新人研修中という設定らしい。ミサトさんのセリフはこのために録り下ろしたもので、これだけで一気に「エヴァ」の世界へ引き込まれたような気持ちになる。と、不意にミサトさんの声に緊張が走る。パターン青! どうやら使徒が現れたらしい。
ミサトさんの説明を要約すると、現在の状況はこうだ。
- 使徒はここネルフ富士急支部を攻撃中
- エヴァ初号機が使徒を迎え撃っているが、活動限界までは60分しかない
- 60分後、ここは使徒もろとも爆破される
- 職員は速やかに出口とパスワードを探し出し、ここを脱出しなければならない
- 脱出のヒントはMAGIにより暗号化され、園内のあちこちに隠されている
エヴァの活動限界長くね!? などと心の中でツッコミつつも、とりあえずルールは把握できた。要するに、いつもと同じように「時間内に謎を解いて脱出方法を見つけなさい」というわけだ。ミサトさんボイスのおかげもあって、気分はすっかりネルフ職員。よーし脱出してやるぜ!
――と思っていたら、続いてスーツ姿の加藤隆生社長(リアル脱出ゲームを運営するSCRAPの社長で、だいたいいつも最初に説明役として登場)が出てきて、あらためてルール説明をはじめたので力が抜けた。せっかくネルフ職員気分だったのに、ここで急にいつものリアル脱出ゲームの雰囲気に! ミサトさんの説明からシームレスにゲームへ移行できればもっと良かったのに……。
静止した遊園地の中で
さておき、脱出開始である。封筒の開封が許可され、同時にスクリーンに問題が映し出された。……なるほど、わからん!
茶封筒に入っていたのは、ネルフの職員証(首からぶらさげるタイプ)と、園内の地図、あとはメモ用の紙とボールペン。地図の下のほうには「AREA:A_ID」、「AREA:B_ID」と書かれた空欄がある。たぶん、途中で手に入れたIDをここに書き込むとゲームが進展するのだろう。
スクリーンには1〜5までのヒントが映し出されているものの、パッと見て分かるのは1と4くらい。1は地図にまったく同じ場所がある。4の「エヴァの世界」は、実物大エヴァが展示されている「EVANGLION:WORLD」のことだろう。ほかの3つについては、とりあえず移動しながら考えることにした。
最初は一番近くにあった「EVANGLION:WORLD」へ。ずんずん中へ入っていくと、実物大初号機のところで「あはああはあ」「B=迷宮」と書かれた看板を発見した。迷宮というのは、地図にある「最恐戦慄迷宮」のことだろうか。「あはああはあ」については……なんじゃこりゃ。他のヒントと組み合わせることで意味が分かるのかもしれない。
その後園内をウロウロすること30分。「他の来場者の後についていく」といった姑息な手段に頼りつつも、なんとか最初の5カ所についてはひととおり回ることができた。1〜5のヒントはやはり場所を示すもので、実際に行ってみた結果、新たに次のようなヒントが手に入った。
「あはああはあ」「いでびんでえ」「でーのでーの」「かいーごぃー」「るすいりりい」、それから「A=え(ええじゃないかのロゴマーク)」「B=迷宮」……。うーん、分からん!
ひととおり回れるところは回ったし、ここで捜査は完全に行き詰まってしまった。AとBを指しているのが「ええじゃないか」「最恐戦慄迷宮」であることは分かったものの、行ってもスタッフが通せんぼしていて、IDがないとここは通せないという。爆破までの時間は30分をきった。
「どこかに座って、今までのヒントを見直してみましょうか」と加藤さん。確かに、こうしてあてもなく動いていてもしょうがない。一旦テーブルのあるところに座って、今ある手がかりをもう一度洗い直してみることにする。そういえば、1〜5で手に入れたひらがなを、入手番号順に並べてみたらどうだろう? 1で手に入れたのが「いでびんでえ」、2が「かいーごぃー」、3が……あああああ!
なんてことはない、順番通りに並べればよかったのだ。並べた文字を右上からタテに読むと、「えーのあいでぃーはりんごでありびーのあいでぃーはすいかである(AのIDはリンゴであり、BのIDはスイカである)」。これでAとBのIDが手に入った! しかし時間はもう15分をきっているはず。急げ急げ!
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