艦これ艦娘“戦歴的”プロフィール「時雨」編下積み長い苦労人

雪風と並ぶ“強運の武勲艦”として、多くの艦これ提督たちが待っていた彼女がきたー! でも、彼女は下積みが長い苦労人だったりする。

» 2013年10月24日 11時59分 公開
[長浜和也,ねとらぼ]

好調のときは下積みで苦境のときには大活躍

 駆逐艦「時雨」は、白露型2番艦にして1936年(昭和11年)9月7日浦賀船渠の生まれ。太平洋戦争では1944年10月25日のスリガオ海峡海戦で唯一生き残るなど強運の持ち主として「呉の雪風、佐世保の時雨」と呼ばれるほどに有名な艦だ。

「艦隊これくしょん」の時雨には、10月23日に「改二」が実装された

 ただ、雪風が太平洋戦争の開戦初頭から著名な海戦に参加して第一線で活躍していたのに対して、時雨は、第1艦隊第1水雷戦隊第27駆逐隊に所属して戦艦部隊とともに呉軍港(柱島泊地)に待機。日本本土とトラック基地を結ぶ比較的安全な航路で輸送船団護衛を担当した。

 1942年5月には珊瑚海海戦に参加して「翔鶴」「瑞鶴」を直衛するが、これも、本来の主力空母護衛戦力が手一杯だったので、日本で“控え”だった第27駆逐隊を割り当てたという事情からだ。しかし、理由はどうであれ、時雨は世界初の空母戦に参加するという武運に恵まれる。続く6月のミッドウェー海戦では、第1水雷戦隊本来の任務である戦艦部隊の護衛として参加し、第9戦隊の重雷装巡洋艦「大井」「北上」とともに第2戦隊を護衛する。

 8月からのガダルカナル島をめぐる一連の作戦でも、担当するのはガダルカナル島に対する輸送作戦で、第三次ソロモン海戦でも退却航路の警戒担当で、乱戦を極めた第一次戦闘には参加していない。とはいえ、夜が明けて行動不能になった比叡を守る対空戦闘で時雨は損傷する。

 時雨が本格的な砲雷撃戦に参加するのは、ガダルカナル島を失ったあとの1943年以降だ。当時、仲間の第27駆逐隊は、輸送作戦途上の航空攻撃で「有明」「夕暮」が沈没、「白露」も損傷して後退していたため、時雨は第4駆逐隊の「嵐」「萩風」とともに北部ソロモン海域の苦しい“ねずみ”輸送作戦(駆逐艦による輸送作戦)を繰り返す。

 1943年は米海軍がレーダーを用いた戦闘指揮に熟練しており、夜戦における日本海軍の優勢は失われていた。時雨にとって初めての本格的砲雷撃戦となった“ベラ湾海戦”では、ともに参加した「嵐」「萩風」「江風」がレーダーを用いた敵奇襲によって戦闘開始15分で戦闘不能になって沈没する。最後を走っていた時雨は雷撃しつつ煙幕を張って反転してなんとか生き延びた。

 わずか2週間後に起きた“ベラ・ラベラ北方夜戦”では「漣」「浜風」「磯風」とともに小艦艇で構成する輸送船団を護衛して敵駆逐艦と戦闘。10月の“ベラ・ラベラ島沖夜戦”(あーっ、ややこしい!)で、時雨は「五月雨」とともに、「夕雲」「秋雲」「磯風」「風雲」の本隊と分かれた別働隊として敵駆逐艦を雷撃している。その五月雨とは11月のブーゲンビル島沖海戦で衝突しちゃったりして一緒に損傷しちゃったりもしたいっけない。五月雨と衝突したのは白露でした。

 その後、時雨は1944年6月の輝作戦、マリアナ沖海戦で主力艦の護衛として参加。そして、11月のレイテ沖海戦で戦艦「山城」「扶桑」、重巡洋艦「最上」の護衛として駆逐艦「満潮」、そして「山雲」「朝雲」とともにスリガオ海峡に突入して“ただ1人”生きて帰ってきた。

 開戦から終戦まで著名な大規模作戦に参加して活躍して戦争を生き残った雪風と比べて、日本軍が下り坂となった1943年以降から激しい夜戦を経験し、その最初の夜戦と最後の夜戦でただ1人の生き残りとなった時雨の戦歴は、苦境に立たされた太平洋戦争後半の日本海軍を象徴していると言えるかもしれない。

ベラ湾海戦をボードウォーゲーム「FLEET BATTLES」で再現した。最初に経験した夜戦でいきなり時雨は「ただ1人の生き残り」になる(写真=左)。こちらは「DESTROYER CAPTAIN」(クォーターデッキ)で再現したベラ・ラベラ島沖夜戦。この戦いで日本軍は勝利する(写真=中央)。そして、スリガオ海峡海戦の第二次第三次雷撃戦で時雨が最も突入した戦況を「写真太平洋戦争第8巻」の図版から再現した。この先に米第7艦隊の戦艦群が待ち構えている。この時点で時雨のほかに最上と朝雲が行動可能だった(写真=右)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2408/31/news036.jpg 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほどの変貌が379万表示「そこだけボッ!ってw」 半年後の現在について聞いた
  2. /nl/articles/2408/30/news121.jpg 「地獄絵図」「えぐすぎやろ……」 静岡・焼津市の地下歩道が冠水 “信じられない光景”にネットあぜん
  3. /nl/articles/2408/31/news073.jpg 「よくこんなものが……」 米不足でメルカリに米出品→疑問の声も 運営は“禁止出品物”に「然るべき対応」
  4. /nl/articles/2408/31/news025.jpg 次男に塩対応の柴犬、いよいよ次男の帰省最終日を迎え…… 本音が出た瞬間に「不意に泣かせるのやめて欲しい」と感動の声
  5. /nl/articles/2408/30/news017.jpg 最上位グレードのハイエースを“50万円の底値”で購入したら…… 驚きの実物に「ある意味最強」「正直、羨ましい」
  6. /nl/articles/2408/30/news188.jpg 実写「着せ恋」、キャストに物議 海夢の再現度が高すぎるタレントを推す声あがる 「逆になんであかせあかりさん以外の人……」
  7. /nl/articles/2408/29/news193.jpg 「なんで欲しいと思ったんですか?」 酔った勢いで購入 → 後日届いた“まさかの商品”に反響 「理性あったら買わないw」
  8. /nl/articles/2408/28/news142.jpg 明石家さんま、69歳バースデー迎え長男から幸せ呼ぶ“輝かしいプレゼント” 同席した元妻・大竹しのぶは「最高の笑顔でした」
  9. /nl/articles/2408/31/news084.jpg 仕事早いな! 大谷翔平の愛犬“デコピン”、大反響の始球式がさっそくTシャツ化 「こ、これは……」「欲しい!」と爆売れの予感
  10. /nl/articles/2408/30/news113.jpg 「これ600円なの?」 大谷翔平が長く愛用しているデコピンの“おやつ入れ”、始球式で注目「おそろだった」「真美子さんが選んだのかな」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ヒマワリの絵に隠れている「ねこ」はどこだ? 見つかると気持ちいい“隠し絵クイズ”に挑戦しよう
  2. 「米国人には想定できない」 テスラが認識できない日本の“あるもの”が盲点だった 「そのうちアップデートでしれっと認識しそう」
  3. 「苦手な芸能人は誰?」 あのちゃん、女性芸能人を“実名で即答” 「ここ最近で一番笑った」「強すぎる」
  4. ホテルでチェックアウト、忘れ物で多いのは? ホテル従業員が教える「圧倒的に多い忘れ物」
  5. 乳がん闘病中の梅宮アンナ、抗がん剤治療で「髪の毛ほとんどなくなっています」 帽子かぶり「ああ、来たか」
  6. 「キティちゃんのお面だと思ったら……」 ひっくり返すと“まさかの正体”に11万いいね
  7. 「凄すぎる…」「ガチで滝」 “市ケ谷駅の冠水”が衝撃与える 階段に大量の水が流れる様子も…… 東京メトロに経緯を取材
  8. 「早すぎます」「一体なにが」 52歳ボディービルダー、訃報1週間前に最期の投稿で“人生初の試み” 恋人は「亡くなる数時間前まで普通にお出かけも」
  9. お盆で帰省した次男に、柴犬も猫もまさかの反応→どちらも豹変して爆笑 「涙出てきました」「おもろ可愛過ぎ(笑)」
  10. 着陸する戦闘機を撮ったはずが…… タイミングが絶妙すぎる1枚に「一部の専門家には貴重な一枚」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 釣れたキジハタを1年飼ったら……飼い主も驚きの姿に「もはや魚じゃない」「もう家族やね」 半年後の現在について飼い主に聞いた
  2. 「もうこんな状態」 パリ五輪スケボーのメダリストが「現在のメダル」公開→たった1週間での“劣化”に衝撃
  3. 「コミケで出会った“金髪で毛先が水色”の子は誰?」→ネット民の集合知でスピード解決! 「優しい世界w」「オタクネットワークつよい」
  4. 庭で見つけた“変なイモムシ”を8カ月育てたら…… とんでもない生物の誕生に「神秘的」「思った以上に可愛い」
  5. 「米国人には想定できない」 テスラが認識できない日本の“あるもの”が盲点だった 「そのうちアップデートでしれっと認識しそう」
  6. ヒマワリの絵に隠れている「ねこ」はどこだ? 見つかると気持ちいい“隠し絵クイズ”に挑戦しよう
  7. 「昔はたくさんの女性の誘いを断った」と話す父、半信半疑の娘だったが…… 当時の姿に驚きの770万いいね「タイムマシンで彼に会いに行く」【海外】
  8. 鯉の池で大量発生した水草を除去していたら…… 出くわした“神々しい生物”の姿に「関東圏では高額」「なんて大変な…」
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「なんでこんなに似てるの」 2つのJR駅を比較→“想像以上の激似”に「駅名だけ入れ替えても気づかなそう」