クリエイターの卵たちが作品を発表! 日本最大規模の専門学校が卒業展を開催[2/3]
日本工学院クリエイターズカレッジには日本のポップカルチャーにあこがれる海外からの留学生も多く在籍する。留学生の現状を聞いた。
先日お伝えした「日本工学院卒業展2013」レポートに続き、今回は日本工学院クリエイターズカレッジ長である佐藤 充(SATO MITSURU)氏に、日本でポップカルチャーを学ぶ留学生の現状や、今後の展望についてお聞きした。
――展示作品を拝見したところ、海外からの留学生の作品が目に付きました。こういった学生は、どういった経緯で入学されたのでしょうか?
「日本のポップカルチャーに憧れを持つ方が、日本語検定試験を取り、実際に自分も作品作りに挑戦するために入学いただくケースが多いです。また、日本で生活をする中で、日本の文化に触れ、好きなアニメや漫画などを通して日本語を習得し、当校に入学される方もいます」
――現在の留学生の人数をお教えください。
「カレッジ全体で約280人、そのうちの半分が声優・アニメーションなどを扱う『クリエイターズカレッジ』に在籍中です。クリエイターズカレッジへの留学生は年々増加しており、今後もアジアの国々を中心にその傾向は続くと思います。校名の通り、もともとは工学系の学校として1947年に創立しましたが、現在は学生の3分の1がクリエイターズカレッジ生なのです(笑)」
――そうした人気学部で次の人材を育てる立場として、日本のアニメ、漫画などのポップカルチャーはどのように変わっていくと思いますか?
「まず日本のアニメ、漫画などのポップカルチャーは、国内でのビジネスとして限界に近づいてきていると思っています。商品も飽和状態で、制作技術の後継者も減少。さらに、海外のレベルも上がっている。特に韓国、台湾、中国はアメリカのCG技術を導入して目覚ましい進歩を遂げています。また、日本の文化を早くから取り上げていたタイ、インドネシア、ベトナムなどはイラストレーションのレベルがかなり高いですね。一枚絵の分野では、すでに日本と同等のレベルに達しているといってもいいかもしれません。ただ、ストーリーが軸となるマンガやアニメの分野では、まだ日本に優位性があることも事実です。だからこそ、先に挙げた国の人達は、自分たちに足りない話作りを学びたいという高い意識を持っています」
――そういった留学生は、どのような将来像を描いているのでしょうか?
「日本で働きたいという意識が非常に強いですね。その一方、日本の技術をアジアに浸透させるため、学生たちには日本で学んだスキルを母国に持ち帰っていただくことも大事だと考えています。そして、学生がいずれ母国で学校を開き、現地の方に学んでもらうサイクルを作ることが理想ではないでしょうか。安直に日本人が現地で指導するより、自国民が日本の文化を自分たちの文化と融合させて教えたほうが、遥かに優れた作品を作り出せます。そこで、現在は『技術を学ぶ』ことで終わらず、『学んだ技術を伝える技術』を考慮した指導者育成プロジェクトにも力を入れています。国際的な視点で見ても、優秀なクリエイターが世界中で技術を教える状況は、才能の分散という点で大きな意味があります。
例えば、留学生が日本で声優になるのは正直難しいですが、『声優のノウハウをつかんで母国で声優になる』、もしくは『声優を育てる』ことは可能性として大いにありうる。教育機関として、そういった部分にしっかりとアプローチをしていきたいです」
――日本で学んだ留学生が、世界のポップカルチャーの一翼を担う時代が近いかもしれませんね。→クリエイターの卵たちが作品を発表! 日本最大規模の専門学校が卒業展を開催[3/3]
英文:Japan's Most Prominent Technical School Holds Graduation Exhibition [2/3]
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