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» 2012年01月14日 13時05分 公開

「いまいち萌えない娘」はいかにしてスターダムを駆け上がったのか? 「奇跡」の1年間を振り返る誕生から1年(1/2 ページ)

昨年ネットを賑わせたものと言えば、神戸新聞社の求人広告から生まれたキャラクター「いまいち萌えない娘」だろう。そんな「いまいち萌えない娘」のねとらぼデビュー1周年を記念して、生みの親である神戸新聞社 デジタル事業局を訪れた。

[池谷勇人,ITmedia]
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まさに「公式が病気」(褒め言葉)

 神戸新聞社の「いまいち萌えない娘」を当時のねとらぼが取り上げてから、1月14日でちょうど丸1年になる。

「右のキャラクターが、いまいちいけてない(萌えていない)理由を3つあげなさい」

 そんな求人広告からはじまった「いまいち萌えない娘」の人気は、Pixivをきっかけに火が付き、ニュースサイトを経由してたちまちネット上へと広がった。確かにいまいち萌えないが、なぜ萌えないかと言われると答えに困る。「どうして萌えないのか?」「こうすれば萌えるんじゃないか?」――議論が議論を呼び、「いまいち萌えない娘」はたちまち注目を浴びる存在となった。

画像 すべてのはじまりとなった求人広告。いま見てもかなりのインパクトがある

 ネットで話題になってからの神戸新聞社の対応は早かった。数日後には公式Twitterアカウントが開設され、次いで専用のFacebookページも作られた。3月には「いまいち萌えない娘」の公式サイトもオープンし、運営による「公式同人誌」(PDF版)は、現在までに累計1万ダウンロードを記録。Pixivニコニコ動画における二次創作も盛んで、いつしかネット上では「公式が病気」「神戸新聞はじまったな」――といった「褒め言葉」(皮肉ではなく本当に)があちこちで聞かれるようになった。「奇跡でしたね」と、「いまいち萌えない娘」を担当する、神戸新聞社 デジタル事業局の矢野正樹さんは当時を振り返る。

 なぜ「いまいち萌えない娘」はここまでのコンテンツになり得たのだろうか? 1周年を記念して、育ての親である矢野さんを取材し、「いまいち萌えない娘」の1年間を振り返っていただいた。

 ちなみに以下は、昨年ねとらぼが扱った、「いまいち萌えない娘」の記事一覧。今さら突っ込むのもなんだが、扱いすぎである。

偶然が生んだ「いまいち萌えない娘」

画像 神戸新聞社のオフィスビル。「いまいち萌えない娘」はここから生まれた

 「いまいち萌えない娘」が生まれ、ひとつのコンテンツとして離陸するまでには、実は様々な偶然の積み重ねがあった。矢野さんはその偶然を「ピタゴラスイッチのようだった」と語る。

 そもそもすべての元凶はあの「萌えない」求人イラストだ。しかし、あれはもともと「萌えない」ように描いたのかというと、そうではないという。「社内でちょっと絵心のある人をつかまえてきて、無理矢理描かせたんです。ただ、その人はいわゆる“萌え絵”についてはまったくの素人で、その結果ああいうイラストになった」(デジタル情報部 部長 西栄一さん)

 が、この時点ではまだ単なる「微妙な萌えイラスト」だ。第2の偶然は、そこへ別の部員が「いまいち萌えていない理由を3つあげなさい」という例の設問をキャッチコピーとして追加した点にあった。微妙すぎるイラストと、それを活かした絶妙なコピー。かくして、奇跡の化学反応によって「いまいち萌えない娘」は誕生し、2010年12月29日、神戸新聞ホームページにて最初のデビューを果たすこととなった。


画像 「いまいち萌えない娘」を担当している「デジタル事業局」

 ところが広告を掲載しても、すぐに反応があったわけではなかった。応募が殺到しはじめたのは、応募締め切り日(1月14日)の午後になってから。前々日あたりからPixivや掲示板などで盛り上がっていたのを、ねとらぼがトピックとして取り上げたのが原因だった。

 「(もう5時ですけど)これから履歴書を持って行っていいですかとか、明日でもいいですかといった電話が人事部に殺到したんです。京都や大阪からわざわざ届けにくる人や、夜中に通用口まで持ってくる人もいた。あまりの反応の多さに人事部の業務に支障をきたしてしまって、人事担当者からひどく怒られました(苦笑)」(西さん)

 最終的に、2名の採用枠に対し100名近くもの応募があった。倍率50倍。普段の応募数は10名ほどだというから、その反響の大きさがうかがえる。応募者の顔ぶれもそうそうたるもので、中には声優志望、歌手志望の人などもいたという。

「でも、それも1つのミラクルだったんです。あのとき怒られたおかげで今がある。たぶんどのパーツが欠けてもこんなふうにはならなかった。あのイラストがあって、あのキャッチコピーがあって、さらにそれを盛り上げてくれたユーザーやメディアがあって……。奇跡のような確率の積み重ねで『いまいち萌えない娘』はここまで来れたんです」(矢野さん)

画像 これまでファンから送られた手紙や作品はすべて大切に保管されている
画像 どれだけ「いまいち萌えない娘」が愛されているかがよく分かる

グッズの売り上げを震災被災地へ寄付

 「いまいち萌えない娘」として震災被災地への寄付も行った。2月下旬、キャラクターグッズ製作の「COSPA」から、「いまいち萌えない娘」のグッズを制作したいという提案があり、利益はすべて寄付にまわすという条件でこれを了承した。当初は全額を阪神淡路大震災の震災遺児へ寄付する予定だったが(神戸新聞社も阪神淡路大震災で被災している)、その後3月11日の東日本大震災を受けて、半分を阪神淡路へ、もう半分を東日本の被災地へと送ることにしたという。

 またこんなエピソードもある。1冊目の「公式同人誌」が制作された3月中旬のこと。当初頒布予定だった即売会が震災の影響で中止になってしまい、いまいち萌えない娘が「どうしよう」とTwitterでつぶやくと(この同人誌の印刷費用は西さんのポケットマネーから出ていた)、フォロワーから「被災地への寄付分を上乗せして通信販売してほしい」という提案があった。「それはいい」とさっそく購入希望者を募ると、当初用意していた100部はまたたくまに完売、さらに追加で刷った200部もたちまち売り切れになってしまったという。結果、7万円ほどを被災地へ送ることができ、西さんもなんとか印刷代を回収することができたそうだ。

画像 COSPAより発売されたマグカップ。他にストラップ、Tシャツも作られた

画像 「いまいち萌えない娘」の誕生を描いた公式同人誌「エピソード0」

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