初音ミクの「メルト」を人形浄瑠璃で――「世界ボーカロイド大会」リポート(2/2 ページ)

» 2013年06月10日 11時58分 公開
[松岡洋,ねとらぼ]
前のページへ 1|2       

 ボカコンのスタッフはこれまでにも台湾、メキシコ、ドイツなど世界各地でボーカロイドのファンイベントを開催してきており、今回のボカコンではドイツ・フランクフルトのコスプレショップ“コスチュームシュピール”(ドイツ語でコスプレの意味)を結んで日独交流会が開催された。ドイツ側のスクリーンに日本側の鏡音レンのコスプレが現れると、ドイツ側のテンションもMAXに。

2つの会場を結んでの日独交流会
レンにテンションMAXのドイツの皆さん

 この日独交流会にはドイツ側からボカロPも参加しており、日本語で作曲した曲を披露した。ボカロPのニコラス・ゼロヨン氏は「処女友情↑↑(上上)0608-0835(ボカコンver.)」を披露(soundcloudでも公開)。

 また日本語で自己紹介を行ったKENTAIP(ケンタイP)氏には日本側から「どこで日本語を学んだのか?」とのドイツ語での質問があり、これに対して日本語で「もともと日本の文化に興味があり、大学でも日本語を学んだ」と答えた。自分のハンドル名も武道が好きなので「剣体(KENTAI)P」と名乗っているという。

KENTAIP

 日独の国際交流らしくお互い相手の言葉での質疑応答だった。日本側ではドイツ語での質問の意味が分からず、「日本語でおk」などとやじが飛んでいた。

 夕食後、この日のハイライトとなった「人形浄瑠璃の方法論 - 初音ミクに連なる系譜」が披露された。「初音ミクは人形浄瑠璃である」との説を唱えるアスキー・メディアワークスの福岡俊弘氏の招きで、大阪の人形浄瑠璃(文楽)の人形遣い吉田幸助氏らが登壇、文楽の解説および実演が行われた。

 吉田氏は今回のボカコンの予習として、初音ミクの3DソフトMikuMikuDanceによって制作された動画を観て「あまりの動きの凄さに敗北感を感じた」とのことであったが、文楽での人形遣いの説明の後、文楽で人気ボカロ曲「メルト」を舞う実演が行われた。

文楽での人形遣いの説明
「メルト」を踊り、ネギを振る文楽人形

 普段初音ミクを始めとするボーカロイドのPVを見慣れた参加者にも、文楽の「どうやって人形に感情を表現させるか?」というプロの凄さを見せつけられ、終演後拍手の嵐となった。また観客の反応に感極まった吉田氏も目に光るものをにじませ、日本に古くから伝わる大衆芸能と現代世界各地の若者を魅了するボーカロイドとの見事な融合を実感した。

 今回のボカコンは本大会を運営するための準備大会という位置づけであったが、数十人から始まったSF大会が現在参加者1000人を越す大会として毎年開催されたり、SF大会から生まれたGAINAXが今や日本のアニメ業界で重要な位置を占め、同じくSF大会から派生したコミックマーケットが日本のコンテンツの苗床として機能していることを考えると、ボカコンの今後にも期待が高まる準備大会だった。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2504/27/news062.jpg 49歳病没の大宮エリーさん、生前開催の個展で「体調も万全でなかったので不安」 3カ月前には苦しげな姿も「声が出にくい」
  2. /nl/articles/2504/28/news013.jpg 夏に向けてトリミングしたワンコ、飼い主が迎えに行ったら…… 注文ミスが生んだ“予想外の姿”が180万表示 「もっと見たい」「じわじわくる」
  3. /nl/articles/2504/24/news136.jpg 青い毛糸で輪っかをひたすら編み、つなぎ合わせると…… 予想もつかなかった完成品が195万再生「これはヤバい」「なんてアイデアなの」【海外】
  4. /nl/articles/2504/28/news147.jpg Vtuberの死去を所属事務所が発表 「詳細については控えさせていただきます」
  5. /nl/articles/2504/25/news063.jpg 紙コップに“ひも”をクルクル巻くだけで…… 1000万再生された“驚きのアイデア”に「これは思い付かなかった」【海外】
  6. /nl/articles/2504/27/news008.jpg 万博会場に3DSを持って行ったら…… 300万表示の“目を疑う現象”に動揺広がる 「信じられない!」「今令和やぞ」
  7. /nl/articles/2504/26/news004.jpg ケガして動けないエビのため半年間、口元にエサを運んで介護したら…… 「びっくり」「不思議」まったく予想外の変貌に大反響
  8. /nl/articles/2504/28/news076.jpg 「復活キター!」 マクドナルド、“仲良しな二人”の復活を予告 意外な組み合わせに「仲悪いと思ってた」「また帰ってきたか、、、」
  9. /nl/articles/2504/27/news021.jpg 釣り人が捨てたフグを保護 → ありえない量のエビを与えたら…… 「大笑いしてしまいました」と反響を呼んだ姿から1年後……保護主に話を聞いた
  10. /nl/articles/2504/25/news022.jpg 足の悪い母のため、庭に作った小道→100均アイテムで雰囲気ガラリ 天才アイデアに「すごい!」「真似します」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「成長したらそのうち襲ってくる」と言われたワニ、16年後……→ 280万回再生を突破した驚きの姿に「初めて見た」の声
  2. 【大阪万博】皇后さま、帽子から靴までブルーとピンク 天皇陛下のネクタイと“連日おそろいコーデ”
  3. 飲み終えた“コーヒーかす”→捨てずに石と混ぜると、1カ月後…… 「感動」目からウロコの裏ワザに「やってみよう」
  4. 人里離れた山にカメラを設置→1週間後…… 「なんで?」映っていた“意外すぎる住人”に「笑った」「実在していたのか!」
  5. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  6. 「ウソだ…」「言葉が出ない」 幼少期から絵を描き続けた少年→15年後…… 大人になって描いた絵が100万再生【海外】
  7. 湘南の砂浜に打ちあがった“超危険生物”を飼育したら…… 貴重な姿に「初めて見ました」「かっこいい」と大反響→2年後の現在について話を聞いた
  8. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」話題になった飼い主に聞いた
  9. 万博「ミャクミャク」記念500円硬貨、金融機関での「品切れ」&高額転売相次ぐ…… 5倍以上の金額で出品される事態に
  10. マクドナルド、次回ハッピーセットコラボに「争奪戦すごそう」 品切れや転売の懸念も「1個でいいから欲しい」「たくさん作って」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 【べらぼう】“問題のシーン”、「子供に見せられない」 身体張った27歳俳優へ「演技やばくない?」
  2. 「恩師ビックリするやろなぁ」 中学3年で付き合い始めた“同級生カップル”が10年後…… まさかの現在に反響
  3. 「本当に迷惑」 宅急便の「不在連絡票」と酷似のチラシが物議…… ヤマト運輸「配布中止申し入れ」
  4. 「うそでしょ!?」 東京ディズニーランド、“老舗”レストランの閉店を発表 「とうとう来てしまったか」「いやだああああ」と悲しみの声
  5. 雑草ボーボーの運動場に“180羽のニワトリ”を放ったら…… 次の日、まさかの光景に「感動しました」「すごい食欲」
  6. 40歳・女性YouTuber「18年間、脇毛を処理していない」→“処理しない理由”語る 「脇のみならず……」
  7. コメダ珈琲店で朝、ミックスサンドとコーヒーを頼んだら…… “とんでもない事態”に爆笑「恐るべし」「コントみたい」
  8. 息子の小学校卒業で腕を組んだ34歳母→中学校で反抗期を迎えて…… 6年後の姿に反響 「本当に素敵!」「お母さん、変わってない!?」
  9. Koki,、豪邸すぎる“木村家の一室”がウソみたいな広さ! 共演者も間違えてしまうほどの空間にスタジオビックリ「コレ自宅!?」「ちょっと見せて」
  10. 使わない靴下をザクザク切って組み合わせると…… 目からウロコの再利用法が2500万再生「とてもクリエイティブ」【海外】